フィリピン・セブ島
の科学
第1335回 2016年7月24日
目がテン夏休み海外特集!前編は大人気リゾート「セブ島」&「ボホール島」の科学!人気の秘密に迫ります。
①セブ島で世界最大のサメと泳げちゃう!
東京から直行便でおよそ4時間半、フィリピン屈指のビーチリゾート「セブ島」。空港の周辺には、世界中の観光客が集まるリゾートホテルエリア、宿泊客しか入れないプライベートビーチは白い砂浜に澄み切ったキレイな海、まさに贅沢空間!今回、番組が向かったのはリゾートエリアから車で3時間も離れた南部の港町オスロブ。
この海で世界最大のサメと泳ぐことができるんです。ボートに乗って沖に向かうこと3分、水の中を覗いてみると…そこにいたのは世界最大の魚類、ジンベエザメ!体長およそ8m!これからさらに育つと最大で20mにもなるそうです。この港は1年を通してほぼ100%ジンベエザメに会えるということで大人気。大きなサメがウヨウヨいるんです。
でもサメがこんなに近くで泳いじゃって大丈夫なのでしょうか!?実は、ジンベエザメの餌はエビに似た姿をした、オキアミという体長1センチくらいのプランクトンの仲間。オスロブの海に1年中オキアミが群れをなしているため、多い時には15頭くらいのジンベエザメが集まって来るそうなんです。そもそもジンベエザメは広い範囲を単独で行動する生き物。オスロブのように1カ所にたくさん集まるのは世界的にも珍しいと言います。そんな貴重なジンベエザメを間近で観察していると、エサのオキアミを食べるために海水をガブガブ飲んでいます。
水でお腹がいっぱいにならないの?ジンベエザメを長年飼育している専門家に聞いてみると「ジンベエザメは、オキアミやプランクトンなど小さな魚を海水ごと吸い込んで丸呑みしている。海水はエラから出して、口の中にある「さいは」というスポンジ状の器官でエサだけを濾し取って食べる」とのこと。「さいは」の一部の標本を見てみると、細かい隙間がスポンジのように開いています。口から入れたエサと海水を、ここで分け、海水だけをエラから外に出していたんです。だから海水でお腹いっぱいになることなく、吸い込み続けていられるんです。
セブ島の人気の秘密は、めったに出会えない世界最大の魚、ジンベエザメと一緒に泳げちゃうことだったんです!
②ボホール島の絶景〜チョコレートヒル〜
続いて訪れたのは、セブ島からフェリーで1時間半ほどのボホール島。リゾート感あふれるセブとは一転、手つかずの自然にあふれた島。ジャングルクルージングなど大自然の魅力が味わえるんです!そんなボホール島の象徴とも言える絶景があると言います。案内してくれるのはボホール州観光課長のクリスさん。何やら、美しい、あま〜い絶景があるとのこと。
丘の上にあがり目にしたのは…小高い丘がいくつも並ぶ不思議な光景、その名も"チョコレートヒルズ"。
この景色をドローンカメラで上から見てみると、なだらかな円すい形の丘が、ずっと奥のほうまでいくつも点在しています!高さ30mから50m程の丘がその数合計1776個も!雨季は青々とした草木が茂っていますが、乾季には草が枯れて茶色くなり、チョコレートのように見えるため、その名が付けられたそうです。まるで絵画のような絶景です!
しかしなぜこんな不思議な景色ができたのか?クリスさんに案内され、向かったのは、チョコレートヒルズのふもと。丘のおよそ半分が崩れ落ち、内部がむき出しになったもの。実は3年前、ボホール島に起きた地震で、いくつかのチョコレートヒルズが崩れ内部がどうなっているか明らかになったのです。崩れた場所から見つかったものはサンゴの化石を発見!実は数百万年前、ボホール島は海の中だったのです。その証拠に、サンゴや貝の化石などがザクザク出てきました!これらが積み重なって石灰岩となり、地上に隆起したのがチョコレートヒルズの正体なのです。
なぜ丸い山がいくつもできたのか、チョコレートヒルズで調査を行った地球科学の専門家、尾方准教授に伺うと「チョコレートヒルズの地形は円すいの形をしている。理由はまだハッキリわかっていないが風化しやすくもろいことがポイント。その理由として気候条件と地質条件があります。気候条件としては雨が多い熱帯ということ。地質条件としては新しい時代の石灰岩であること。風化しやすくもろいという特徴がある」とのこと。実際に丘の表面を触ってみると軽く撫でただけで崩れてしまうほど。海から隆起した石灰岩は、はじめはほぼ平らな状態ですが、所々に小さな窪みや割れ目があります。そこに、雨や地下水などの水がたまり、集中的に溶かされると、どんどん深く窪んでいきます。そして、浸食されなかった部分が丘のような形で残るのです。 年間通して雨が多いこの地域で、崩れやすい石灰岩が水に浸食され、このような丘がいくつもできあがったと考えられています。
ボホール島の人気の秘密"チョコレートヒルズ"は、数々の条件が重なってできた奇跡の絶景だったのだ!
③ボホール島の珍動物〜ターシャ〜
ある人気の動物が、ボホール島に広がる森に生息していると言います。案内してくれるのは、リトさん。20年前から、その動物を守り観察や研究を続けてきました。800ヘクタールという広大な森の中に作られた保護区を探していると…葉っぱの陰にその動物の姿が!世界最小級のメガネザル、「ターシャ」。体長は、大人でもわずか10センチから15センチほど。最大の特徴は大きな目。夜行性で、夜に獲物を捕まえやすいよう、多くの光を取り込むために大きく進化したといいます。
頭の大きさは変わらず、暗闇でよく見える能力に特化したため、他の機能が切り捨てられ、眼球がほとんど動かなくなったと考えられています。その代わり、首が一回転近くも回るそうです。さらに、優れているのが脚の力。自分の体の10倍から20倍もの距離をジャンプすることができるといいます。
普段はほとんど動かずおっとりとしているターシャですが、餌をとる瞬間は素早く動くのだとか。カメラを設置して、エサを捕まえる様子を観察!エサはバッタ。1mほど離れた枝に、バッタを置くと…。ジャンプをして、空中で手を前に出し、獲物を捕らえる姿勢をとり、着地と同時に、手と口でバッタをがっちり抑え込んでゲット!逃げるスキを寸分も与えませんでした!さらに距離を長くして、およそ2メートル離した場所にバッタを置くとこれも瞬殺!獲物を置いた途端にジャンプしてまたしてもバッタをダイレクトキャッチ!まさにスゴ腕ハンター!
ボホール島の人気の秘密はカワイイけど、獲物を狙ったら怖い世界最小級のメガネザルに出会えることでした!
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