書き初めに欠かせないのが、文房四宝、すなわち筆・墨・硯・和紙です。
墨は植物油を燃やした黒い煤と、動物の皮や骨を煮込んで作られるゼリー状のニカワというもの、そして水を練り合わせて作られます。水と煤はそのままでは混ざらないため、つなぎとしてニカワが用いられます。墨には「生きている墨」、つまり普通に摺った直後の墨と「死んでいる墨」、摺ってから時間をおいたねっとりした墨があります。後者は書いたときに、字の回りに墨が滲む困った墨で、つなぎの
ニカワの力が弱まり、墨の粒子が固まっているのです。さらに、摺るときに力強く摺ると、墨の粒子が大きくなり、最初から死んだ墨になることもあるのです。
イカやタコもスミを持っていますが、そのスミでプロの書道家が書き初めにチャレンジ!成分分析では、どちらも成分はほぼ同じだったのですが、やはり粒子が荒
く、滲んでしまって使い物にはなりませんでした。
続いて、墨を含ませる筆。筆にはあらゆる動物の毛が使われており、人間の毛でも筆を作ることがあります。そこで、君枝さんの毛で筆づくりに挑戦!熟練した職人の手によって、まずパーマをのばし、長さを揃え、糊付けした後に軸にはめ込み、見事完成。見た目は全く普通の鈴木君枝筆ですが、書いてみると…すぐにかすれてしまう!人間の毛は毛先がなく太いため、筆の穂先が揃わず保水性にも欠けてしまうのです。
| 赤ちゃんの毛以外の人の毛では、毛先がないので筆が作れない!
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