純白の輝きが美しい宝石「真珠」。真珠は紀元前からビーナスの涙・月の滴などと言われ、珍重されてきました。真珠が身近な宝石として親しまれている現在でも、大玉のものには1000万円以上するものもあります。
真珠は一般の宝石と違い、鉱物や岩石などではなく、アコヤガイという貝から採取されます。アコヤガイは足糸固着型の二枚貝で、生後まもなく足から糸を出して岩などにとりつき、定住生活を送ります。そしてしばらくすると、いつのまにか貝の内部に真珠が出来るのです。実は、真珠が出来るのはアコヤガイだけではありません。貝殻の裏側がきらきらと光る貝であれば、美しく光る玉を作ることが出来るのです!白・青・黒・ピンク……色とりどりの真珠が!
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天然のアコヤガイを採って真珠を探してみると、貝の中から全然真珠が見つかりません。実は、天然の真珠が見つかる確率というのは、1000分の1程度なのです。
海水を吸い込み、その中の栄養分を濾過して生きているアコヤガイは、寄生虫や砂などの異物を一緒に吸い込んでしまい、うまく排出できないことがあります。すると、体を守るために、外套膜から貝殻と同じ成分である炭酸カルシウムを分泌し、異物を丸く覆ってしまうのです。この原始的な防御反応は、アコヤガイ以外の貝でも起こるというのですが……そこで、矢野さんが大量にアサリの佃煮を食べ、アサリ玉探しに挑戦!
| 「これがアサリ玉だ!」 |
| アサリもシジミも玉を作る! (ただし美しくない……) |
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世界に先駆けて日本で真珠の養殖が始められたのは明治26年、御木本幸吉氏の手によるものでした。でも、その方法はきわめて簡単、丸いプラスチックの玉を成貝の中に埋め込んでおき、あとは貝を育てるだけ。そして、一年後にはすばらしい真珠がたくさん出来る…はずが?売り物になるのはたった3%だけ。核に余計なものが付着してしまうと、真珠がいびつになってしまい、商品価値が無くなるのです。
アコヤガイから出てくる真珠には、白色だけでなく微妙に色が付いているものがあります。淡い緑・ピンクの真珠などがそうです。ところが、成分は色が付いているものも付いていないものも、炭酸カルシウムで皆同じ。では、色の違いはどうして起こるのでしょうか?実は、真珠は光の波長より薄い層によって何層も覆われていて、各々の層で反射した光が目に届くまでに微妙な距離のずれが生じます。すると、特定の光の波長が強調され、輝いて見えるのです。
貝が体内の異物を貝殻の成分で覆ってしまった結果、出来るのが真珠。ところが、そんな原始的な防御反応を示すのは、貝だけではありません。実は人間も体内に玉を作るのです。脱脂綿やピーナツのかけらが核になって鼻の中にできた鼻石がそれ。
| あなたの中にも石が! 真珠ができる防御反応は人間にもあった! |
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