ラクダが日本で庶民の目に留まるようになったのは、江戸時代末期、1820年頃のこと。オランダ商人に連れてこられた二頭のラクダが、見せ物小屋で全国を巡業し、大人気を博しました。一方、本場砂漠では古くからラクダは家畜化され、聖書にも登場するなど、貿易や軍隊に利用されてきました。「砂漠の船」と呼ばれ、砂漠での生活にはなくてはならなかった動物だったのです。
ラクダをよく見てみると、足が細く、背中には大きなコブがあり、バランス的にはとても不安定に見えます。骨格標本では、コブの部分に特に骨らしきものが見あたりません。そこで、ラクダの毛を剃り、超音波エコーを使ってコブの中を見てみましょう。矢野さんのお腹と映像を比べてみると・・・なんと全く同じ!実はコブの中身は脂肪で、厳しい砂漠の生活に耐える栄養がため込まれているのです。
ラクダが暑さに強い秘密を探るため、矢野さんが向かったのは厩舎。完全に締め切って、強力ストーブを焚いて、サウナ状態にし、ラクダの身体にどのような変化が見られるかチェックです。発汗量を測定してみると・・・矢野さんが汗たらたらなのに対し、なんと、ラクダはほとんど汗をかいていない!実は、ラクダは汗として体内の水分が失われるのを避けるため、40度くらいまでは汗をかかずに耐えるのです。
暑さに強いなら、寒さには強いのか!?そこで、呼び寄せたのは冷凍車!中に矢野さんとラクダを入れ、ガンガン冷やしてどうなるか見てみます。30分後・・・車内は-5度になり、寒さに打ち震える矢野さんですが、なんとラクダは鼻をなめなめ元気いっぱい。それもそのはず、ラクダの住んでいる砂漠は夜はとても寒くなり、冬には雪が降ることもあるという気候だからなのです。
| ラクダは長い毛で冬の寒さに耐えている! ラクダの毛で出来た毛布もある!! |
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厳しさに耐えるためには、栄養を付けねば!そこで、ラクダの好きなものを調べてみます。用意したのは、豚肉・アユ・ご飯・レタス・バナナ・煎餅。結果はなんと、レタス・バナナ・煎餅を喜んで食べ、ご飯・アユ・豚肉を全く食べませんでした。ご飯は熱くて食べることが出来なかったようですが、実はラクダは草食動物で、元々肉や魚は食べないのです。その代わりに、食べた草を体の中の微生物によって発酵させ、消化率を上げ、一方で増えた微生物をタンパク質などの栄養分として消化しているのです。
のろのろしているような印象のあるラクダですが、モンゴルなどではレースもあります。本気を出して走ればなんと時速50kmは出ると言われています。しかし、砂浜などの上を走ったことのある人なら分かると思いますが、砂の上では足が埋まってしまってとても走りづらいのです。そこで、ラクダの足を触ってみると・・・なんとラクダの足は柔らかい!骨格標本では、つま先立ちのような状況になっています。砂をしっかりと捉えるためには、肉球のような柔らかい組織を発達させなくてはならなかったのです。
| ラクダの足は大きくて柔らかい! だから走ることもできる!! |
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