とても寒い冬、たくさんの虫が冬支度をするころですが、ひときわ異彩を放つ虫がいます。それが木からぶら下がっている虫、ミノムシ。子供の頃、よく遊んだ思い出のある人も多いでしょう。ミノムシは、ミノガというガの幼虫。しかし最近は、都会でミノムシを見かけることが少なくなってきました。
ミノムシがミノを作るのは、冬を越すため。ミノの中に閉じこもって、枯れ枝にひっついています。ミノの作り方は、葉の巻き付け方が下手なものから、本物の雨具の蓑にそっくりなものまで、種類によって様々に異なります。身体のサイズに合わせ、口から出す糸で枯れ葉のかけらなどをつなぎあわせ、少しづつミノを大きくしていきます。そうして冬を越すと、オスのミノムシは羽化します。実はミノムシは子孫を残すためだけに羽化するため、ミノガに口はなく、エサを食べることはありません。しかし一方、メスはいつまでたっても羽化しません。実はメスは完全に卵を産むためだけに成虫となるため、手足はおろか、目などの感覚器すらないのです。
| ミノムシのメスは産卵マシーン!
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ミノムシのミノをよく見てみると、ミノムシが出した糸でフェルトのように裏打ちをされています。いわば、内側はカイコのまゆのようになっているのですが、それならば、同じようにミノムシのミノから糸がとれるはず!そこで、ミノをカイコの繭と同じようにしてみると…わずかにちょろっと糸がでてきました。しかし、カイコの繭から1500mもの糸がとれるのに対し、ミノムシはわずか20cm。これではとてもとても布なんて作れません。しかし、ミノムシ自身は糸一本で木からぶら下がっています。そこで、ミノムシの糸がいったいどのくらいの風に耐えられるのかチェック!すると、台風程度の風速9mでぷっつり。でも、少しぐらいの風ならへいちゃらです。
ミノムシのミノは冬を越すのに役に立っているのですが、いったいどれほどの効果があるのでしょうか?真冬の環境を人工的に作り出し、ミノありミノムシと、ミノなしミノムシがどれぐらい耐えられるかチェックしてみます。すると、ミノなしミノムシは小さく丸まってしまったのに対し、ミノありミノムシは平気。温度計でも差が出ました。ミノムシのミノは内部が糸でフェルト状になっていて、空気を溜める構造になっているため、温度変化から内部を守ることが出来るのです。そこでさらに、そのミノにカマキリが挑戦!ミノは外敵からの防御に役立っているか?すると…なんとカマキリの強烈な攻撃をミノでがっちり防いだではありませんか!
| ミノムシのミノは敵と寒さをともに防ぐ!
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ミノムシが日本から少なくなっている本当の理由、それはヤドリバエという寄生虫が日本にやってきて、ミノムシに寄生するようになったから。そこで、矢野さんが、現在ではほとんど見られなくなったというミノムシの王様、オオミノガのミノムシ探しに挑戦!四国のとあるところで見つけたオオミノガはそれはそれは懐かしい、おっきなミノムシでした。
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