気づくと身の回りの様々なところで活躍している「発泡スチロール」。軽くて丈夫な白い物体、その不思議な性質に迫ります。
食品のトレー、魚を運ぶ箱、家電の梱包材、ヘルメットの中身、畳の下など、本当にさりげなく生活の役に立っている発砲スチロール。その正体は、小さな空気の部屋の集合体。スポンジなどに使われるウレタンが繊維の構造体でスカスカなのに対し、プラスチックの膜がしっかりと空気を閉じこめています。そのため、発泡スチロールは水を吸わず、ウレタンは水を吸う性質を持っているのです。しかし、それだけ空気を閉じこめるような構造だと、案外もろいのかもしれません。そこで、トラックで発泡スチロールを踏んづけてみることに。矢野さんが乗ってもつぶれない発泡スチロールですが、なんとトラックでも大丈夫!小さな空気の部屋が圧力を分散させるため、意外に丈夫なのです。
そもそも、発泡スチロールはどうやって作られるのでしょうか。プラスチックの一種、ポリスチレンの粒にガスを封入し、蒸気で圧力をかけ熱すると、ガスが膨らんでとても大きな粒になります。そしてさらに、熱を加えて粒同士をくっつけ、成型するとできあがり。ガスは途中で空気と入れ替わるため、発泡スチロールのほとんどは空気といっても過言ではありません。発泡スチロールを溶かすことの出来る薬品の中に発泡スチロールを入れてみると、アッという間に空気を吐き出し、見えなくなってしまうぐらい体積が減少するのです。
| 発泡スチロールの98%は空気!
|
|
断熱材として利用されることの多い発泡スチロール。そこで、いったいどのくらいの実力があるものか、巨大発泡スチロールかまくらを作って、矢野さんがその中に入り、マイナス30度の冷凍室の中で1時間我慢してみます。半袖アロハ姿の矢野さん、何も暖房器具がなくても生きていられるか…外はバナナでくぎが打てる世界なのに、なんと中は全然平気。これも小さな空気の部屋で出来ている構造が熱を分散し、保温効果を高めているのです。
| 発泡スチロールは熱を伝えにくい!
|
|
断熱材として有効だということは、料理のアイテムとしても有効だということ。煮物などは、料理の温度が低くなっていくときに味がしみこんでいくものだと言われていますが、発泡スチロールを使って、実際にゆっくりゆっくり料理を冷ましてみます。できあがりは…まあ確かに素材に味がよく染み、大成功。
衝撃を吸収する目的でもよく使われている発泡スチロール。家電製品の箱の中には、必ずと言っていいほど入っています。そこで、生卵を発泡スチロールでくるみ、目の前から落としてみると…確かに割れない!さらに、この性質を利用して、発泡スチロールは土木工事に利用されています。巨大な岩を受け止め、落石事故から自動車などを守るため、崖下のトンネルなどの上に敷き詰められています。
|
|