放送内容

第1380回
2017.06.18
かがくの里・田舎暮らし の科学 場所・建物 地上の動物 水中の動物

 自然がテーマの科学者たちが未来につながる楽しい田舎暮らしを目指す長期実験企画「目がテンかがくの里」。2017年に大プロジェクト「ハチミツ&エビ」が本格始動!

ハチミツがもうとれたぞー!

 5月初旬。この日、かがくの里に蜂研究の専門家小野先生、佐々木先生、原野先生がやってきました。実は、セイヨウミツバチの巣箱が届いたのです。中にはおよそ2万匹ずつミツバチが入っています。巣箱は、夏の時期、直射日光の下に置いておくと巣箱の中の温度が上がりすぎ、ミツバチたちが死んでしまうことがあるので、日陰で風通しのいい場所が最適。そして、巣門を開けると、ミツバチが元気に飛び立ちました!…と思ったら、ミツバチは巣箱近くをウロウロ…どうしてなんでしょう?
 小野先生によると、そのまま花のところにいったらもどれなくなってしまう、場所を覚えていないから。だからまずちゃんと自分の巣箱の場所をきちっと覚えてから飛んでいくとのこと。実はもう一つ、ミツバチたち、巣箱の場所を見失わないための習性を持っていました!それはお尻の先端の黄色の部分。そこから集合フェロモンを出し仲間を呼び、ここが巣の入口だよと教えているとのこと。フェロモンはそれぞれの蜂が分泌し仲間に作用する化学物質のこと。近くを飛んでいるハチがこの集合フェロモンを感じ取ると、その発生源に集まってくるんです。

 かがくの里の養蜂は、このセイヨウミツバチと、もう一つ二ホンミツバチでも行います。セイヨウミツバチは購入したもので養蜂を始めますが、二ホンミツバチはほぼ全国に生息しており、野生のミツバチを集めるところから始まるんです。
 以前、阿部さんは二ホンミツバチの養蜂名人を訪ねました。そこで見た養蜂はゴーラと言われる、木をくりぬいた巣箱を設置しておくだけのもの。春、分蜂と言う新たな巣を作るタイミングに野生の二ホンミツバチが自然にここに入るのを待つというやり方。警戒心が強い野生の二ホンミツバチはなかなか、思うように巣を作ってくれませんが、名人は以前ミツバチが生活していたゴーラを使い巣に入りやすいように工夫をしていたんです。なんと、その名人が使うゴーラをひとつ譲っていただき、かがくの里に設置します。やはり二ホンミツバチも日陰で風通しのよい場所を好むよう。そのため、セイヨウミツバチの巣箱と距離を置き日陰で、風通しの良いこの場所にゴーラを設置しました!
 小野先生いわく、この辺りの山々にも野生の二ホンミツバチはいるが、入るかどうかはミツバチ次第。確率は低いが秘策が「キンリョウヘン」という植物。中国原産で、1400年代には日本に渡来していたというランの一種。セイヨウミツバチは反応しない特殊な香りですが二ホンミツバチとっては集合フェロモンに近い引き寄せ効果があるんだそう  そこでさっそく近所の植物園でキンリョウヘンを購入。ゴーラの横に設置しました!

 果たして、二ホンミツバチはゴーラに入ったのか…結果は残念ながら入っていませんでした。小野先生によると、かがくの里にあったニホンミツバチの巣はまだ小さく、新しい場所に巣を作るだけの規模ではなかったとのこと。来年に期待します!
 一方、巣箱を設置して1ヶ月たったセイヨウミツバチは順調に増え続け、すでに、ハチミツがたっぷり!小野先生によると、今取れたのが春採れのハチミツ。秋にもう一回採蜜できるので、春と秋で花が違えばハチミツの味も違うそう。

ポイント1

秋の収穫祭で春秋のハチミツを食べ比べするのだ!

田んぼにエビ放流!

 今年の1月下旬。魚養殖の専門家、千葉先生と阿部さんはインドネシアへ行き、世界的にも最先端のエビ養殖法を視察してきました。そこで見たのは、マングローブが植えられた池。周りに水路が掘られ、ここでエビが育てられていたんです。マングローブの落ち葉が栄養となり自然の循環の中でエビを大きくすることができるんです。これを見てきた、千葉先生は地元工務店の根本さんに水田の工事を依頼。マングローブの落ち葉からできる栄養を田んぼの土の栄養に置き換え行うエビ養殖!
 4月中旬から始まった水田の水路工事も完成。田んぼの養分が入った水は水路へと流れ込む仕組み。幅はおよそ50CM。深さはおよそ60CMです。田植えの時期が近づき、いよいよ田んぼに水を入れると、翌時には水路に水が溜まっていました。ここで養殖するエビは水底をはうオニテナガエビ!
 実は、エビを田んぼで飼育することには学問的な意味があります。養殖は一番お金がかかっているところはエサ。実は1kgの養殖エビを生産するのに、同量以上の天然イワシが必要。現在の養殖にはこうした環境問題があるんだそう。だから、このかがくの里で行う自然循環型のエビ養殖は大変意義があることなんです。しかも、日本では水田養殖でエビをやったという例がないので、うまくいけば、いろんな意味で波及効果が出てくるかもしれないとのこと!

ポイント2

かがくの里発!日本で最初の試みの挑戦が始まるのだ!

3年目の新事実…かがくの里は果樹園だった!

 かがくの里は、柴田さんという方がおよそ30年暮らしていた土地をお借りしています。でも、ここに何を植えたのかは詳しく聞いていませんでした。そのため企画開始当初から、キウイを発見したり、去年の秋にはカキが実ったりと、色々な果物が植わっていたことが後から知ったんです。柴田さんは、たくさんの果物を植えていたみたい。でも残念ながら、それほど実をつけないんです。
 せっかく木があるのだから今年は沢山実らせたいということで、果物の専門家・茨城大学農学部の井上教授に仲間に加わって頂きました。井上先生はナシやクリなど、茨城県の果樹の特産物を研究されています。地元の環境にも詳しい井上先生ならきっと里の果物に実りをもたらせてくれるはず!
 さっそく、桃の木を見てもらうとすでに桃の実がなっていました!もう少ししたら間引きをして病気を防ぐため袋をかける。収穫時期は梅雨明け!

 続いて栗は…いい感じに育っていました!実は他の品種の花粉が、風や虫によって運ばれてきて初めて受精する栗。他の品種と混ざることで、病気に強く環境への適応能力も上がるんです。このような子孫の残し方をするのはクリだけではなくリンゴやなしもそう。ブランドになっている品種を沢山作る場合は人の手で受粉させているんです。栗は秋の実りを待てば大丈夫!
 と、この時…先生が梅の木を発見。実がついているということは花が咲いていたはずなのにスタッフ一同全く気が付きませんでした。梅、まもなく収穫です!他にも「すもも」と「リンゴ」の木も発見!

ポイント3

3年目にして数々の果物が植えられていたことが発覚したのだ!