第1384回 2017.07.16 |
かがくの里・田舎暮らし の科学 | 場所・建物 食べ物 |
自然がテーマの科学者たちが未来につながる楽しい田舎暮らしを目指す長期実験企画「目がテンかがくの里」夏の収穫スペシャル。
忘れられていた梅で梅シロップ&カリカリ梅を作る
果樹の専門家、井上先生が見つけてくれた梅。企画を始めて3年、誰もその存在に気づいてきませんでした。それを6月中旬、収穫することに。勝手に実っていた梅の実は大粒。全部で2.8kgも収穫できました。調理科学の専門家、露久保先生と「梅シロップ」「カリカリ梅」を作ります。
まずは下ごしらえ。一つ一つの梅のヘタを竹串で取りのぞきます。梅を漬けるときヘタからカビが生えやすいので、とても重要な作業。続いて水に浸し、アクを抜きます。2時間後、キッチンペーパーで水気を拭き取れば、下ごしらえは終了!
まずは梅エキスたっぷりのあまーい梅シロップ。作り方は簡単。焼酎を吹きかけ消毒した瓶に梅と氷砂糖を交互に入れていくだけ。瓶の中でこの氷砂糖がゆっくり溶けていくと…梅の中と外で、糖の濃度差が生じます。すると濃度を一定にしようと、梅の中から梅エキスたっぷりの水分が少しずつ出てきて混ざり合い大体2週間でシロップが完成!しっかり蓋をしめて、あとは時間が作ってくれます。
続いてもう一品!カリカリ梅。梅ってしわくちゃの柔らかい梅干しとカリッとした食感の梅、2種類ありますよね?実はあのカリカリ食感、科学に裏打ちされた作り方で出しているんですって!まず梅に焼酎を吹きかけてから、塩でもみます。こうすることで糖と同様、塩分の濃度差が起こり梅酢と呼ばれる水分が出るため、保存性が上がるんです。この梅を消毒した瓶に半分ほど入れたところで、カリカリ梅作り最大のポイントを投入…それが「卵の殻」。梅は通常、しばらくすると酵素がペクチンを分解。細胞がバラバラになるため柔らかくなるんです。しかし、卵の殻の中のカルシウムがペクチンと反応すると酵素による分解の影響を受けにくくなるためカリカリに仕上がるんです!乾燥させて薄皮をとった卵の殻を砕きお茶パックに入れます。これを梅と一緒に瓶の中へ。梅酢が出やすいように、重しを乗せて蓋をしたら完成!
時間が作った梅シロップとカリカリ梅は所さんも目がテンのうま差(うまさ)だったのだ!
ハチミツプロジェクト!初めてのハチミツ採取
今年から取組み始めたハチミツプロジェクト!5月初めに養蜂がスタート。2週間もすると、1日におよそ2000個もの卵を産むという女王蜂が順調に産卵したようで2万匹だったミツバチは4万匹近くに倍増!巣は超過密状態に。そこで阿部さんが取り掛かったのは、巣の増築!新しい巣板を中に入れ、巣箱の容量を倍にしました!ミツバチの数が増えれば、当然集める蜜の量も増えます。里の畑でもこの季節に咲く花の蜜を集めるミツバチをちょくちょく見かけるように!
そして養蜂開始から2か月…ついにハチミツの採取。採蜜に使うのが、こちらの遠心分離機。ハンドルを回すと中に入っている四角い籠が連動して回転。中に巣板を入れ、遠心力で蜜を取り出す装置です。たまった蜜はここを開けると出てくる仕組み!出た蜜は不純物も含んでいるので、粗い目のふるいと細かい目のふるい2つかけて濾します。かがくの里には巣箱が2箱あるので、先生の読みでは10kg近くになるとのこと。さっそくかがくの里で初となる採蜜に取り掛かります。
慎重に巣版を取り出すと…巣穴に白い蓋がされた部分に糖度80%を超えるハチミツがぎっしり入っているんです。他にも、なるべく沢山ハチミツが採れそうな巣版だけを選び、いよいよ蜜を絞ります。フタがされたままでは、蜜が出ないので、蜜刀というナイフを使い、フタだけを切り落とし、遠心分離機に装着!クルクル回すと絞り終わった巣版は軽くなりました。蜜がなくなった巣版は、巣箱に戻して再利用できるんです。分離機のコックを開けると、大量のハチミツがドバド?バっと。阿部さん、待ちきれず、スプーン一杯分の味見。これで一匹のミツバチが一生のうちに集められる蜜の量。ミツバチにとってはとても貴重なハチミツ。ありがとうございます。最終的に採れたかがくの里第1号のハチミツは余力を残して8kg!秋はどれくらいになるのかな?
巣箱を置いてたった2ヶ月で8kgもハチミツが採れたのだ!
阿部さんに芸人仕事の依頼
阿部さんがかがくの里に来て早1年半。農作業も大分、板についてきました。でも、本業は芸人です!そんな阿部さんに、芸人・セバスチャンとして日の目を見る機会が!それが地元の道の駅、オープン1周年イベント。なんと、ライブをしてほしいと依頼が舞い込んだんです。
開演すると、地元のお客さんがいっぱい。養殖の専門家、千葉先生も見に来てくれました。さっそく阿部さんがいつものツナギに着替えると、会場からは阿部さんを応援する声。すっかり地元に愛されてるみたいです。肝心の漫才はご当地ネタ。意外とウケました!30分のライブは無事終了。
セバスチャンの2人がかがくの里に戻ると…農業の専門家高橋先生と、千葉先生が迎えてくれました。そこに用意されていたのは…かがくの里に来たばかりの高橋先生が初めて植えた作物ジャガイモ。「きたあかり」と「ワセシロ」。ワセシロは癖のない味で、揚げた時色が変わりにくいことからポテトチップなどの加工用に使われる品種なんです。
大きく育った2品種を収穫し、このジャガイモを、調理の専門家露久保先生がポテトチップにしてくれました!自分で育てたジャガイモから作られたポテトチップと、冷えたビールでささやかな打ち上げ!揚げたてのポテトチップスは絶品。味の濃いキタアカリに対してあっさりとした味わいのワセシロ。品種で個性が出るんです!
セバスチャンの2人、お疲れ様なのだ!