第1437回 2018.08.05 |
かがくの里・田舎暮らし の科学 | 場所・建物 食べ物 自然・電波・鉱物・エネルギー |
荒れ果てた土地を切り開き、科学の力で豊かな里山を蘇らせる、長期実験企画「目がテンかがくの里」2018年!
今回は、夏野菜作りと間伐材を使ってサラダボウル作りをします!
夏の収穫に向けて、苗の植え付け!
3月半ば。農業の専門家、高橋先生から渡された今年の栽培計画には、「トマト、キュウリ、ナス」と言った夏野菜が書かれていました!かがくの里では初めての挑戦。さらに、スイカや枝豆も!瑞々しい夏の恵みが期待できる素敵な栽培計画です。5月に入り、まず植えるのは…紅しずくという品種のスイカの苗。でも、スイカの苗なのに、スイカは上の部分だけで、下はスイカじゃないといいます。一体どういうことかというと…この苗、接ぎ木と言われる方法で作られたもので、上の部分はスイカ、下の部分はカボチャとなっています。
この接ぎ木をする理由は、スイカは根からの病気にかかりやすいから。根からの病気に強い、カボチャやユウガオなど、同じウリ科の作物を土台にして、強い苗にするのです。同じ科の作物なら、半分に切ってテープで止めておくと、自然にくっついて、水や養分が行き渡るようになるのです。さっそく、そんなスイカの苗を植えました。そしてその作業中、阿部さんの目に入ってきたのは…高橋先生が持ってきた、「なにかの苗」。その正体は、計画表は書かれていなかった「とうもろこし」。生でも食べられるほど甘みが強い「おひさまコーン」という品種です。スイカにトウモロコシ、収穫の夏が待ち遠しくなります。6月初めには…計画通りキュウリやナス、ミニトマトにゴーヤといった定番の夏野菜を植え付けて…夏野菜の植え付けはすべて終了。
そして、6月の終わり。照りつける太陽はもう夏モード。そんな夏野菜畑に嬉しい光景が!スイカが実をつけていました!
まだ小さいですが、ちゃんとスイカの形をしています。他の夏野菜も順調に育ってきているようで、あと一ヶ月しないうちに実が採れるそうです。ただ、その収穫方法がこれまで育ててきた作物と違います。今まで里で栽培してきたのは、収穫が一回きりで終わる、ジャガイモや豆類が中心でした。しかし、キュウリなどは収穫のピークになってくると毎日採るというのが前提になってきます。一日採り忘れると平気で倍くらいのサイズになってしまいます。キュウリの成長というのは、それくらい早いのです。大きい実をたくさんつけておくと木のためにもよくないのだとか。キュウリは採り忘れてしまうと、大きくなりすぎた実に栄養を取られてしまい、大事な本体が弱ってしまいます。
しかし、こまめにちゃんと収穫すれば、何度も実をつけてくれるそうです。なので、毎日ここで管理してくれる人が必要、と高橋先生は言います。というわけで、夏野菜のために阿部さんがわずかにあった芸人の仕事をセーブして、かがくの里で一人夏野菜生活を始めることになりました!
さらにこの日は、朝の農作業を終えた阿部さんと、スタジオで中継も繋ぎました。阿部さんは、里で採れたハーブティーを飲みながら、ハンモックでリラックスしている様子。
阿部さんの一人夏野菜生活スタート!
いよいよ、阿部さんのひとり夏野菜生活がスタート。その初日、阿部さんに日々の世話や収穫の仕方を教えるため、高橋先生もかがくの里へ。2人で畑に行くと、そこに目を疑う衝撃の光景が…。なんと、スイカが中身だけがほじくり返されて、食べられているのです!
一体、犯人は誰なのか?かがくの里に取り付けてある監視カメラを見てみると…鳥が何羽も畑に降り立っている姿が!どうやら犯人はカラスのようです。頭のいいカラスは、ようやく実ったスイカを、人のいないところを見計らって、散々食い散らかし、お腹いっぱいになって飛び立っていきました。対策をするには、畑に鳥よけ用の網を張るしかありません。ただ今回のカラス被害は、大ダメージというほどのものではありませんでした。実は、食べられてしまったスイカは大きく育てず、間引きする予定だったもの。後に「実」になるスイカの雌花は、一本のツルに複数咲きます。今回被害にあったのは、そのツルで一番に咲いた雌花が受粉し、実がついた一番果。一番果は大きくならなかったり、形がいびつになることが多く、普通は雌花の段階で摘み取ったり、実ができたら間引きするのだそう。つまり、スイカの被害は実質ゼロ。これから大きくなる二番果、三番果を守る準備をする、いい教訓になりました。
しかし、問題なのはトウモロコシでした。中からは、天敵であるアワノメイガの幼虫が出てきて、実が食われているものも。めしべの部分がある程度茶色くなってくれば、中はある程度熟しているそうなので、これ以上虫の被害が拡がる前に、急遽収穫を行うことに!予定よりも早い収穫ですが、ちゃんとおいしそうなトウモロコシができていました!早速、阿部さんが生でも食べられるというトウモロコシを試食すると、そのフルーツのような甘みにビックリ!
実は、トウモロコシには、採れたてが一番甘い、という科学的な理由があります。収穫後のトウモロコシを段ボールで密閉し、それをサーモグラフィーで撮影すると…徐々に箱の温度が上がっていきました。これは、トウモロコシが収穫後も呼吸を続けているため。その熱で温度が上昇しているのです。しかし、呼吸は糖分を消費してしまうので、採れたてで糖を消費していない状態が一番甘くおいしいのです。
しかもこの日、阿部さんの一人夏野菜生活に役立つ色んなレシピを教えてもらおうと、露久保先生にも来てもらっていました。急遽、採れたてのトウモロコシを茹でて頂くことに。トウモロコシの糖分が水に溶けやすいから、茹ですぎは厳禁!今回は、5分茹でます。採れたて茹でたてのトウモロコシを食べてみると、やはり格別!
そんなハプニングで始まった、阿部さんの一人夏野菜生活。朝5時半から起きて、ゴーヤやキュウリのツルが伸びて絡まったのをほどいたり、結構頑張っている様子。さらに、ひとり夏野菜生活2週間目という阿部さんとスタジオで中継を繋いでみると、ミニトマトやキュウリが順調に育っていました。キュウリはもう収穫できるサイズに。ますます他の夏野菜の収穫が楽しみになってきました!
脱衣所代わりの小屋を作ろう!
ひとり夏野菜生活を満喫している阿部さん。日々行う農作業の後は、里で収穫した食材をメインに自炊をしています。たくさん保存してある大豆を煮たり、去年収穫した、ゆうだい21というお米を土鍋でおいしく炊いて、去年漬けこんだ梅干しをおかずにしたり。さらに、6月末に収穫した、丸くつやつやなインカのめざめを味噌汁にするなど、最高に贅沢な朝ごはんを食べているようです!
さらに阿部さんは、畑仕事と並行して、地元森林組合のみなさんと、里山整備も行っています。たっぷり働いた後、最高にうれしいのが、自然エネルギーの専門家、川村先生が作った太陽熱温水シャワー!里が一望できる、檜の手作り露天風呂で浴びるシャワーは最高なのですが、一つだけ問題が。それは…脱衣所が無いこと。風の強い日でも、素足で歩いて帰らなくてはいけません。
そこで、屋根付きの脱衣所が欲しい!ということで、阿部さんは地元森林組合でお世話になっている西野さんに相談をしました。西野さんは、今年の4月に出会って以来、木の伐り方など、色々なことを教えてくれる、阿部さんにとって師匠のような人です。西野さんなら、脱衣所を作れるのではないか、と聞いてみると、あっさり出来るとの返事が!実は西野さん、友人のお庭に小屋を建てたことがあるそうです。そこで、どんな小屋なのか見せてもらうと…きれいなイングリッシュガーデンにマッチしたすごくお洒落な小屋が!
しかもこの小屋、西野さんが伐りだした木材を使い、たった一人で建てたのだそう。中もすごくお洒落!本業である林業の合間を縫って、わずか2か月で作ったそうで、木のことを知り尽くした西野さんだからこそできる芸当です。
ということで、阿部さんが西野さんの全面バックアップのもと、かがくの里の間伐材を使って、素敵な小屋作りに挑戦することになりました!どんな素敵な小屋が建つのか、こちらも楽しみです!