放送内容

第1479回
2019.06.09
移住体験・岐阜県郡上市 の科学[前編] 場所・建物

 今回の目がテンは「移住シリーズ」第7弾!岐阜県中部に位置する「郡上市」。壮大な雲海に浮かぶ神秘の城「郡上八幡城」の城下町には、美しい川が流れ込み、住民たちは水と密接な暮らしを送っています。そんな郡上市、実はここ1、2年で年間100人以上もの移住者が集まっているのだとか!今回も金丸慎太郎さんが、移住体験プレゼンターとして10日間の移住体験!
 今回は、岐阜県・郡上市を科学します!

充実した移住者支援制度!

 東京駅から新幹線で名古屋を経由し、単線列車に乗り換え、そこから4時間。岐阜県のほぼ中央に位置する郡上市。街の9割が森林に囲まれているという、自然に囲まれた街には、およそ4万人の人々が暮らします。雲海に浮かぶ天空の城「郡上八幡城」から見下ろす町並みは、長良川の支流、吉田川が町の中央を流れ、風情ある城下町が残されています。

 まずは、家を探すため市役所へ。相談に乗ってくれたのは、政策推進課の三島さん。そもそも郡上市にはどれぐらい移住者がいるんでしょうか?三島さんが言うには、移住の政策が始まった10年前から240世帯ぐらいが移住してきたそうですが、ここ1~2年でまた多くの移住者がやってきているそうです。
 郡上市では、移住者を対象に就職を決めた人にお祝い金のような形で10万円の奨励金を出したり、世帯で移り住んできた人のために、0歳~18歳までは医療費にかかる自己負担分を助成するなど、多くの支援制度を設けています。年々、減りつつあった人口。そこで市は、移住者を招くために支援制度を整備し、それを分かりやすくパンフレットにまとめてPRした結果、ここ数年で移住者が増える結果につながったのです。

 そして、移住希望者の家探しにも心強いサポートが。相談に乗ってくれたのは、先輩移住者でもある愛知県出身の真能(まのう)さん。実は、家探しをサポートする相談員は、全員移住者なんです。金丸さんのリクエストは、自然に近いところにある住居。すると、「石徹白(いとしろ)」という場所を候補に挙げて頂きました。人口が250人ぐらいの小さな場所ですが、若い方からお年寄りまで含めて、なんと人口の5分の1が移住者という地区なのだそうです。早速、案内してもらいます。市街地を抜け、車を走らせること1時間。福井との県境、日本三名山の白山の麓に位置する、自然豊かな集落「石徹白(いとしろ)」。標高700mの農業が盛んな場所で、のどかな田園風景が広がっています。

 家を紹介してくれたのは、この土地と同じ名字の石徹白秀也(いとしろひでなり)さん。この地域には多い苗字なのだそう。石徹白さんは、移住希望者をサポートする活動を行っています。案内されたのは、築年数およそ60年の一軒家。

 間取りは、1階が2部屋。そして2階にも2部屋あり、電気ガス完備の4LDKとなっています。気になる家賃は…1日1000円と光熱費!即決でこの家に住むことに決定しました!家のすぐ隣には…石徹白(いとしろ)小学校。周囲には、のんびりとした風景が広がっています。 いよいよ郡上市で、10日間の移住生活開始!まずは、恒例の今治タオルでご近所さんにご挨拶。さらにあいさつ周りを続けていると、雨が降りそうだということで、突然の訪問にも関わらず自宅へ上がらせてもらうことに。実はこの日、4月下旬にも関わらず昼間の気温は10℃。標高が高いため、例年この時期でも雪が降るそうで、家の中で暖をとらせてもらいました。今治タオルを渡してご挨拶を済ませると…お食事も頂くことに。茎を折って収穫することから、地元では「折り菜」と呼ばれる、菜の花のお浸しを頂きました。

 移住初日から、地元の人の優しさに触れることができました。

野の物を食べる!山菜採り

 ご近所周りを続けていると、1年半前、福島県から移住してきた大西さん夫婦と出会うことができました。小学1年生の長女・風彗(かえ)ちゃんと長男の輝空(こうすけ)くんの2人のお子さんがいます。福島では、自然体験を教える学校で働いていた大西さん。石徹白(いとしろ)に移住してきたきっかけというのが、キャンプにボランティアに来ていた人に勧められたからなのだそう。自然に囲まれた生活に憧れていた大西さん。石徹白(いとしろ)の環境が、自分の理想に限りなく近く、移住を決意したと言います。しかし、実際に住んでみると…予想以上の豪雪に大苦戦。毎日雪かきを行わないと、家が埋もれてしまうほどです。

 それでも…親子そろって雪が大好きだったため、厳しい冬も乗り越えることができたと言います。
 そして、大西さんの提案で山菜採りへ同行させてもらうことに。輝空(こうすけ)くんと風彗(かえ)ちゃんもやる気十分です!まずは、“かんぞう”という野草を採ります。“かんぞう”とは、春に芽を出す山菜のこと。若葉をてんぷらや炒め物にして食べます。すると、風彗(かえ)ちゃんがスギナをゲット!さらに、紫色の花ごと食べられるという“すみれ”も採ります。その後も、タラの芽やつくしなど、様々な山菜を収穫。1時間でたくさん採ることがでました。
 さぁ、みんなで夕食の準備!山菜を天ぷらにしていきます。金丸さんは、スミレを使ったサラダ作りをお手伝い。そして料理も完成したところで、いただきます!採った山菜を、自分たちで調理して食べる。これぞ、大自然に暮らす魅力のひとつです。

農作物を守る!里山保全活動

 こうして…1日目の移住生活が終了。翌日、この日は、移住歴10年を超える先輩移住者の元へ伺います。興膳(こうぜん)さん一家は、12年前に福岡県から移住してきたそうです。そのきっかけは、岐阜の大学に通っていた時に移住者から、石徹白(いとしろ)での自給自足のような暮らしぶりを自慢されたから。大学卒業後、すぐに移住を決めたそうです。移住後は、猟師の免許を取得し、害獣駆除を通して里山の保全活動を行っているのだそう。
 子どもたちとはここでお別れし…罠を仕掛けるところを見せていただくため、一緒に近くの山へ。地元の猟友会の方々と合流しシカがいそうなポイントへ向かいます。すると、すぐに抜け落ちたシカの毛を発見!さらに山を歩くこと5分…シカのフンも見つけました!

 見つけた場所は、畑がある民家のすぐそば。ここに罠を仕掛けるそうですが…その方法は、シカが足で踏む場所を予測し、そこに罠を仕掛ける、という方法。倒木などがあるとシカがまたぐので、足の位置が比較的読みやすいのだとか。
 金丸さんも一緒にお手伝いします。まずは、標識を木に取り付け、人が誤って罠を踏まないようにします。続いて、仕掛けとなるワイヤをきつく締めます。シカが踏むことでワイヤが締まるという仕組みです。

 そして、この仕掛けを興膳(こうぜん)さん監修の元、土に埋めます。さらに、枝や石を踏まない習性を利用して、罠を囲うように枝を置いていきます。これで罠の設置が完了!
 こうした活動により、年間2000万円以上あったシカの農作物への被害が年々、減少しているんです。作業を終え、向かったのは…猟師仲間の家。実はここから…みんなで宴会です!振る舞われたのは、猟師仲間が獲ったシカのもも肉。興膳(こうぜん)は、害獣駆除だけでなく、シカ肉を地域資源に活用するため、ソーセージなどに加工して世間に広める活動も行っているんです。塩コショウを振り、じっくりと焼き上げたら…猟師特製、新鮮な「シカ肉のステーキ」が完成!

 シンプルにわさび醤油で頂きます!さらに、葉っぱ全体がニンニクの香りがする「ギョウジャニンニク」を巻いて食べるのが、地元ならでは。こうして宴会は続きました。大自然で送る移住生活は、2日目にして、数多くのふれあいがありました。