放送内容

第1491回
2019.09.08
かがくの里・田舎暮らし の科学 場所・建物 自然・電波・鉱物・エネルギー 地上の動物

 荒れ果てた土地を切り開き、科学の力で豊かな里山を蘇らせる、長期実験企画!それが!目がテンかがくの里!連日、暑い日差しが降り注いだ今年の夏。その太陽が育んだ夏の実りをさっそく収穫!けれど、衝撃の展開も!え?ハチがいない!?一体どういうこと?
 今回は、いい事も悪い事も色々起きたかがくの里の夏です!

里の竹炭を使ってジャガイモと枝豆を炭火焼き!

 このところ、ウナギ養殖やミツバチ、里山再生など大きなプロジェクトに取り組んでいるかがくの里。でもかがくの里の原点、農業も、専門家の高橋先生と一緒に、ちゃ~んと頑張ってます!
 3月末。今年、最初に植えた作物は、ジャガイモ。ホクホクした食感が人気の「キタアカリ」と、煮崩れしにくい品種の「とうや」。今年、初挑戦するのが、赤い皮のジャガイモ、レッドムーン。その2週間後には、夏に向け、枝豆を植えました!
 両方ともすくすくと育って、長引く梅雨にも負けず、しっかり花を咲かせ、7月中旬、収穫です!大きなジャガイモがゴロゴロ!初挑戦の赤いジャガイモ、レッドムーンも豊作!
 さらに1週間後、枝豆の収穫です。枝豆はとれたてが一番おいしいんですって!そこで!現在、木材利用の専門家村田先生と取り組んでいる炭焼きプロジェクト。その炭焼き実験でできた竹炭で、採れたての枝豆と、ジャガイモを焼いちゃうことに!
 火を入れた竹炭が赤くなったところにアルミホイルでくるんだ枝豆とジャガイモを置き、待つことおよそ30分!炭火でホイル焼きにして、枝豆にじっくり熱を加えていくとゆでた時より、麦芽糖が増えて甘くなるんです。
 そして皮が赤いジャガイモ、レッドムーン。レッドムーンはジャガイモの中では水分が多くみずみずしさが特徴の品種。こんな風に、炭火で蒸し焼きして、歯ごたえが残る程度に火を通すと、一番おいしくなるみたい。
 炭焼き実験の竹炭と、里の夏の恵みのコラボ!またしても美味しい組み合わせができちゃいました!

養蜂プロジェクトに大事件発生!ミツバチが消えた!?

 4月上旬。かがくの里で嬉しいニュースがありました!2年前から置きっぱなしだったゴーラという木箱に予想もしないタイミングで二ホンミツバチが巣を作ってくれたんです!
 これってつまり、普段私たちがなめているセイヨウミツバチのハチミツではなく、とっても貴重な二ホンミツバチのハチミツがなめられるってこと!という訳で、養蜂プロジェクトがスタート!
 するとその1か月後、二ホンミツバチたちが衝撃の行動に!お馴染み、里山の達人、西野さんが指さしたのは、飛び回っているおよそ8000匹の二ホンミツバチ。これは、巣の中が働き蜂でいっぱいになった時に起こる「分蜂」というもの。
 すると、今度は西野さんがとんでもない行動に。行き先が決まらず団子になっていた蜂に、霧吹きで水をかけ飛びにくくしてから、手で袋に入れちゃったんです!
 セイヨウミツバチの養蜂で使っていた巣箱に蜂たちを入れて、里の二ホンミツバチの群れが2つに増えました!
 ちなみに、この西野さんのやり方、ちょっと強引だと思っていたんですが、よくよく調べると、江戸時代のニホンミツバチ養蜂を描いた「蜂蜜一覧」にも分蜂したハチの群れに水をかけ、鳥の羽で箱に入れる絵が。伝統的な方法だったんです。

 その後、2つの群れにわかれた二ホンミツバチたちは活発に飛び回り、花のミツを集めていました。実は、働き蜂って、外に行って花の蜜を集める「外勤バチ」と、巣の中で働く「内勤バチ」に分かれているんです。
 そもそもハチミツは、外勤バチが持ち帰った花のミツを口移しで内勤バチに渡し、体内にある酵素の働きで出来上がります。内勤バチは、できたハチミツを六角形の巣穴に吐き出して貯蔵しています。巣板が足りなくなってくると、内勤バチが貯えてあったハチミツを再び飲んで、体内でさらに加工してミツロウというロウを作り、それを材料に巣板を作るんです。
 5月下旬、蜂の専門家、小野先生が来たとき、ゴーラの巣板を数えたところ7枚!新たな巣の方も6枚に!蜜集めは、かなり順調!7月に入ると、巣版がゴーラの底についてしまったので西野さんが、急遽ゴーラの増築をするほど巣は成長していました。
 ところが、連日の猛暑となった8月初旬。蜂の巣箱で予想外の事態が!実はこの日、小野先生にもきてもらい、いよいよ蜜を採取するつもり、だったんですが…ハチがいない!?たしかに、あれだけ活発だった二ホンミツバチが1匹もいません。
 一体何が起きたの?箱の中をのぞくと、巣が落ちています。原因は今年の急激な猛暑。予想外の暑さで、ロウでできた巣が柔らかくなり沢山集めたミツの重さで落ちてしまったみたい。そして、巣箱の中も暑く、巣板も落ちて住みにくくなり、ミツバチたちは巣を捨てて、どこかにいってしまったんです。

 そして、木陰にあったゴーラの方も巣が落ちてしまいミツバチたちがいなくなっていたんです。しかもその理由は、ハチノスツヅリガという蛾の幼虫。

 蜂の巣を食べて成長する珍しい虫です。ミツバチたちは、侵入者のハチノスツヅリガを巣から追い出そうと彼らのいる巣板を削りとり、下に落とします。これが繰り返され、どんどん強度が落ちていき、蜜の重さによって巣板が落ちてしまったというワケなんです。 2つとも巣が落ちてしまい、ニホンミツバチがいなくなってしまいました。プロジェクトはどうなっちゃうの!?

ハチミツはどうなった!?

 巣が落ちてしまったってことは、肝心のハチミツもダメになってしまったってこと?蜂が消えた巣箱をあけてみると、落ちたのは一部でほとんどの巣版はくっついたまま。しかも、専門家が超一級と絶賛するハチミツが大量に残っていました。

 さっそく西野さんがナイフで切り離します。超一級のハチミツがぎっしり。表面の白いフタは、いいハチミツの証拠なんだそう。外勤バチが集めた花の蜜を、ハチミツにして巣に蓄える時、内勤バチが翅で風を送り、口でかき混ぜながら水分を飛ばしていきます。水分が20%以下になり完熟すると、このようにミツロウで蓋をするんです。
 味見した阿部さんがむせちゃうほど濃い蜜!さっそく搾っちゃいます。使うのは西野さん手作りの二ホンミツバチ採蜜機。

 サラシでつくった袋に、蜜がたっぷり入った巣を入れて、筒の中に車のジャッキを利用したプレス機を入れて手で回すことで、巣が押しつぶされて蜜が出てくる仕組み!
 どんどん溢れてくる黄金色のハチミツをビンで受け止めます。実は二ホンミツバチのハチミツは1キロ1万円から2万円くらいと、とても高価。20分で2キロほど入る瓶がいっぱいになっちゃいました!

 こうして、作業を続ける事2時間。養蜂箱に入っていた巣の蜜は全て搾り終えたと思ったら、西野さんが新たに、たっぷりミツが入った巣板をもってきたんです。
 実はこれ、ゴーラの方に入っていた巣板。西野さんは1週間ほど前にゴーラの巣板が落ちているのを発見。落ちていなかった巣板を全て回収しこの日まで冷蔵庫で保管しておいてくれたんです。色が、2種類ありますが、実は濃い色の方は、去年作られ、幼虫が2、3回、育った巣。さなぎの繭や脱皮の殻がくっついて色が濃くなるんです。
 これを絞ると、さっきの蜜よりも色が濃い!実は、去年溜められたもので熟成が進んでいるため、蜜の色が濃くなっているんです!こういうハチミツを2年ものといい、お値段もあがるそう。

 こうして採蜜作業を進めていると、西野さんが何やら鍋で煮詰めています。煮詰めていたのは、搾り終えた巣。これをサラシに入れてぐつぐつ煮込むと巣のロウの成分が溶け出てくるんです。これを鍋ごと冷たい水に漬けておくと、みるみるうちに、ロウの成分が固まって蜂の巣のロウが。これは蜜蝋といって、日本では1300年ほど前の奈良時代の頃からロウソクとして使われてきたそうです。

 今では、その甘い香りにリラックス効果があるとアロマキャンドルなんかに使われています。
 さぁ採蜜も最終段階!最後は手でしぼって。西野さんのおかげもあり、12キロものニホンミツバチのハチミツ採れちゃいました!!