放送内容

第1495回
2019.10.06
ハッザ族 の科学① 場所・建物 物・その他

 ついに放送30周年を迎えた『所さんの目がテン!』。それを記念して、今回は目がテン!が一度も足を踏み入れたことのなかったアフリカ大陸・タンザニアへ!野生動物の楽園とも呼ばれるこの地で、1万年前の生活を今も守っている“ハッザ”という民族の生活に迫るため、金丸慎太郎&都丸紗也華が集落で住み込み調査をします!

金丸&都丸がハッザに会いに行く!

 成田空港から飛行機で、丸1日24時間。タンザニアのキリマンジャロ国際空港に到着したのは、この番組でもお馴染み、移住体験プレゼンターの金丸慎太郎さんと歴史体験プレゼンターの都丸紗也華さん。
 早速、車でハッザの集落へ行くことに。ハッザが暮らすのは、空港からおよそ260km離れたエヤシ湖の近く。その辺りは年間を通して平均気温が25℃を超えることがなく、季節は、乾季と雨季が存在します。訪れた6月は乾季で、あまり雨が降らない、比較的過ごしやすい時期。道中、広々とした土地では、調理油に使うヒマワリや豆を育てている人たちが。タンザニアの人々の大多数は農家。人口が増えると共に、畑が開墾され、農地が増え続けています。その結果、狩りで暮らすハッザは土地を奪われ、奥地へと追いやられました。そのためタンザニア政府が、ハッザに狩猟採集をする土地の権利を与えて、生活を守る取り組みを始めたんです。
 未知なる出会いにワクワクする金丸さん。一方、都丸さんは、過去に歴史研究会で日本の1万年前に相当する、縄文時代の暮らしを体験。縄文時代と聞いて、火起こしや石の斧で木を切るなど辛い記憶がよみがえったようです。そして長距離ドライブは2時間を過ぎ…なおも先を急ぎます。気づけば辺りは真っ暗。舗装されておらず、街灯もない道を進むこと1時間。二人ともグッタリです。暗くてこれ以上進めないため、道中のホテルに泊まることに。
 翌朝。ハッザと交流があり、長年ガイドを行っているジョセフさんと、ホテルで合流しました。ジョセフさんがハッザの言葉を通訳するといいます。ハッザの人たちの言葉は、多くのアフリカの言語と異なり、クリック音がある言葉など、独特な言葉なのだそう。ジョセフさんの案内で、ハッザの集落へ出発!道中、ジョセフさんに話を聞くと、ジョセフさんは12歳の時に同年代のハッザと知り合い、その子と一緒に狩りをして遊んでいるうちに、ハッザの言葉や伝統を学んだそう。頼れるガイドです!

 再び悪路を進みようやくハッザが暮らす集落に到着しました。到着したエヤシ湖の周辺は、広大な大地に大きな岩がゴロゴロある場所。木陰にたたずむ人影を見つけ、ジョセフさんと近寄って行くと…ハッザの人たちに出会うことができました!みんな立ち上がって歓迎してくれます。

 ハッザのみなさんが身にまとっていたのは、自分が仕留めた動物の皮だそうです。まずジョセフさんに紹介されたのは、この集落をまとめているハントラさん。お互いの名前を教え合っていると…突然、一人の男性が楽器を奏で、歌い出しました。これは、指で弦を押さえて音階を変え、叩いて鳴らす、ハッザの伝統楽器。

 歌に合わせて一人が踊りだします。そして、都丸さんも誘われ、一緒にダンス。初体面なのにみんなで踊るという展開に。ハッザのみなさん、かなり陽気なようです。すると金丸さんが、この場にいるのが男性ばかりだということに気づきました。確かにそこには、男性のハッザばかり。ジョセフさんが言うには、伝統的にハッザは、日中男女別れて生活しているのだそう。男女は分かれて作業することも多く、日中女性は別の場所にいます。そして、女性ハッザにもご挨拶。陽気な男性ハッザとは違い、シャイで全く笑わない女性たち。果たして仲良くなれるのでしょうか?集落全体像を見るため、ドローンを飛ばして見ると、この辺りには何もなく、木と岩だけが続いています。そんな環境で、いよいよ1週間のハッザ生活がスタートしました!

一発で鳥を仕留める!狩猟民族の子供

 まず、金丸さんが、狩猟で一番大切な弓矢の使い方を教わります。すると、その後ろで子供が弓を構えて、獲物を狙っています。せっかくなので、その様子を見てみることに。小鳥に狙いを定め、弓を放つと…なんと、一発で仕留めました!

 獲物にいつ出会うか分からないため、子供でもいつも弓矢を手放さないそうです。すると早速、火をおこして小鳥を食べるようです。火をおこす方法は、日本の縄文時代と同じ、もみ切り式。摩擦で熱くなった木のくずをワラの中に入れて…息を吹きかけます。いとも簡単に火をつけると、そのまま小鳥を突っ込みます。燃えた羽をむしり、さらに直火焼き。金丸さんも分けてもらいました。味は焼き鳥のようで美味しかったそうです。獲物は、獲った人が独り占めせず、みんなで分け合うのがハッザ流なんです。

 日本の年表に当てはめると、1万年ほど前の縄文時代は、まだ農耕を行わず、狩猟採集生活をおくっていました。そして、2000年前くらいの弥生時代に、ようやく農耕がはじまり、弥生時代の後期になると鉄器が入ってきます。さらに、古墳時代の後期になると文字が使われるようになります。ハッザは、狩猟採集生活をしているので、日本でいう縄文時代に近い暮らしをしているのです。
 ハッザの基本的な特徴の1つは、「食べ物を独り占めしない」ということ。狩りでは、いつ誰が獲物を獲るか分からないので、獲った人が独占するのではなく、獲物はみんなで食べようという意識がすごく高いと金丸さんは感じたそうです。そして、もう1つの特徴は、「年齢の概念がない」ということ。ハッザは、タンザニアの気候である雨季と乾季という季節は認識していますが、暦を持たないため、自分の年齢も定かではないようです。

ハッザ伝統の方法で家作り!

 ここで1週間滞在するため、金丸さんが集落に自分が住むための家作りをさせて欲しい、というお願いが。ハントラさんが言うには、家作りは男女で分かれて作業をするのだそう。都丸さんは、女性たちと作業。金丸さんは、男性たちと作業を行います。ハッザの家は木とワラで作られたシンプルなもの。中に家具などはなくガランとしており、あるのは狩りで使う弓矢だけ。見た目は縄文時代の竪穴式住居と似ています。

 さっそく男女分かれて金丸さんの家作りを開始。金丸さんは、家の骨組みとなる木を探しに行きます。家の骨組みにするのは、「クイラペ」という木。クイラペは、曲がりやすくて丈夫なので、家の骨組みにはうってつけだそうです。力を合わせてクイラペの木を引っ張り出します。
 一方、都丸さんは女性ハッザたちと、屋根に使う草を取りに。ノリがいい男性ハッザと比べると、女性はかなりシャイ。不安そうな都丸さんですが、心の距離は詰められるんでしょうか? 女性の作業は、屋根に使う「エナピ」という草を集めること。厳しく指導され、エナピを集め終わったら…今度はンゴロペという木の皮をはいで、束ねるロープにします。思った以上に硬く、皮をはぐのも一苦労。頑張って皮をはぐ都丸さん。女性ハッザたちが応援してくれます。無事作業も終わり、いつしか心の距離が縮まったみたいです。とった木の皮でエナピを縛り、頭に乗せて持ち帰ります。村に到着したら女性チームのエナピ集めは終了!男性チームは、切り落としたクイラペの木を15分かけて集落まで運んでいました。まったく疲れを見せないハッザの人たちに、金丸さんも驚きを隠せません。
 さあ、二人がとってきた材料で家作りスタート!

 クイラペの木を曲げながら家の骨組みを作って行きます。さらに、枝を巻き付けて骨組みを強くしていきます。すると、先程一緒に踊って仲良くなった男性が、都丸さんに名前を聞いてきました。都丸さんが「とまるちゃん!」と答えると、男性は、自身の名前を「シーグワージー」と名乗ります。実は、シーグワージーという名前には、「ライオン」という意味があるのだそうです。ハッザでは、「ライオン」や「モグラ」といった動物を意味する名前をつけることが多いようです。家の骨組みを作り始め、わずか1時間であっという間に骨組みができました!

 今度は、都丸さんが持ってきたエナピで屋根を葺(ふ)いていきます。エナピを丁寧に敷き詰めていき、最後に家の中を掃除したら・・・金丸さんが暮らす家が完成!立派な家が出来ました!

 ハッザは、獲物がいなくなると集落の場所を変えるため、家は木と草で簡単に作ります。しかし、通気性がよく、雨期にはエナピを足せば雨もしのげるそうです。そして太陽が沈むと、焚き火の周りに集合。夜は毎日、焚き火をして集まっていると言います。すると、「ンドノコ」と言うバイオリンの様な伝統楽器で一曲。全員で、独特な歌を歌います。ハッザは文字を持たないため、こうして夜な夜な語り合うことで、口づてで歴史や文化を伝えてきたんです。
 金丸さんは自分で作った家で就寝。そして都丸さんは、恒例の眠り方チャレンジ!ハッザは、家の中に動物の毛皮を敷き、その上で眠ります。今まで日本のいろんな時代の眠り方に挑戦し、一度も眠ることができなかった都丸さん。今回は、ハッザの若者から借りた家に虫対策のカヤを入れ、寝袋も完備しました。しかも、怖がる都丸さんを安心させるため、家のそばで寝ずの番をするのは、都丸さんを気に入ったシーグワージーたち。実際、雨が降らないこの時期は、焚き火の前で雑魚寝も多いとか。これならきっと眠ることができる・・・かな?ということで、チャレンジスタート!すると…長旅と、家を建てたりした疲れからか、意外にも寝た・・・?かと思いきや、せっかく見張りをしてくれているシーグワージーの歌やしゃべり声をうるさがる都丸さん。その時!虫を見つけてパニックになる都丸さん。ここでギブアップ!

 今回も失敗に終わりました。ともあれ、よく頑張りました!結局、スタッフ用に設営していたテントで寝ることに。お疲れ様でした!