放送内容

第1507回
2020.01.05
冬に役立つ情報編 の科学 総集編

 今回は、これまでに放送した冬に関するテーマを見直しました。色々奇抜な実験をやってきましたが、たくさんある中には、「自分も真似してみたいな」と思う冬に役立つネタがあったんです。

① 鍋の科学

 目がテンは、鍋を科学的においしく作る方法を編み出しました。それが、具材はだしが冷たい状態から入れるべし!科学的には、火をかける前に具材を入れたほうがおいしくなるんです!
 例えば、鍋の主役・お肉。お肉は冷たい状態のだしに入れると、お肉の中のうまみがだしに溶け出すので美味しいだしを取ることができます。沸騰した状態で肉を入れると、肉の外側が固まり、うまみが出なくなるそう。
 さらにこの方法で、最も美味しくなるのがきのこ。きのこの旨味成分はグアニル酸といい、60~70度くらいの温度帯の時に生成されます。つまり、60~70度をゆっくり通過することで、きのこのうまみを多く引き出すことができるんです。しかも、お肉も60度くらいの温度で加熱すると柔らかく仕上がるそう。
 そこでポイントとなるのが火加減ですが、温度を測りながら、鍋を作るなんて面倒。そんな時は是非、卵を使ってください。
 まず冷たい鍋の真ん中に卵を落とします。卵の白身のタンパク質がだんだん白く固まり始めますが、この時の温度がだいたい60度なんです。あとは火を弱めて、その状態をキープ。ゆっくり加熱していけば完成です。
 冷たいときから食材を入れると、肉やきのこのうまみ成分が多く生成され、さらに白菜などの味が染み込みやすい食材はうま味たっぷりのスープが時間をかけて染み渡るため美味しさがアップするんです。

② すき焼きの科学

 実は、お手頃な輸入牛をあるものを使うだけで霜降り和牛のように軟らかくする方法があるんです。それは、キウイ!まずキウイを輪切りにし、お皿に敷いて、その上にお肉をのせます。さらに上から、キウイでサンドイッチ。あとは1時間ほど室温に置くだけ。
 キウイにはアクチニジンというタンパク質を分解する酵素が含まれています。実はこのアクチニジン。すごいパワーがあるんです!
 すりおろしたキウイを薄いお肉の上にのせると、なんと1時間で、お肉がドロドロ。極限状態の軟らかさ。ちなみに、お肉を挟んだキウイはすき焼きの割り下に入れて煮るとさっぱり美味しくいただけます。

③ カニの科学

 カニを簡単にむく2つの極意をご紹介。教えてくれるのは、カニの早むき名人、通称むきむき みっちゃん。
 カニむき・極意その1、「関節は曲がる方向と反対に折る!」
 外側に向けて曲がる脚の付け根は内側に力を加えると簡単に折れます。そして、真ん中の関節は内側に曲がるので、外側に力を加えると簡単に折れます。どちらの関節も、曲がる方向と反対に折ることで、素早く解体できるんです。
 続いて、カニむき極意その2、「身を取り出す時は、折って!押す!」
 実は、カニの殻は赤い部分は硬く、白い部分は軟らかくなっています。なので、赤く硬い方を手前に、外に向かって折るだけで簡単に真っ二つ。あとは、軟らかい白い方を押すだけで身が飛び出します。カニの構造を理解したむき方なら美味しいエキスも垂れ流しません。

④ ミカンの科学

 「ミカンは揉むと甘くなる」って聞いたことありませんか?この噂が本当なのか?確かめてみました!
 協力してくれたのは、おにぎりを握り続けて15年。もみもみ名人・右近さん。この方なら、ミカンを揉むのが上手に違いない!ということでお店の営業中、ずーっとミカンを揉み続けてもらいました。忙しくてミカンが揉めなくなったら他の人にバトンタッチこうして揉むこと10時間。
 揉む前と揉んだ後のミカンの糖度と酸度を比較したところ、糖度はほぼ変わりませんでしたが、酸っぱさを示す酸度が揉む前と比べるとおよそ3割も減っていたんです。
 ミカンは収穫された後も、人間と同じように呼吸を続けるんですが、実はミカンは揉まれると、そのストレスで、呼吸が増えるんです。その呼吸の時に使われるのが酸っぱさの成分、クエン酸。つまり、揉むとクエン酸が減り甘くなったように感じられるんです。ちなみに、あとあと調べたところ、揉む回数は50回でも効果は出ることがわかりました。
 さらに目がテンでは、今から30年前、ミカンを使った壮大な実験を行っていました。ミカンの皮に含まれている、d-リモネンという油で、車を走らせる大実験!
 ということで番組は、愛媛でミカン20万個分の皮を調達。その皮からミカンの油、20リットルを抽出。これを車のタンクに注ぎ込み、エンジンオン。見事、ミカンの油で車を動かすことに成功したんです。目がテンは30年も前に、バイオ燃料で車を走らせるという偉業を成し遂げていたんです。

⑤ 静電気の科学

 冬に定番のお悩みといえば、ビリっと痛い静電気。しかし、あるものを使えば、イヤ~な静電気を防ぐことができます。それが保湿クリーム!
 実は、静電気をためやすい人は乾燥肌の持ち主。そこで、乾燥肌の人たちに保湿クリームを塗ってから帯電してもらい、ドアノブを触ってもらいました。保湿する前は静電気がきた人も、保湿後は感じませんでした。水は静電気を通しやすい性質。そのため、保湿クリームにより肌の水分量がアップしたことで、静電気は放電されたんです。

⑥ ゴボウの科学

 冬が旬の野菜「ゴボウ」。目がテンは、ゴボウの消臭効果に注目。ゴボウはドジョウ鍋など食材のニオイが強い料理にもよく使われます。その理由はゴボウを切って、水につけた時に出るアクのポリフェノール。このポリフェノールとニオイ成分が結合することで、生臭いニオイが抑えられるんです。この消臭効果に目をつけた目がテンスタッフは、なんとゴボウ消臭スプレーを作ることに!
 作り方は、
 水 500ml
 レモン 1/4個
 ゴボウ 60g
 こちらの材料を一緒にミキサーにかけます。
そして、煮沸して殺菌した後、コーヒーのドリップなどでこしたら完成。あとは、スプレーに詰めればOK。その効果はプロもお墨付きの驚くべきものでした。

⑦ 重曹の科学

 重曹は冬のお悩み、あの嫌なニオイを抑えてくれるんです。それは、ブーツのクサ〜い足のニオイ。その方法は、100ミリリットルの水に小さじ1杯の重曹を加えるだけ。スタッフが2週間履き続け、クサ~くなってしまったブーツで検証。スプレー前のニオイはイヤ〜なニオイがあります。しかし、重曹スプレーをかけてみると、くさくない!?
 足のニオイは、酢酸やイソ吉草酸と酸性の物質が多く含まれています。重曹は弱アルカリ性なので中和反応によって、ニオイを抑えることができるんです。これにより、足のニオイの原因となる物質が揮発しにくくなり、臭いがしなくなるんです。
 さらに!重曹パワーは冬の味覚も美味しくします。こちらは干したスルメイカ。スルメを重曹が入った水に一晩つけると、コチコチの干物だったスルメが水分を吸って、生のイカのようにプルプルに。

 重曹はお肉のタンパク質、筋肉の筋繊維のつながりを緩めて、そこに水もより入りこんでくれるんです。

⑧ カキの科学

 続いて新年会で役立つネタ。なんとお酒を飲む前に、カキを食べるだけで、悪酔いを防ぐことができるんです。そこでこんな実験。カキとミカンを、それぞれジュースにしたものを用意。双子の姉妹に協力してもらい、2つの効果をみてみます。
 まず妹さんはミカンジュース、お姉さんはカキジュースを同量飲み、その後、ウィスキーも同じ量飲んでもらいました。
 そして30分後、呼気に含まれるアルコール濃度を測定すると、カキのジュースを飲んだお姉さんは濃度が低く、アルコールがそれほど回っていないことがわかったんです。
 カキにはタンニンという成分があり、それが酔いを防いでくれたんです。アルコールが胃に入ると、アルコール分子が胃粘膜に吸収され、血液に入り、アルコール濃度が高まります。しかし、カキの場合は、タンニンが胃粘膜のタンパク質と反応して胃粘膜が収縮します。これにより、アルコール分子の通り道が塞がれて、吸収されにくくなったんです。

 さらに、カキにはアルコールの分解を促進する効果もあるそうです。

⑨ 冬太り対策

 とても簡単に食べ過ぎを抑える方法がありました。それが、小さい取り皿で食べる。
 2つのお皿にのった、ちらし寿司。右のほうが多く見えませんか?実は、どちらも同じ100グラムなんです。

 女子美術大学・坂田先生によると、おなかが満腹になる前に視覚的に十分満足ということが脳に分かれば私たちはそれ以上食べないといいます。
 そこで、食べるの大好き、安村アナで実験。詳しい内容は伝えず、2日に分けて宴会に参加してもらい、料理を食べてもらいました。
 1日目は普通サイズの取り皿を使って、数日後、今度は小さい取り皿を使って食べてもらうと、普通サイズの取り皿で食べた料理はおよそ2700キロカロリーでしたが、小さい取り皿で食べた料理はなんと、およそ900キロカロリー。小さい取り皿の方は、食べる量がおよそ3分の1になりました。食いしん坊の安村アナにも効果抜群でした。

⑩ オンチ克服

 実はあることをするだけで、オンチを克服できるんです。
 この人が歌っていたのは、カラオケの人気曲、キセキ。リズムの刻み方が途中から早くなるため、オンチの人には難しい1曲。実はオンチの人に多く当てはまる原因がリズム感のなさ。そんな人にイチオシの方法が、窓ふき。窓ふきをしながらリズムを刻むことで、体がリズムを覚え、うまく歌えるようになるんです。

 曲のリズムに合わせて窓を拭くこと1時間。さあ、練習の成果は?見事、オンチ克服!
 実はリズムが取れるようになると、自然と正しい音程が取りやすくなるんです。しかも、窓もキレイになるので、一石二鳥。