放送内容

第1553回
2020.11.29
かがくの里・田舎暮らし の科学[収穫祭2] 場所・建物 食べ物 地上の動物

 今年も無事、所さんをお迎えして6度目の収穫祭!前回は、旨味がギュッと詰まったかぼちゃスープに、わずか2か月でできた秋ジャガイモ!里の恵みを堪能しました。
 そして今回は、阿部さんが種もみから育てたお米と、先生が育てたお米を食べ比べ!すると阿部さんのお米がまずい!?一体なんで?
 さらに、貴重なニホンミツバチのハチミツを、所さんの目の前で採取!ところが、里の達人、西野さんがまさかの失敗!?ハチがとんでもないことに?!
 かがくの里6回目の大収穫祭スペシャル!

阿部米と先生米の食べ比べ

 まずは、色々あったお米の食べ比べ!今年5月の自粛期間中、阿部さんは自宅のベランダで、種もみから稲の苗づくりに初挑戦。1か月半、手塩にかけて育てました。苗までベランダで育った阿部米。一方、先生米は、高橋先生が大学のビニールハウスで苗まで育てました。

 とはいえ、品種は同じ。どちらも田んぼに植えてから精米までは全く同じ条件です。果たして、違いはあるのでしょうか?
 比べてみると、みずみずしい先生米に比べて阿部米のほうが少し黄色くみえます。

 食べてみても、先生米はいい香りとのことですが、阿部米はバッサバサ!
 思えば、6月下旬の田植えの日。同じ品種なのに、高橋先生が育てた苗と比べると、葉が茶色になり、元気がない阿部苗。原因は根の貧弱さ。実はベランダでは、苗の根が育つのに必要な日光が十分当たらなかったようなんです。それでも、田植えをして根が伸びてくれれば問題ないとのことで、確かにその後、阿部苗はちゃんと根付き、収穫できたのですが、なぜここまで、色や味に違いがでてしまったのでしょうか?
 後日、高橋先生に、その違いを分析してもらいました。すると、阿部米のほうが、タンパク質の量が1%多いという結果が。

 高橋先生は、タンパク質1%の違いが、食味に影響があったというふうに考えられるといいます。
 実は、お米のおいしさを決めるコンテストでも、タンパク質の含有量が低い方が良いとされているんです。阿部米は、たんぱく質が多かったためデンプンが少なくなり粘り気が失われたことで、モチモチではなくボソボソとした食感に。タンパク質含有量が多い場合、糠の量も多くなります。黄色い糠が表面に多く残り、阿部さんのお米は黄色く見えたんです。
 高橋先生によると、昔から苗半作(苗の出来で育ち具合の半分が決まる)と言い、苗の良し悪しが最終的な品質に関係すると言われています。阿部苗のほうが、日照不足など、どうしても条件が悪かったので、苗が貧弱になってしまったんです。

里の稲でできた茶碗

 所さんが使っていたお椀ですが、巻胎技法という方法を使い、かがくの里の稲からできていたんです。収穫祭のおよそ1週間前。作り方を見学に阿部さんがやってきたのは、香川県高松市。
 かがくの里の稲で、お茶碗を作ってくれた西岡大さんに、作り方を見せていただきました。
 まず、稲藁から剥いで取り出したストロー状の茎をナイフで片側だけを裂き、アイロンで熱を加えてテープ状に。
 それを里の米の糊で繋げて、ひとつ10cm程の茎を、なんと250回も張り合わせ、およそ25mに。すべて巻き取ったものを、スライドさせ形を整えると、かがくの里で育った稲が、確かにお茶碗の形になりました。そこに漆などを焼き付け、厚さを出して強度を増します。最後に磨いていくと、稲藁茶碗の完成です。

ニホンミツバチのハチミツ採取

 2017年から始まった、ニホンミツバチの養蜂プロジェクト。今年に向けて、西野さんが作ってくれた7つの巣箱。
 かがくの里の中に3つ、あとの4つは、里の外で、西野さんがここなら入ると目をつけた場所に設置しました。野生のミツバチが巣箱に入らなければ一貫の終わり。
 すると、なんとかがくの里の巣箱2つと、里の外に置いた3つに、それぞれ群れが入るという最高の結果に!ところが!自粛期間に対策が遅れ、5つの巣箱のうち2つも、蜂の巣の害虫にやられ、さらに、残る3つの巣箱の1つも、天敵スズメバチに襲われ、群れが逃げてしまいました。 
 なんとか収穫祭まで守り切った巣箱は2つ。群れが残った2つの巣箱は、里の外のものでしたが、かがくの里に移動しておきました。
 ミツバチが入って7か月、巣の中の様子は?所さんも防護服に着替えて、ハチの専門家、小野先生と巣箱を確認することに。
 すると小野先生、冬越しのために、集団で固まって熱をだしてるといいます。働きバチは、蓄えたハチミツをエネルギーにしながら胸部の筋肉を震わせます。女王蜂を中心にして、発熱した働き蜂が体を寄せ合い団子状になることで、巣箱の中は34度程度に保たれ、寒い冬でも越すことができるんです。

 さっそく、貴重なニホンミツバチのハチミツを採ることに。今回は、普通、全部採る蜜を3分の1だけにし、3分の2は残すことに。さらに、もう1つの巣箱は蜜をとらないことに。そうすると、2つの巣箱の群れがそれぞれ分蜂して、うまくいけば4つの群れが、かがくの里に残ってくれるかもしれません。
 巣箱の中は、蓋に巣板の上がくっついていて、落下防止の棒が貫通し支えている状態。まずこの蓋に接着している部分をワイヤーで切り離し、上の方にいるハチに風をあてて下に移動させます。その後、巣の上から3分の1を落下防止の棒の上あたりで切り離す作戦。

 なぜ下ではなく、上の3分の1をもらうのかというと、小野先生いわく、上から蜜をためていくから。下で子供を育てていて、ハチも下に集まるそうなんです。

 それでは、ハチミツを採ります。まずは、蓋と巣板の切り離しに成功。
 そして、上にいるハチを下に追いやります。続いて、上3分の1を切ります。と、その時!!なんと、残すはずの巣が全部、下に落ちちゃったんです。落下してしまった巣を巣落ち棒の上にのせて、ハチがここから巣を修復してくれるのを祈ります。

 収穫祭から10日後。巣箱の様子を確認しに行くと、ハチは修復に向けて集まっていました。ミツバチたちは巣落ち棒の上にのせた巣板と蓋の間を修復。さらに、巣落ち棒に新しい巣を作り始めていたんです。
 ここに、ミツバチのエネルギー源となるハチミツと砂糖水を混ぜたものに、ハチが溺れないようガーゼをのせて、巣箱の中に設置しました。今後、砂糖水が切れないよう補給すれば、冬越しをバックアップできるそう。ニホンミツバチたちに元気に冬越ししてもらえるよう、しっかりお世話していきます!

 今回はここまで!次回も、かがくの里収穫祭スペシャル!
 採取したハチミツを贅沢に!さらに!去年のリベンジ!ウナギの捕獲に成功!?お楽しみに!