放送内容

第1554回
2020.12.06
かがくの里・田舎暮らし の科学[収穫祭3] 場所・建物 食べ物 水中の動物

 絶賛開催中!かがくの里、6度目の収穫祭!前回は、里の恵みを味わい尽くし、西野さんと、ニホンミツバチの巣箱からハチミツ採り。貴重なニホンミツバチのハチミツを今年も!
 そして、今年のウナギ養殖プロジェクトもクライマックス!
 今年、里に仕掛けた水中カメラに写った巨大ウナギ!里のヌシか?巨大ウナギを大捜索!巨大ウナギが通った跡を発見?!果たして、ウナギは捕まえられたのか?
 かがくの里大収穫祭、ハチミツ&うなぎ大捜索スペシャル!

貴重なハチミツを実食!

 まずは所さんがずっと楽しみにしていた、貴重なニホンミツバチのハチミツ、いただきましょう。ミツバチが集めたミツは長時間かけ水分が抜け、糖度が高まると蜜ロウでフタがされます。これが完熟ハチミツ。
 そして、同じ巣箱でも、色の違うハチミツがあるんですが、これは、季節によって採れる花のミツが違うから。春には桜や柿の花、夏には栗の花など、その時々、咲いている花からミツを集めるので色が変わるんです。

 私たちが普段食べているハチミツは、養蜂に向いたセイヨウミツバチが集めたもの。加熱処理されたものもあり、生のものとは風味が違います。しかし、里のハチミツは、野生のニホンミツバチが、かがくの里にやってきて巣を作り、時間をかけて色んな花のミツを集めたもの。とても貴重で、2万円ほどで取引される場合も!
 待ちに待ったハチミツのお味は?所さん、大絶賛!

 実は事前に、小野先生に、完熟したハチミツの香りの分析をしてもらいました。その結果、さまざまな香り成分が検出されましたが、例えば、「酢酸フェネチル」や「ベンズアルデヒド」は、主にバラ科に含まれているもの。里にあるバラ科の植物といえば、そう、あの、忘れられた梅の木。今年、梅の実がたくさん実ったのも、ニホンミツバチがミツを採り、受粉したからと思われ、まさにかがくの里の自然循環のたまもの。
 ハチのおかげで大量に実ったウメの実は、人の手で梅干しとなり、今年の収穫祭では、里のお米のおいしさを引き立てる、名わき役に。
 さらに里のハチミツには、普通のハチミツにはない物質、エタノールが。エタノールは、里のハチミツが長期間熟成されたことを示す指標になるそう。そもそも花の香り成分には入っておらず、ハチミツの中の酵母菌が時間をかけ、発酵した時、生まれる物質なんです。普段、食べているセイヨウミツバチのハチミツは、短い期間でミツが採られて出荷されますが、里のニホンミツバチのハチミツは、フタがされた後、半年以上熟成、香りと味に深みが増した、貴重な「ビンテージハチミツ」ということ。
 西野さんがハチの巣を全て絞ってくれて、今年は、およそ6kgのハチミツが採れました。

ウナギ養殖プロジェクトを振り返り

 今年も気になる、かがくの里の目玉企画、ウナギ養殖プロジェクト!
 そもそも里で行っているウナギプロジェクトの目標は、現在、絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの数を増やし、絶滅の危機から救うこと。ウナギを増やすために、養殖で大きく育ったメスを川に放流し、海で卵を産んでもらおうと考えたんですが、一般的な養殖場で育てると、なぜか99%以上がオスになってしまうんです。ならば、自然環境に近い、かがくの里のため池でウナギを育てれば、一般的な養殖ではオスばかりになるウナギが、オス・メス1対1になるのではないか?
 そこで2年前。里のため池で半年育てたウナギが、オスになったのか?メスになったのか?確認してみると、回収できたウナギの、なんと7匹がメス、5匹がオスと、ほぼ1対1の割合になることが確認できたんです。

 そこで、去年のウナギ養殖プロジェクトでは、オスメス1対1という実験結果を確実なものにするため、里の池に、新たに200匹のウナギの稚魚を入れたのですが、秋、大型台風のせいで池が増水。あふれた水に乗ってウナギが逃げ出したのか、全員で必死に探したのに、全くウナギを見つけることが出来ませんでした。
 そこで今年、台風などの自然災害に強い池にするため、改良工事を施すことに。池全体にネットの囲いを作り、池からウナギが逃げ出さないようにしました。人がエサを与えず育てている里のウナギ。秘密は、田んぼと池が地下のパイプで繋がっていて、田んぼの水が池に流れ込むことにあります。米作りのため、田んぼに入れた肥料や堆肥は、栄養豊富な水や泥となって池へ流れ込み、植物プランクトンが増え、それを食べる動物プランクトンも増えます。池の魚は、動物プランクトンを食べて大きくなる自然循環を利用した「ほったらかし養殖」です。
 今年は、自粛期間で1ヶ月池に入れるのが遅れましたが、今年6月下旬、なんとか、まだ性が決まっていないウナギ200匹を池に入れることができました。この後、ウナギはこの池でほったらかし。ただ、秋までに大きくなってくれるのを待ちます。
 8月。ウナギが順調に育っているのかを見るため、阿部さん、池に水中カメラを仕掛けました。夜行性のウナギが活発に活動する夕方6時から9時、モニターで池の中を観察です。すると!カメラの前を横切るウナギが!ほったらかしでも、順調にウナギが育っているようです。さらに!水中カメラがとらえた、里のヌシともいうべき、巨大なウナギ!去年かおととしに入れたウナギかも!

あの巨大ウナギは…?

 迎えた収穫祭当日!果たして、里のヌシ、巨大ウナギを捕らえることは出来るのか?ウナギ養殖の専門家、千葉先生にお越しいただきました。
 実は去年とろうとしたときに1匹もとれなかったので、不安ということもあり、3日前に、すでに捕獲をしていました。全部で20匹。しかし、大きいウナギでも、せいぜい20cmほどで、里のヌシは見つからず。
 ということで、水中カメラがとらえた巨大ウナギを捕まえるため、全員で大捜索開始!
 所さんが目につけたのは、ウナギの寝床になればと、千葉先生が入れた筒。すると、阿部さんが見つけたのは、マルタニシ。

 マルタニシは日本の在来種で、かつて田んぼに生息していましたが、近年、農薬のせいで激減。2012年に絶滅危惧種に指定されました。
 去年まで里の池には、マルタニシはいなかったのですが、意外な形で里の池に入った可能性があるそう。それは6月下旬のこと。里のため池にやってきた、つがいのカルガモ。どうやら、カルガモなど水鳥の足にくっついていたマルタニシが、池に落ちて増えたと考えられるそうです。
 マルタニシが里のため池で増えたことで、とても大きなメリットが!実はマルタニシ、農薬など有害物質がなく、栄養豊かな水質を好む環境指標生物。里の池には、ホンモロコや、ウナギのエサとして入れたスジエビなど、様々な生物がすみついているのですが、池には水の流れがなく、放っておくと、魚のフンや死骸などの有機物がヘドロとなって溜まっていきます。しかし、マルタニシがいれば、死骸や有機物を食べるので、水質が改善します。実は、里の池の水質を守る生き物だったんです。

 そんな貴重なマルタニシでしたが、今日の目的は、大きなウナギを捕まえること!
 しかし、いくら探してもウナギは見つからず。結局、4人がかりで必死にウナギを探しましたが、見つけることが出来ませんでした。

巨大ウナギ探しの救世主出現!

 ここで最終手段!前回の収穫祭でもお世話になった守山先生です。守山先生が背負っていたのは、魚を生きたまま捕獲出来る秘密兵器!水中に弱い電気を流して、魚を一瞬気絶させ、捕まえるという、その名も、エレクトロフィッシャー。守山先生が秘密兵器で、ウナギ捜索開始です。
 そこで、守山先生にウナギ探しを任せ、所さんたちは、西野さんに呼ばれて休憩タイム。毎年、所さんのためにごちそうを用意してくれている西野さん。今年は、西野さん特製、燻した色んなお肉。

 所さん、里の周辺で捕まえたイノシシ肉に「たまんないね、うまい!」と大絶賛。
 その時、守山先生が、ウナギを捕獲?!
 残念ながら、今回の収穫祭はここまで。

 次回、守山先生が捕まえたウナギを、オス・メス判定実験!果たして、メスは出るのか?さらに、里の裏山で行われているフクロウプロジェクトに新展開!?
 そして、うれしいビッグニュースが!
 所さんの目がテン!かがくの里の、6年におよぶ取り組みが高く評価され、環境省が主催する【第8回グッドライフアワード】において『実行委員会特別賞 環境アート & デザイン賞』を受賞しました!
 これからもかがくの里は、環境を意識した取り組みを続けていきます!