第1555回 2020.12.13 |
かがくの里・田舎暮らし の科学[収穫祭4] | 場所・建物 地上の動物 水中の動物 |
環境省主催、第8回グッドライフアワード実行委員会特別賞を受賞した、目がテン!かがくの里!今年でもう6回目となった、かがくの里大収穫祭。里の恵みを色々食べつくし、今回、いよいよクライマックス!
ついに捕獲した、今年の里ウナギ!オスかメスかを判定!果たして、その結果は!?さらに!!所さんと共に、間伐してキレイになった裏山へ!巣箱の中には、あの生き物が里で暮らした形跡が!
今回も発見いっぱい!かがくの里、秋の大収穫祭スペシャルです!
ウナギの性別判定!
前回から行っているのは、里一番の目玉企画!ウナギ養殖プロジェクト、今年の総決算!
今年は6月末に200匹のウナギをため池に入れ、秋、性が決定するくらいまで大きくなったところを回収し、何割がメスになるかを確認する計画でした!
8月、ウナギの様子を見ようと池や水路に水中カメラを沈めてみました。すると、映ったのは、おそらく今年入れたものでなく、去年より前に入れ、今まで捕まらずに大きくなった、いわば、里ウナギのヌシ!
そこで前回、ヌシ捕獲のため、所さんも一緒に皆で池を大捜索!しかし、ヌシどころか、ウナギは1匹も見つからず。収穫祭の前に捕まえていた20匹のウナギはまだ小さく、研究室でないとオスメスの判定ができないとのこと。
そこでウナギは置いといて、西野さんのイノシシ料理を堪能していました。
その時!里のヌシほどではないですが、性が決まっているはずの30cm程度のウナギを捕獲!ただ、ウナギは、お腹をさばき生殖腺を見ることでしか、オスメスの判定ができません。
見分け方は、形。小さい頃は透明でわかりづらいので生殖腺を見分けやすくする薬液を垂らすと、ハッキリと違いが!メスの卵巣はカーテン状。オスの精巣は半円状をしています。
性別判定のため、今回もウナギさばきの達人、高木さんにお越しいただきました!
ウナギ養殖の専門家、千葉先生が生殖腺を確認。果たして、今年の里ウナギ。オスなのか!?メスなのか!?すると、千葉先生「カーテン状になってます」。
カーテン状になっているということは、メス!薬液を垂らすと確かに、生殖腺がカーテン状をしていることがわかります!
つまり今年も、里ウナギからメスが出たんです!
他に捕まえていた小さなウナギは、池へリリース。大きくなるのを待って、来年の春、改めてオスメスの判定をすることに!そして、さばいたウナギは、高木さんにおいしくかば焼きにしていただきます!!
その間、一行は一旦、小屋で休憩。今年も西野さんの友人、中野さんが飾り付けをしてくれました。
秋の昆虫調査!
今年、昆虫調査をして45年という大ベテラン斉藤先生をお呼びして始めたのが、かがくの里の昆虫調査!本来の里山には、田んぼや池、その周りに雑木林があり、古くから多種多様な昆虫のすみかとなってきました。荒れ地から里山再生を目指してきたかがくの里には、いまどんな昆虫たちが住んでいるのか?
今年8月におこなった調査では、文字通り山深い場所に生息する深山(みやま)クワガタを見つけたり、本来、奥深い山にいるヒメサザナミスズメというスズメガを見つけたりと、昆虫調査で、自然豊かな場所になりつつあることがわかりました。でもムシは春夏秋冬で、成虫として見つかる種類が変わります。
そこで所さんと共に、秋の昆虫調査!果たして、どんな虫がいるんでしょうか?
斎藤先生によると、有名なのはコオロギやキリギリスなどの鳴く虫。すると、さっそく、アオマツムシという外来種が。
およそ100年前、中国大陸から日本に入ってきたアオマツムシ。木の上で生活するコオロギの仲間だそうです。外来種とはいえ、いまや秋の風物詩となったアオマツムシの音を聞きながら、裏山へ。
そこには、収穫祭の前日、斉藤先生と阿部さんが裏山に仕掛けた、地表を歩く昆虫をエサでおびき寄せ、落ちたらツルツルのコップを上がれない、ベイト(エサ)トラップというものが。
中には、酢飯の素とビールを混ぜたもの。
捕まったのは、アオオサムシの幼虫。
成虫は、様々な色の美しい光沢の羽が特徴で、昆虫好きに愛されています。後翅は退化しており、飛ぶことはできません。実はそれが、この辺りの環境を知る指標になるんだそう。
斎藤先生によると、開発されたり森林が伐採されても、飛べる虫は飛んで戻ってきますが、飛べない虫は、地面を歩いているため、一度開発されると、そこからまるっきりいなくなってしまうといいます。
つまり、この辺りの自然は、開発などで一度も破壊されていないということ。
さらに、トイレに来るセンチコガネというコガネムシも。今回も夏に続き、豊かな自然で暮らす多様な昆虫を見ることができました。
フクロウの巣箱は…?
去年12月。ウナギも捕獲してくれた里山生物の専門家、守山先生と共に行ったのは、フクロウの巣箱作り!実は先生、エレクトロフィッシャーを使うだけでなく、フクロウを愛し、その生態を研究する専門家!
先生に里の裏山を見てもらうと、間伐をしてきたことで、木々の間にスペースができて、飛びやすく、里の裏山はフクロウがすみやすい環境になっているというんです!
そこで林業家、西野さんの手を借り、自作の巣箱を木にくくりつけました。
フクロウは4月から6月、つがいとなり子育てのため、木の穴を探す習性があります。里の裏山にフクロウが来て、この巣箱に入ってくれることを祈っていました。
ところが今年、ちょうど巣作りをする時期に自粛となり、巣箱を見に行けず、7月、ようやく巣箱を見に行ってみると、なんとフクロウが来た形跡を見つけていたんです。巣箱を仕掛けた年にフクロウが入るのは、専門家守山先生も驚く、ラッキーな展開!ということで、その巣箱の中身を所さんがチェック。
すると、フクロウが子育てをした証拠の一つ、ヒナが食べたと思われる鳥の羽根!
さらに、ヒナが食べなかったカエルも!
守山先生によると、ここで子育てしたつがいが来年もう一回来るとのこと。
そこで、確率を上げるために、巣箱を2つに増やしました。来年もフクロウが来てくれるよう、新たに設置した巣箱。所さんが考えた名前は?その名も「北北東福福樓壱号店」。さっそく、阿部さんが直筆名前入りプレートを設置!もう1つ、弐号店もとりつけました!来年もフクロウが入れば、今年自粛で出来なかった定点観察に挑戦します!
ドングリコーヒーのお味は…?
実は今年、里の裏山で、もうひとつ計画が!それは、木材利用の専門家、村田先生が進めてきた、森の恵みドングリでコーヒーを作るプロジェクト!
ところが、所さんの反応はイマイチ。めげない村田先生は、収穫祭2日前、小雨の降る中、里の裏山に落ちていたドングリを拾い集め、殻をむいてコーヒー作りに取り掛かりました。
里の裏山には、シラカシとコナラのドングリが落ちていました。しかし、これらのドングリからおいしいコーヒーを作るためには必要な作業が。
里のドングリには、アクになる渋み成分タンニンが含まれています。灰などでドングリを煮ると、渋み成分であるタンニンが化学反応をして溶けやすくなり、また、ドングリの繊維もやわらかくなって、タンニンが抜けやすくなるんです。
こうして一晩、水に漬けておいたドングリをくだき、香ばしい香りが立ち込めるまで炒って煮だせばドングリコーヒーの完成です!所さんのイメージ、覆せるんでしょうか!?
里山の恵み、ドングリコーヒー、所さんは「ポットに入れっぱなしのコーヒー、酸味が急激なものの薄い感じ」との評価でした。
締めは、うな重!
その村田先生が頑張って作った里の炭で、こんがり焼きあげたウナギのかば焼き、いよいよ完成です。
秋の収穫祭、最後のウナギ。そのお味は、ウナギよりおいしいじゃん!アナゴの素焼きみたい!と大好評でした!
今年の収穫祭、所さんの点数は100点!今年は、自粛期間の影響で様々な計画が遅れたり、うまくいかなかったり、収穫祭が開けるかどうかも危ぶまれていました。けれどこれまでの6年、先生方や地元の方々と共に撒いてきた「自然循環」という種が、そこかしこで芽吹いて、とても実りある収穫祭になりました!
かがくの里は来年も、人と自然が共生する豊かな里山を目指し、色んなチャレンジをしていきます。ご期待ください!