第1556回 2020.12.20 |
科学ニュース2020 | 物・その他 地上の動物 水中の動物 |
日々世界中で発信される、科学にまつわる新たなニュース。優れた研究は数あれど、実は私たちの耳にまで届くことは意外と少ないんです。
そこで、科学番組として30年以上の歴史を持つ目がテン!が、2020年の気になる科学ニュースをお伝えしちゃいます!
動物にまつわる驚きのニュースや、日本の未来を担う若者のニュース、私たちの生活に役立つかもしれないニュースまで、目がテン!が勝手に選んだ科学ニュースを一挙紹介!
今回の目がテン!は、スペシャル企画!「もっと知って欲しい!科学ニュース2020」です!
牛のお尻にペイントで捕食回避
アフリカ南部・ボツワナでは、放牧している牛がライオンなどに捕食されることが、畜産農家の悩みのタネとなっていました。そこで行われたのが、牛のお尻に目を描くこと!2020年8月に発表された、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学の研究では、目のペイントをしただけで、肉食動物から襲われにくくなることが証明されたんです!
実はこれ、蝶や蛾などが天敵をあざむくために持つ、「アイスポット」からヒントを得たもの。
ライオンやヒョウは、獲物に自分の位置が知られていると狩りをしない傾向があります。この習性を利用し、牛のお尻に目を描くことで襲われないようにしたんです。
4年に渡る実験の結果、何も描かなかった牛、835頭中15頭が捕食されたのに対し、お尻に目のペイントをした牛、683頭は1頭も捕食されなかったのです!
一見変わったアイデアで家畜が守れることを証明した科学ニュースでした!
ジンベエザメの目に歯のようなものが!
世界最大の魚類・ジンベエザメ。目がテンでも度々取り上げた、広く知られているサメですが、実は今年、新たな発見があったそうなんです。それは、ジンベエザメの目が「歯のようなもの」で厳重に保護されていること!
沖縄美ら島財団の研究チームが6月に発表した論文によると、ジンベエザメの目には、人間の歯と同じような素材と構造でできた「ウロコ」が付いていることがわかったんです。これは他の脊椎動物では見られない、初めての発見!白目の部分に付いているウロコの数は、片目でおよそ2900枚以上もあったんです!
さらに、驚くべき発見は他にも!今回の研究で、ジンベエザメが目を引っ込めて隠す能力を持つことも、新たに分かったんです。体の大きさに対して目が小さいジンベエザメは、これまで「あまり視覚に頼っていない」と考えられてきました。しかし、今回の研究で「眼を厳重に保護している」ことがわかり、「ジンベエザメにとって視覚は重要」だということを表す結果となったのです!
サメの今後の研究にも役立つ、素晴らしい発見のニュースでした!
ゆっくりまばたきで猫と仲良く
ブームにもなっている、かわいい猫ちゃん。気分屋なイメージがありますが、ある方法で仲良くなれること、知っていますか?それは、「ゆっくりまばたき」をすること!2020年10月、イギリス・サセックス大学の研究チームによって、猫にゆっくりまばたきをすると、猫との絆を強める可能性があることが発表されました。
「猫がゆっくりまばたきをするのは、挨拶のような意味」だということは知られていましたが、今回、人間からまばたきをしても効果があることがわかったんです!
そこで、本当にまばたきで仲良くなれるか、猫カフェで実験してみます。
「ゆっくりまばたき」、やり方は、猫に向かってリラックスした笑顔のように目を細め、数秒間目を閉じるだけ。ゆっくりまばたきをして、猫も返してくれたらコミュニケーションがとれたということです。
まずは、ベン君に試してみます。しかし…逃げられてしまいました。他の猫も、なかなか目を合わせてくれません。やはり猫と心を通わすのは難しいよう…。続いてはつきちゃん。ちょっと警戒しているようですが、目が合ってからゆっくりとまばたきを返してくれたんです!この後も、まばたきのラリーを!
この後、他の猫にも挑戦すると、まばたきを返してくれました。ということで、無事、猫と仲良くなることができました!
毛髪より小さな医療用ロボット
2020年8月、アメリカ・コーネル大学の研究チームが、「4足歩行できるマイクロロボット」を開発したと発表しました。
それが、搭載されたソーラー電池にレーザーの光を当てることで動作するロボットなんです。サイズはなんと、0.1ミリ以下!人の髪の毛の直径や、原生生物のゾウリムシよりも小さく、もはや肉眼では見えません。将来的には、人の体内にマイクロロボットを注入し、腫瘍を切除するなどの用途が期待されています。そして重要なのが、4本の足。この足には、微弱な電気で曲がる金属が使われており、屈曲を繰り返すことで進むようになっているのです。
この足の動きを実現するためにヒントになったのが、実は折り紙。パタパタとした動きは、日本の折り紙技術から着想を得て実現することができたものなんです!マイクロロボットが私たちの体内で治療してくれる、そんな未来がやってくるかもしれません。
目がテン!が砂防学に貢献
新潟県上越市にある、地すべり資料館。自然災害や防災について学ぶ為の施設です。実はこの施設では、昨年放送した「目がテン!砂防の科学」を期間限定で上映しているんです!この日は、防災について学ぶ、市内の高校生たちが来ており、砂防を知らなかった高校生にも、興味を持ってもらえたようです。学会が緊急声明を出すほど、研究者が減少している砂防学。目がテンは、未来の砂防研究に少し貢献できたのかもしれません。
花粉入りシャボン玉で人工授粉
花粉を運ぶミツバチなどの昆虫が減少し、自然な受粉が難しくなっている近年。手作業による人工授粉が必要になっていますが、その労力が問題になっています。そんな中、開発されたのが「シャボン玉による人工授粉」!
2020年6月、北陸先端科学技術大学院大学の研究チームが、花粉を混ぜ込んだ「シャボン玉」で人工授粉に成功したと発表しました!
実験では、梨の花に花粉入りのシャボン玉を飛ばしたところ、95%の花が授粉に成功!シャボン玉が、花粉の運び役として機能することが証明されたそうなんです。果樹園や畑にシャボン玉が飛び交う…そんな幻想的な光景が見られる日も近いかもしれません。
サバイバル昆虫マメガムシ
水田などに広く生息する、体長5mm程度の昆虫、マメガムシ。このかわいらしい小さな虫には驚きの能力があるんです。それは、カエルに食べられても生きて脱出できること!
神戸大学の杉浦真治准教授が、マメガムシはカエルに食べられても、消化管を生きて通過し、カエルのお尻から脱出することを発見したんです!
一匹のカエルと同じ水槽に入れられたマメガムシ。すると、カエルに一瞬で食べられてしまいました。普通なら、食べられた虫は、そのまま死んでしまいますが、115分後、カエルのお尻から無事、生還したんです!
マメガムシは、硬いはねで消化液から体を守りながら、カエルを内部から刺激して排便を促している可能性があるんだそう。驚きの方法で身を守る、小さな虫の大発見でした。
高校生考案の魚を救うポリ袋
近年深刻化している、海洋汚染問題。海に流出するプラスチックごみは、生き物にも当然影響を及ぼしており、その誤飲や誤食も問題となっています。
そんな問題を解決すべく、現在考案されているのが、「魚にやさしい」ポリ袋!素材に、生分解性のものを採用しているため、海に流出しても、微生物の働きにより、1年前後で水と二酸化炭素に分解されます。
さらに、このポリ袋は、もし魚が口に入れても食べないように工夫されているんです。
考案したのは、なんと4人の高校生!メンバーの一人、渡邉心海さんにお話を伺うと、ポリ袋にデナトニウムという苦味物質を混ぜているそう。デナトニウムとは「世界一苦い」といわれる物質。人体には無害な成分で、誤飲防止に子どものおもちゃなどにも使われています。渡邉さんたちは、ポリ袋を魚が嫌う味にすることで食べさせないようにしたのです。
本当に、魚がポリ袋を食べないのか実験してみました。ポリ袋の入っていない、普通の餌を魚に与えると、魚はパクパクと食べていきます。今度は、ポリ袋を小さく切って混ぜ込んだ餌を与えてみます。最初は勢いよく食いつきますが、吐き出しています!本当に、魚が嫌っていることがわかりました。
このポリ袋は、現在商品化に向けて企業と開発中。渡邉さんたちの考えた、地球にやさしいポリ袋を、私たちが使う日も近いかもしれません。
目がテン!が賞をいただきました!
目がテン!かがくの里の取り組みが、環境省が主催する「第8回グッドライフアワード」で高い評価を受け、「実行委員会特別賞 環境アート & デザイン賞」を見事受賞したんです!
グッドライフアワードは、「環境と社会によい暮らし」に関わる取り組みを表彰し、情報交換などを支援していくプロジェクトで、かがくの里は、地上波テレビ番組としては初の受賞となるんです!環境省の皆さん、ありがとうございます!