放送内容

第1560回
2021.01.31
人類はこう作った!丸木舟 の科学[Part3] 物・その他

 科学技術が発達し、便利な生活を送れている現代。しかし、そんな生活ができるのは、先人たちが様々な発見を積み重ねたからこそ!目がテン!が発明の原点に立ち返るこのシリーズ!人類はこう作った!ヨーロッパ企画の石田剛太さんが昔の物づくりに挑戦します!
 今回のテーマは、縄文時代の丸木舟!これが18日という想定外の長期プロジェクトに発展。今回の目がテンは、人類はこう作った!「縄文時代の舟の再現」完結編です!!

石斧で船の形を整える

 高さ30m周囲2m24cm、舟の材料となる巨大な杉の木を切るところからスタート。木を切るのに使っていいのは、縄文人と同じように石斧だけ!伐採開始から3日目、13927回の打撃を加えたところでついに、切り倒しました。
 丸太が運び込まれたのは富士五湖の1つ西湖。湖畔のキャンプ場で舟造りの作業に入ります。ここからは酒井さんが助っ人に。使用するのは石斧と、効率的に木を加工できるクサビ。作業開始から9日。打撃回数94,539回!座れる深さまで掘り下げて、丸木舟づくりは佳境を迎えました。
 そして、作業開始から10日目。船内を掘り下げることができたので、いよいよ丸太の外側を舟らしく加工します。
 まずは、作業しやすいように舟を傾けます。縦斧で切り込みを入れ、クサビを使って、外側を剥ぎ取ります。これを何度も繰り返し、水の上を進みやすいよう先端を尖らせていきます。翌日も外側を整えます。ゴールが見えてきたからか作業が一段とはかどります。
 そこから翌日。この日は舟の動力となるパドルを作ります。材料は、最初に丸太から剥ぎ取った部分。

 この時活躍するのもクサビ。クサビで大まかな形まで作ります。
 その後、小さい石斧で細部を加工していきます。わずか半日の作業でかなりパドルの形になりました。

 午後からは外装を整えて、ほぼ完成の形になりました。

 ここから2日間は、2人が別の仕事で作業できないため雨宮さんが仕上げの作業。
 今の船内はささくれ立っており、このまま舟を漕ぐと体がボロボロになってしまいます。
 そこで、石斧で同じ年輪のところを切りそろえ、そのささくれを、なめらかにしていきます。技術が必要な難しい作業。宮大工で磨いた腕が光ります。翌日、仕上がった舟を見た2人は、焦る気持ちを抑えパドルを仕上げます。
 しかし、これですべての作業が終わった訳ではありません。
 伐採開始から16日目、雨宮さんが突然、完成しかけた丸木舟の中に火を放ちました。舟の中が燃え上がり、真っ黒焦げです。こんなことを本当に縄文人もやっていたのでしょうか。

 考古学の山田先生に聞いてみると、縄文時代の遺跡で発見される丸木舟は焦げてる部分が非常に多いそう。縄文人が丸木舟を作る時に火を使ったことは間違いないんです。
 では、なぜ、丸木舟を燃やしたのでしょうか?それは、加工後の舟の処理。
 雨宮さんが整えてくれたとはいえ、石斧だけでは表面はまだでこぼこしており、水の抵抗になっています。そのでこぼこを取り除くために火を使ったと考えたのです。
 実際に炎で舟を焦がし、そして、その焦げを石や牡蠣殻でこすると、水の抵抗を増やし、体に引っかかるでこぼこがなくなりました。

 さらにパドルも、たき火であぶります。こうすることで水分が飛び軽くなるうえ、毛羽立ちが燃えて握りやすくなります。これですべての加工が完了。
 丸木舟が完成したのは伐採開始から16日が経っていました。いよいよ、明日、西湖に舟を浮かべます。

丸木舟は水に浮かぶのか!?

 プロジェクト18日目。まずは、丸木舟を湖まで運びます。
 中はすっかりくりぬかれていますが、切り倒して間もないため水分を多く含んでおり、非常に重量があります。そこで、コロを使ってゆっくりと引きずっていくことに。
 湖畔に到着し、いよいよ進水です。バランス完璧!無事に水には浮きました!そして、人が乗っても問題ないようです!

 丸木舟本来の目的は水の上を遠くまで移動すること。縄文人は丸木舟を使い神津島まで行って帰ってきたことが分かっています。
 そこで、西湖の対岸を神津島に見立て現在の場所から往復することに!対岸までは直線でおよそ1.2km。往復2.4kmの冒険です。

 いよいよ出航!穏やかな湖面を滑るように進む丸木舟。2人で乗るには舟がやや小さいのか、湖面と舷がかなりギリギリです。
 しかし、順調だったのもつかの間。2人が操る丸木舟は蛇行を繰り返し、最短距離を進むことができません。体力を大きく消耗します。
 必死に漕ぐこと1時間、ようやく対岸が間近に!無事に対岸に到着!休む間もなくスタート地点に向けて帰りの航海を始めます。最後の力を振り絞り、ラストスパート!
 出航から1時間30分。無事、丸木舟で往復できました。

 人類はこう作った!縄文時代の舟の再現、これにて完結です!