第1643回 2022.09.25 |
かがくの里 の科学 | 場所・建物 食べ物 地上の動物 |
人と自然が共存する里山で巻き起こる科学的な驚きや発見!様々な楽しさをお届けする長期実験企画、かがくの里!
今年4月、新たに2トンのたい肥を撒き、畑の土を改良。5月に苗を植え付けてから、地元の方々の献身的な管理もあって、7月に入る頃には見事に夏野菜が大豊作!
そこで、里に関わる皆さんと共に夏野菜をふんだんに使った料理で感謝祭を開催!さらに!里に暮らす、ムササビが出産!?
今回は夏野菜パーティー&里で生まれる命スペシャルです!
トウモロコシでタコスパーティー
今年の里の畑には、トマトにピーマン、ナスにキュウリといった定番の夏野菜はもちろん、去年に引き続き、自然薯にアスパラ、今年初挑戦のユウガオまで!全部でなんと30種類!すべて順調に育ちました!
そんな中でも楽しみだったのが、阿部さんより大きく育ったトウモロコシ!順調に育っているトウモロコシを見て、阿部さんが思いついたのは「トルティーヤ」。トルティーヤは、トウモロコシを挽いた粉から作るメキシコの薄焼きパン。よく実った夏野菜を、トルティーヤでくるんでみんなを集め、タコスパーティーをしようと考えたようです!調理科学の専門家、露久保先生をお呼びし、トルティーヤ作りスタート!
まずは原料となる、トウモロコシを収穫。中には、鳥や虫に食べられているものもありますが、今回は粉にするので、こういうものでも問題ありません。むしろ粉にするからこそ、害にあったものや育ちすぎたもの、小ぶりなものを選んで収穫。皮をむいて、実を芯から切り離します。里に関わる先生たちや地元の方々に振る舞うのに十分な量。合計4kgのコーンを用意。それを乾燥機へ入れて、20時間乾燥させます。
水分が抜け、からっからになればOK。これを粉砕機で挽けば、コーンフラワーと呼ばれるトウモロコシの粉!
あとは、同じ作業を繰り返し、1200gの粉を挽き終えました。
当日、あいにくの天気ですが、パーティは決行!先生たちが集まる前に仕上げます。事前に挽いた粉に塩、オリーブオイル、水を加えこねたものを団子状にまるめ、プレス。最後に両面を焼きあげて、かがくの里特製トルティーヤの出来上がり!
続いて取り掛かるのが、タコスに欠かせないサルサ。サルサに使うのは里のトマトとピーマン。それから玉ねぎ、にんにく、パクチーを全てみじん切りにし、レモン汁とタバスコ、最後に塩コショウで味を調えて混ぜ合わせれば、完成です!
さらに、トマトと玉ねぎ、牛ひき肉を炒めて、コリアンダー、クミン、チリパウダー、ブラックペッパーで味付けした、タコミートも作りました!
それぞれお好みの量をトルティーヤに乗せ、チーズとレタスを加えればかがくの里でメキシカンなタコスが完成!
すると雨も上がり、続々と先生方が集結。今回、タコスだけじゃなく、とれたてのトウモロコシとナスも焼いてパーティの準備が整いました。まずは、里特製タコス!その味に先生方も大絶賛!
実はこの日、トルティーヤ以外にも、目玉の料理が。それが、おやき。その具は全て里で採れた野菜です。ナスはもちろん、巨大な初挑戦した万願寺トウガラシ。トウガラシという名前ですが辛くはなく万願寺甘とうとも呼ばれる京野菜の一種です。そして、シソも里で作っていました。
まず、ナスと万願寺トウガラシ、シソを炒めて、味付けは仕込みから5年!真っ黒に熟成した里の味噌です。最後に砂糖を加え、アンの完成。これを小麦粉で作った生地にくるんで焼きました!
これだけ多種多様の野菜がたくさん育ったのは、西野さんを中心に地元の方々が「友好関係を結んだ、白米千枚田に恥ずかしくない場所にしよう」と本当によく面倒を見てくれたから。かがくの里でつながり、生まれた人々の輪は、きっと農業遺産にも負けない大きく美しいものになっているはずです!
パーティの最後を飾ったのは、西野さんが持ってきてくれたヤマメの塩焼き。夏野菜パーティは大成功に終わりました!
ムササビの出産シーンの撮影に成功!
現在、かがくの里の裏山には、フクロウや哺乳類の動物が出産や子育てに使えるように、木の穴、樹洞に見立てた巣箱が8箱設置してあり、そのうちの、4箱の中には、内部の様子が24時間チェックできる定点カメラが仕掛けられています。今回、驚きの映像をとらえたのは、西野さんがムササビ用に仕掛けた、フクロウ用の巣箱よりも細長い巣箱。
果たして、何が映っていたのか?
まず、パーティー前日の映像。定点カメラに映っていたのはムササビの赤ちゃん。
それも2匹。これまでダイナミックな滑空シーンを見せてくれたり、昼間に巣箱から顔を覗かせる、キュートな姿を見せてくれたムササビが、赤ちゃんを産んだようなんです!
果たして、このムササビたちはいつ生まれたのか?そして、出産の瞬間はカメラに映っているのか?
映像をさかのぼっていきます。まずは、8月5日の映像。まだ子供は確認できません。そこへ親ムササビが巣材となる木の皮を加えて戻ってきました。そして、寝心地を確かめるようにゴロリ。なんだかおなかが大きいようにも見えます。しばらくすると巣箱を出て行きました。
2日後の8月7日。木の皮をくわえて戻ってきました。そして、大の字で眠りにつきました。その後も毎日、巣箱を出ては巣材を運び込むことを繰り返していました。
そして、8月10日夜1時頃。この日戻ってきたムササビは何もくわえていませんでした。3時30分。おなかのあたりを気にして、しきりに動いています。今度は壁に手をかけ、いきむようなポーズで動かなくなりました。3分後、再びジタバタしだし、と、そのとき!おなかの真ん中に突起物のようなものが。
もしかすると、これが頭かもしれません。そして、3時34分、ついに赤ちゃんが出てきました!
それから1時間後には、2匹目も無事出産。
かがくの里初!哺乳類の出産シーン撮影に成功です!
その後、哺乳類の専門家、後藤先生にムササビ出産の瞬間をとらえた映像を見てもらうと、なんと、後藤先生も初めてという、貴重な映像!
今後、この赤ちゃんムササビはどのくらいで巣立つのでしょう?
後藤先生によると、約2か月で巣穴から出て、半年くらいはこの辺りで生活し、そのあと独立してくといいます。
その後も興味深いシーンが続々と撮れているムササビの子育て。およそ半年の成長、定点カメラで追いかけ続けます!