放送内容

第1648回
2022.10.30
かがくの里 の科学[収穫祭3] 場所・建物 地上の動物 食べ物

 建築家・隈研吾さんを迎え、開催された今年のかがくの里収穫祭! 今回も里でしか味わえない贅沢な恵みが目白押し!さらに、フクロウプロジェクトではビッグニュースが!そして母屋用の木を伐採!見逃せないシーンが続々と!
 今回で、第8回かがくの里秋の大収穫祭もラストです!

ニホンミツバチ養蜂プロジェクト

 ニホンミツバチの養蜂がスタートしたのは今から5年前。木をくりぬいた専用の巣箱ゴーラを、里にしかけて2年後、 野生のニホンミツバチの群れが初めて巣を作りました。
 その後、ウメやスモモなどの花々が里にたくさん咲く環境の良さからニホンミツバチの巣はどんどん成長!ハチが受粉したことで果実も豊かに実るという、自然循環も育まれました。
 そして今年の5月。蜂の数が多くなると、群れが2つに分かれる分蜂が見られ、ニホンミツバチの群れは6群に。しかしその後、夏の暑さで巣板が落ちた群れも出て、秋の今、里に暮らす群れは4つ。
 今年の収穫祭では、大きくなった巣の1つからハチミツを一部、いただきます!
 蜜を採る方法は、落下防止の棒で補強してある巣の上の部分を隈さんにワイヤで切ってもらい、ミツバチを刺激せず蜜をいただくというもの。隈さん、人生初の採蜜体験をし、里の恵みが凝縮したハチミツを試食しました。

 実は、今回取った巣はニホンミツバチが2年前から作ってきたもの。巣は上から下に作られるので、切り離した一番上の部分に詰まっているのは、去年ハチが集めて貯蔵していた2年物の可能性大。下の方が今年のものなんです。
 市販のハチミツは普通、完熟して蓋がされるとすぐに出荷されますが、今回のハチミツは蓋がされた後に1年以上、熟成が進んだ貴重なビンテージハチミツということ!
 後日、小野先生が今年のハチミツを具体的に分析してくれました。 その結果、去年、いただいた1年もののハチミツに比べ、エタノールが多く、発酵が一段と進んでいることが判明。さらにお酒のスパイシーな香りとしても知られる脂肪酸エチルエステルも検出。それらの芳醇な香りに、多くの花の香り成分が重なっていたことが明らかに。ニホンミツバチのハチミツは、様々な花の蜜が混ざった、別名「百花蜜」。

 その名の通り、里でもウメやスモモをはじめ、畑のカボチャやソバ、田んぼに咲く野草のミゾソバなど四季折々の花の蜜が、今回のハチミツに凝縮しているんです。

里でフクロウのヒナが誕生!

 動きがあったのは6月。西野さんと阿部さんが、里に一番近い巣箱の中を確認すると、鳥の羽やペレット、干からびた虫など、フクロウが暮らしていた痕跡がたくさん出てきたんです。

 しかし、この巣箱には定点カメラが設置していなかったため、ここでヒナが育ったのかを守山先生に見てもらいました。すると、多分いなかったかもしれないとのことでした。ヒナが育った巣は、巣の中が踏みつけられ、平になるのですが、この巣には、真ん中に窪みがあり、平ではありません。そこでヒナがかえっていないと判断したんです。
 しかし、それから1か月半後、畑の止まり木に仕掛けたカメラが予想もしない映像をとらえていたんです。
 なんと、フクロウのヒナが2羽。

 巣箱にはヒナの痕跡はなかったのに、なぜヒナが里に?実は、痕跡を確認した時、平だった巣に偶然、窪みが出来てしまったようです。ともあれ今年、2羽のフクロウのヒナが、おそらく里で孵っていたことが明らかに!
これまで、地道に間伐し、整備してきた裏山は明るく開けたことで、フクロウがすみやすい環境になり、田んぼや畑にエサとなる生き物が豊富だったことでフクロウが姿を見せてくれるようになりました。そして今回、ついにヒナの誕生を確認。来年も、里のフクロウの様々な営みを見守っていきます。

母屋用の杉の木を伐採&里の恵みで昼ごはん

 来年、本格的に建築が始まる里の母屋。そこで、かがくの里の歴史を見つめてきた杉の木を伐採。

 母屋の一部として、隈さんに利用してもらうことに。
 西野さんが見事な回し切りで巨大な杉の木を伐採してくれました。この木が母屋のどこかに使われるのか、楽しみです。
 そして収穫祭のラストは、毎年恒例、西野さん特製の料理。今年は、里のイナゴの甘露煮と、つるくびカボチャの濃厚スープ。

 そして、 西野さんの知り合いが養殖しているヤマメ。まだ小さいものを特別にいただき唐揚げにしました。さらに、かんぴょう巻きと具沢山の味噌汁と四角豆の天ぷらとナムルも。
 今年、初栽培したゆうがおは、剥いて、数日間、天日干しし、だし・砂糖・醤油で煮詰め、里の新米でかんぴょう巻きに!
 所さんと隈さんも見るのも初めてという四角豆の料理も気に入ったようで、里の実りいっぱいの料理に大満足!

 隈研吾さんと共に楽しんだ8回目の収穫祭は大成功。
 人の手が離れた荒れ地が、手付かずだった 荒地が、これほど豊かな実りをうみ、自然循環が育まれているかがくの里。今後も、母屋プロジェクトをはじめ、ホタルやフクロウなど楽しみなプロジェクトが盛り沢山!ご期待ください!