放送内容

第1651回
2022.11.20
いかちゃんの残したい〜トコロ!シンポジウム[前編] 場所・建物 植物

 「いかちゃんの残した、い〜トコロ」今回は、特別編!
 里山に暮らす人に集まってもらい里山の未来を一緒に考えるシンポジウムを開催!
 里山とは一体どんなところなのか?いかちゃんがこれまで訪れた「残したい〜トコロ」を振り返り、人と自然が共生する里山の魅力を再発見!
 そして、かがくの里と友好関係を結んだ「能登の里山里海」を象徴する白米千枚田で今年はいかちゃんがお米作りに挑戦!
 今回の目がテンは、里山の未来をみんなで考えるいかちゃんの残した、い〜トコロ!シンポジウムです!

これまでにいかちゃんが訪れた残したい〜トコロ!

 今年、いかちゃんが訪れた「残したい〜トコロ」は、5か所。
 まずは、世界農業遺産に認定されている熊本県阿蘇地域。

 阿蘇といえば、広大な草原!
 ここでは、その草原を守る野焼きを体験。春に枯れ草を焼き払う野焼きは、新たな芽吹きを促す草原管理の重要な作業の一つ。実は、阿蘇地域は、草原を中心とした農業、畜産が密接に結びついているんです。
 草原で牛が育ち、牛の堆肥が草原の肥料となり、そして、草原が農業に「肥料」と「水」をもたらし、農業と畜産は、牛の「飼料」と「肥料」を与え合っています。草原を維持することで、持続的な農業、畜産を営んでいるのです。
 そして、いかちゃんが野焼きを行った場所は、1か月もすると、新芽が広がり、夏には、一面、新緑の草原に覆われています。この草原の大切さを知ってもらうため、トレッキングやサイクリングなどのツアーも行われています。

続いては、静岡県のわさび栽培地域。

 豊富な湧き水を使い、畳石式と呼ばれる方法で水をろ過しながら、水わさびを栽培しています。いかちゃん、収穫を体験させてもらいました。
 肥料も農薬もほとんど使わないわさび田。そんなわさび田は、周辺の生物多様性の保全にも関わっています。近くの川では、きれいな水の指標生物である様々な種類の水生昆虫が生息していました!
 生物多様性が保たれているのは、人の営みであるわさび田が豊かな自然と共生し、持続可能な栽培が行われていたからなんです。

 そして、いかちゃんのふるさと、山口県周南市。

 特別天然記念物のナベヅルの渡来地となっている八代では、そのツルを守るため、昔から里地里山を維持。そうすることで、ナベヅルの餌である水生生物をはじめ、里山の生きものたちの貴重な生息地となり、生物多様性や生態系の保全機能を果たしていました。
 いかちゃんが訪れた9月は、ナベヅルはまだ渡来していませんでしたが、ちょうどスタジオ収録の時期に八代にやってくるということなので、その様子を確認するために、山口県周南市と中継をつなぐことに。すると、ナベヅルを2羽見ることが出来ました。

 さらに、石川県輪島市の白米千枚田。

 ここでは、能登の里山里海の恩恵を受けたお米づくりを今年も体験!

 そして、忘れてはならないのは、いかちゃんが「目がテン」に初登場した、福井県三方五湖地域!

 水深や塩分濃度の異なる5つの湖が隣接し、様々な伝統漁が行われています。その多くが、湖周辺の里山の自然資源を利用した漁なんです。
 その中で、いかちゃんが挑戦した伝統漁は、長さ3m、里山の竹を使う「たたき網漁」。水面を力強く竹で叩きながら、湖に張った全長160mの網へ、フナやコイを追い込んでいきます。いかちゃんも、師匠である田辺さん指導のもと、たたき網漁に挑戦!その結果は、なんと80cmオーバーの巨大なコイがかかっていました。
 三方五湖地域の伝統漁は、「周辺の里山の自然資源を利用する」、「魚などの水産資源を獲りすぎない」、「獲れた魚は地域内で消費する」。自然資源を地域内で循環させることで、豊かな生物多様性が保たれていたんです。
 そして、三方五湖でものロケの後、大きな展開があったんです。
 それが、福井県里山里海湖研究所とたたき網漁師、そして、福井の若狭高校の女子生徒たちと一緒に開発した、日本初の成魚のフナの缶詰。
 三方五湖で捕れたフナやコイの需要が減ってきて、漁師の担い手も減ってきたことからその打開策として、2021年6月から3人の女子生徒を中心に缶詰開発を行い、試作を重ねて、およそ1年後の今年5月に商品化となったんです。

 これまで、いかちゃんが訪れた「残したい〜トコロ」は、人と自然が共生し、互いに豊かさをもたらす場所だったんです。

能登の里山 白米千枚田で田植え

 世界農業遺産に認定されている「能登の里山里海」を象徴する「白米千枚田」。この日本古来の田園風景を色濃く残す場所と「かがくの里」が友好関係を結び1年。2年目である今年は、いかちゃんが、お米作りに挑戦!今年も白米千枚田愛耕会の小本さんたちにお世話になります。
 いかちゃん、早速田起こしに挑戦!「田起こし」とはお米づくりの新たな1年の始まりを告げる大切な作業!田んぼの土をくわで起こして、土をできるだけ柔らかくして苗が植えやすいようにします。
 この田起こし、くわを使い、土を柔らかくするだけではなく、昨年の稲の株や雑草を土に混ぜ込むことが、とても重要なんです。

 土に混ぜ込まれた植物は、微生物の働きで分解され、腐植と呼ばれる有機物になります。そして、ミミズなどの土壌生物が、その腐植を土と一緒に食べ、その後、土の塊を糞として排泄します。この塊は、土の粒子が有機物などによって結合した団粒と呼ばれるもの。この団粒同士がさらにくっつくことで、大きな団粒となり、大小、様々な隙間がうまれます。小さい隙間は、強い表面張力で、保水性があり大きな隙間は、水が流れ落ち、空気が通ります。保水性が高く、通気性もある植物の発育を促進させる環境が生まれるのです。
 愛耕会の皆さんに手伝っていただきながら、田起こしをすることおよそ1時間。春の作業、田起こしを終えました。

 そして、2週間後、千枚田では田んぼに水を入れ、その水漏れを防ぐ「あぜ塗り」が行われています。

 土の壁を作り、割れ目や穴をふさいでいきます。
 機械が入れないため、手作業で行う体力のいる作業。見事、立派なあぜを塗り終えました。
 そして、5月、いよいよ、楽しみにしていた田植え。いかちゃん、教えてもらったやり方で植えていきます。いかちゃんが植えた稲、成長が楽しみです!