放送内容

第1652回
2022.11.27
いかちゃんの残したい〜トコロ!シンポジウム[後編] 場所・建物 食べ物 植物

 後世に残すべき日本の文化や風景を再発見!「いかちゃんの残したい〜トコロ!」特別編。
 里山に暮らす人に集まってもらい里山の未来を一緒に考えるシンポジウムを開催!友好の里白米千枚田のお米づくりがいよいよ収穫へ。さらに能登の恵みを身をもって体験。
 今回の目がテンは、里山の未来をみんなで考えるいかちゃんの残したい〜トコロ!シンポジウム後編です!

能登の恵み!塩づくりに挑戦!

 美しい山と海に囲まれた能登半島には、白米千枚田の他にも「里山里海」の恵みがたくさんあります。例えば、里山の牧草を食べ、育てられた能登牛。他にも、能登かきや能登かぼちゃなど、山から海にかけて、たくさんの恵みが。
 その中でいかちゃんが身をもって体験するのは、海水を使った「塩づくり」。現代では、海水から塩を作る場合、主に電気を利用して効率よく塩を抽出することが多いのですが、ここでは「揚げ浜式」と言われる昔ながらの技術で作っています。
 浜から汲み上げた海水を、砂が敷かれた「塩田」という場所にまき、乾燥させることで、塩田の砂に結晶をつけて塩を抽出するのです。
 いかちゃん、塩田で作業する職人、大下さんに教えてもらい昔ながらの塩づくりを体験します。

 まずは、海水をまく「潮まき」を練習。桶を使って塩田に海水をまいていくのですが、この潮まきで重要なのが、塩田全体に海水を均等にまくこと。均等にまけないと乾きが遅くなり悪循環になるんです。いかちゃん、均等にまけるよう、練習を繰り返します。
 すると、練習の甲斐あって、徐々にまんべんなく海水をまけるように。

 その後も練習を続け、コツをつかんできたところでこの日は終了。
 そして、翌日。いよいよ塩づくりをはじめていきます。ところで、まいた海水は地面深くに染み込んでしまわないのでしょうか?実は、塩田の表面は細かい砂ですが、その下は、水を通しにくい粘土質になっています。そのため、海水は地面深くまでは染み込みづらく、表面の砂に塩の結晶が付着するのです。いかちゃん、1時間かけて海水をまき終えました。この後、太陽の熱で乾燥させていくのですが、「こまざらい」という道具で海水をまいた砂に節目をつけていきます。凹凸をつけることで、表面積が広がり乾燥しやすくなるのです。
 2時間後には、砂の表面に結晶ができているのがわかります。その結晶を砂ごと集め、塩田での最後の工程。海水をかけて砂にある結晶をゆっくり洗い溶かしていきます。
 実はこれ、ろ過装置になっており、塩分の濃い塩水を作るために行うんです。砂についた結晶は、海水によって溶かされ、塩分の濃くなった塩水となって出てくるのです。海水の塩分がおよそ3%なのに対し、この塩水はおよそ15%。なんと5倍の濃度。

 塩田での作業は、この濃い塩水を作るところまで。
 続いては集めた濃い塩水を煮詰める作業です。ここからは、釜で作業をする本谷さんに教わります。
 塩田で集めた塩水は不純物を取り除くために2回煮詰めていきますが、この煮詰める工程、火加減によって塩の結晶の形や大きさが決まるので、慎重にやらなくてはいけません。結晶の形や大きさは、実は塩の味に影響するんです。
 結晶が大きいものは、口の中で溶ける時間が長くなりまろやかに、逆に結晶が細かいと素早く溶けるのでしょっぱく感じます。
 塩の味を決める重要な工程をいかちゃんが体験!まずは、薪をくべて火を起こしていきます。すると、釜にアクが出てきました。アクが残っていると、塩が苦くなってしまうので丁寧に取り除いていきます。

 火加減の調整に、釜のアク取り。合計12時間も煮詰めていきました。
 はじめは何もない塩水でしたが、煮詰めることで少しずつ結晶ができ、12時間後には、水分が蒸発し結晶が多くなってきました。

 焚き上がった塩は水分を取り除かなければならないため、塩床と呼ばれる入れ物にうつしていきます。
 この取り除かれた水分は、豆腐を作るときに使われる「にがり」。海水から塩分をのぞいた苦い液体にはマグネシウムなど、からだの機能維持に不可欠なミネラルが含まれています。この塩を2週間ほどしっかり乾燥させれば「揚げ浜式製塩」で作った塩が完成。職人たちが、時間をかけて手作業で作る天然の塩。里海があるからこそ作れる、能登の恵みでした。

白米千枚田でお米づくりもいよいよ収穫!

 いかちゃんが田植えを行った田んぼは、すくすく成長し、青々とした田んぼになってきました。そして、この時期に行わなければならないのは、草取り。

 いかちゃん、草取りをはじめていきますが、栄養を奪うやっかいな雑草以外にも、生育を妨げるものが。
 それは、微生物が作りだす硫化水素やメタンガスなど。このガスがたまると、稲の根を痛め、生育不良を起こします。そのため土を踏んだり、かき回したり、酸素を供給することでガスの発生を抑えていくのです。見分けのつきにくい稲と雑草もあり、なかなか大変な様子。

 稲の生育のため、草を取ること1時間作業しました。
 そして9月。白米千枚田もいよいよ収穫の時期を迎えました。4月から始めたお米づくり、夏には青々とした田んぼが広がり、そして、秋、黄金色の輝く稲が実っています。

 早速、いかちゃんも収穫開始。ひと株ひと株、手作業で刈っていきます。手作業の大変さはありますが、その手作業でしか味わえない稲のありがたみを感じることができます。
 棚田の魅力を再確認した、いかちゃん。稲刈りは順調にすすみ、このあとは、刈った稲を天日干ししていきます。
 能登の秋を象徴する、はざ干しです。天日で1週間かけて、じっくり干していきます。
 そして、天日干しした稲を脱穀、もみすりを行い玄米にしていきます。その際に出る、稲わらも無駄にはしません。わら同士を絡めて、わら縄を作ります。稲わらは、はざ干しの木を組み立てるときに使い、もみ殻の一部は畑の肥料などに使われんです。
 そして、スタジオでは、白米千枚田でとれたお米、そして輪島の塩を使った塩むすびをいただきました。この塩むすびは所さんも「うまい!」と大絶賛でした!