放送内容

第1682回
2023.07.02
かがくの里 の科学 場所・建物 地上の動物

 里山再生を目指す「かがくの里」のプロジェクトの一つが、3年半前から始まったフクロウプロジェクト!
 今年ついに、フクロウが2つの卵を産む瞬間をとらえ、エサを運ぶ様子や、産卵から1か月後、2羽のひなが孵化する様子を見ることができました!
 今回は、生まれた2羽のヒナの成長記録を一挙にお届け!
 今回の目がテンは、かがくの里でフクロウのヒナの巣立ちを見守ります!

フクロウのヒナは1週間でどれくらい成長する?

 今年3月、フクロウ2つの卵を産み落としました。卵が孵るまでおよそ一ヶ月。メスは、その間ほとんど巣箱から出ずに卵を温めます。そんなメスのために、オスが狩りを行い、せっせとエサを運ぶんです。
 1つ目の卵を産んでから30日後、1羽目のヒナが孵化。白いポヤポヤとした産毛で、まだ目は開いていない様子。そして、1羽目のヒナが孵化してから3日後の夕方6時半頃。その足元に、無事2羽目のヒナを確認。
 ヒナはこの後、どのように成長していくのか?
 里山の生き物の専門家、守山先生に聞いてみると、弱々しいヒナがたった1週間で一回りも大きくなり、1カ月で親と同じ大きさになって巣立つといいます。

 2羽のヒナが生まれ、観察が始まった1日目、昼0時。フクロウのメスは、くちばしで何かを引きちぎるようなしぐさ。よく見てみると、ヒナが何かをもらっているようです。

 守山先生によると、オスが持ってきたネズミをメスがちぎって、ヒナに分け与えているとのこと。ヒナが小さい時はネズミを丸呑みすることは出来ないので、親が細かくちぎりながらあげるという行動が見られるんです。
 肉食のフクロウ。産まれてすぐ、ヒナはネズミを食べるんです。
 観察2日目。4月10日。気温はまだ寒いおよそ10℃。ヒナは顔を出して寝ています。するとメスが巣穴に背を向けるように体を反転。羽根をふわりと広げ、丸くなりました。まだ羽毛が生えそろっておらず、気温の変化に弱いヒナ。フクロウのメスは深夜までこの体勢でヒナを温めていました。

 観察4日目。4月12日。朝8時のこと。4日目で首が座り、もう自分で立てるまでに。すごいスピードで成長しています。

 観察6日目。4月14日。昼0時40分頃。6日目にしてつむっていた目が開いたようです。

 そして観察開始から1週間が経過。観察初日と比べると1週間で確かに一回りは大きくなりました。
 とはいえ、まだまだ弱々しいヒナ。本当にあとわずか3週間で巣立てるまでに大きくなれるんでしょうか?

あと3週間で巣立つまで成長するのか?

 観察7日目。4月15日。夜中の2時頃。メスがヒナを踏まないように外へ。
 一体どこにいったんでしょうか?
 守山先生によると、ヒナが大きくなってくるとメスはだんだん巣を空けるようになるそう。この時期のメスは巣からあまり離れず近場で狩りを行うみたい。
 メスが外に出てから20分後。エサのネズミを咥えて戻ってきました。
 そして、ヒナはほんの一週間前はメスがちぎったネズミを食べていましたが、あっという間にネズミを丸飲みできるようになっていたんです。

 この頃から、日中はヒナと過ごすメスも夜はふらっと狩りに出て、ヒナのためにエサとなるネズミを運び、また巣箱でヒナと過ごします。
 観察開始から2週間がたった4月22日には、ヒナは見違えるほどの大きさに。

 そして、子育てが2週間過ぎてメスフクロウに変化が!
 メスはトカゲを食べ終えたヒナを見届けるとまた外へ。フクロウのメスが巣箱にいる時間はどんどん少なくなっていき、夕方にヒナの様子を見に来たのか、巣箱に現れて、1時間半ほどヒナと過ごしたのですがまた外へ。
 その後、親フクロウは巣箱に滞在しないようになり、夜はヒナ2羽だけで過ごし、毎日エサを巣に運びにやって来ます。
 そして5月1日。観察開始から23日目。夕方5時。巣の中で羽を広げるヒナの姿は、フクロウらしくなってきました。すると、巣箱の穴に向かって羽ばたく様子が初めて見られました。

 守山先生によると、大体3週間ぐらい経つと、ヒナが羽ばたきの練習をし、巣立つまでの予行練習期間のようなものが最後の1週間。
 今まで、巣箱で育ってきたヒナ。外の世界に飛び出すとこの巣箱にもう2度と戻ってくることはありません。
 観察25日目。いよいよ巣立ちが近くなってきました。この日、親が初めて持ってきたのはカエル。これもヒナは丸飲み。親が巣箱から離れると、この日も、しきりに羽ばたきながら巣箱の入り口によじ登ろうとしています。
 でもなかなかうまくいきません。何度も何度も羽ばたきの練習。夕方には2羽揃って外を見る姿が。
 と、その時!ついに一羽のヒナが巣箱の入り口に。

 上を見たり、下を見たり、まるで外の世界が安全かどうか見ているよう。巣箱の入り口に止まること20分。巣の中へ戻っていきました。どうやらこの日の巣立ちはなさそう。
 夜になると、親がエサを持ってきたのですが、朝のカエルと合わせてわずか2度目のエサ。
 前日、親フクロウがヒナにエサを運んできた回数は、1回目が午後3時20分。2回目はそのわずか8分後。3回目のエサは夕方6時半。さらに1時間後に4回目のエサ。そして夜10時半と、5回もエサを運んでいます。
 なのに、この日は前日よりも少ないたったの2回。これは、エサを与えずお腹を空かせた状態にすることで、ヒナが巣立ちを決断するように仕向けているんです。

 観察27日目。5月5日こどもの日。時刻は夕方6時。ヒナが2羽同時に巣箱の入り口へ。ついに巣立つのか?

 右側のヒナは飛び立ちそうな気配。しかし巣箱の中へ結局戻ってしまいました。
 もう一羽のヒナは、一歩足を出し、さらに1歩。この時、親フクロウは近くで見守っているといわれています。
 けれどヒナにとって外は未知の世界。巣立ちの決意は簡単につかないようです。
 とその時!ついに飛びました!巣立ちの瞬間です!卵から出て初めて顔を出したその日から、親フクロウに温めてもらい、エサをもらってすくすくと成長したヒナがついに巣立ち!外の世界に羽ばたきました!

 兄弟が巣立ち、巣箱に残ったもう一羽のヒナは、その後、2日を1羽で過ごし、観察30日目の午後3時頃。
 入り口にとまったヒナは、周りをよく見渡すと飛びました!観察開始から30日、ついに2羽目も巣立っていきました。

 巣立ったヒナは、この後、9月ぐらいまでは親フクロウとともに過ごして、その後は独り立ちしていくそうです。プロジェクト開始から3年半。様々な出来事を経て、かがくの里で初めてヒナの巣立ちを捉えることが出来ました。