第1683回 2023.07.09 |
農業高校の里山再生 [裏山の棚田編] |
場所・建物 植物 |
栃木県の農業高校の荒れた裏山を自然豊かな環境に再生すべく、目がテン!がお手伝いすることに!第2弾の今回は、生徒たちが田んぼの再生に挑戦!去年うまくいかなかったお米作り、専門家と調査しながら失敗の原因を探ります。
さらに!かがくの里と友好関係を結ぶ石川県白米千枚田へ!人の手で行う、お米づくりの基礎を学びます!
今回の目がテンは、養老さんに頼まれて、農業高校の里山再生をお手伝い!裏山の棚田編です!
学校の荒れた裏山は今どうなっている?
里山再生を行うのは、栃木農業高校。その裏山があるのは学校の西側。現在は荒れてしまっていますが、実は、学校の授業の一環として、およそ3年前から整備活動をしてきた場所なんです。この裏山は大きく分けて、2つのエリアがあります。
まずは、中央に位置する4枚の棚田。
1年前には、生徒が中心となり、土を耕して実際に田植えまで行ったそうですが、ほとんど枯れてしまい、稲が育ち切らなかったといいます。
土木技術や造園などを学ぶ環境デザイン科では、授業でほとんど農作業をしないので、お米作りに初挑戦の生徒が多いんです。今年は、稲刈りできるまで育てることが目標です。
続いては、シートを敷いて作った2つの池。
様々な生き物について学べる場所にできるようにと3年前に作られた場所ですが、現在は水流がなく、雑草が伸びた状態です。
生徒たちが思い描く、自分たちの里山再生。果たして、どのように変わっていくのでしょう。
学校の棚田の土壌改良!
裏山でのお米づくり、成功させてほしいと思ったいかちゃんが高校生と向かったのが、石川県輪島市にある白米千枚田。今回は3年生の阿部くん、上野くんが同行しました。
機械をほとんど使わず手作業で行う、白米千枚田でお米作りを学びます。
お世話になるのは、白米千枚田愛耕会の小本さんと白尾さん。今回は、お米作りの基礎となる田おこしを体験!
田おこしは、去年の稲株をしっかりと混ぜ、微生物を活性化させることで、養分の多い土にすることが重要。やり方を教わり、まずは阿部くんが挑戦します。クワを持ち上げ、しっかりと土を掘り起こすことができています。次は上野くん。白米千枚田の土の感触を肌で感じながら作業を進めます。そして、およそ3時間かけて田おこしが完了。
学校に戻った2人、いよいよ、裏山の棚田に取りかかります。
去年田植えを行った、この棚田。そもそもなぜ稲は枯れてしまったのでしょうか。農地の土壌について詳しい宇都宮大学大澤先生に実際に見てもらいました。
田んぼの下の土壌は、大きく2つの層でできています。「作土層」という、稲が植えられ、養分を豊富に含んだ柔らかい土の層。その下に、田んぼの土台となる硬い「すき床層」があります。
大澤先生によると、このすき床層は、本来、水を通しにくい構造ですが、裏山の棚田は砂利などが混ざり、そこにできた隙間から水が抜けたことで、稲が育たなかったのではないかと考えられます。
今年は、担当の篠﨑先生をはじめ、農業に詳しいOBの渡辺さんにアドバイスをもらいながら土壌整備を進めていきます。
水を抜けにくくするために、まずは、固くなった土を掘り起こします。そして、田んぼに水を入れ、土を踏みこみます。
一般的な田んぼでは、田おこしの後、水を入れ土を耕し、表面を平らにする「代かき」という作業があります。裏山の場合、この土を踏む作業によって、田おこしと代かきを同時に行い、田植えができる状態にします。作土層となる土の上部には、まだまだ砂利が残っているため、その後も作業を繰り返します。
そして、約2週間。生徒のみんなが授業や部活で作業を行ったこの棚田。踏み固める前との違いは明らか、砂利が少ない細かい土になりました。
そして大事なのは、水が抜けずに溜まるかどうか。大澤先生によれば、24時間後の水の減り具合が3cm以内であれば問題ないようです。
ということで、水位の変化を計測。5.9cmだった水位ですが、24時間後の水位は4.7cm。その差は1cmほど。これは、水を溜め込む、すき床層ができた証拠。
土を掘り起こしてからおよそ1ヶ月。ようやく、田んぼの整備が完了しました。
白米千枚田で田植えを学ぶ
再び白米千枚田にやってきた生徒たち。今回は2年生の女子生徒、佐藤さん、鈴木さん、ロメロさんも一緒です。土壌整備をした田んぼで田植えを行うため、愛耕会の皆さんに技術を学びにきました。普段、環境デザインを学ぶ生徒にとって初めての田植え、うまくできるのでしょうか。
まずは、田おこしも経験した、阿部くん、上野くん。去年、裏山で田植えをした経験がある阿部くん。さすがです。今度は2年生の女子生徒。初めて足を踏み入れる水田は、歩くのも一苦労。
今回は3つの田んぼに別れて田植えをしていきます!普段は体験できない農作業に夢中になる生徒たち。およそ2時間かけて田植えが完了。
田植えを終えたみんなを待っていたのは、去年この田んぼで収穫したお米のおにぎり!
棚田に腰掛けて食べるおにぎりは格別です。