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教えて!ハイエ先生

きっと役立つ相続豆知識!

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今回のテーマ

「藁の上からの養子」に
相続権はあるのか

7話では、「藁の上からの養子」という聴き慣れない言葉が出てきました。
「藁の上からの養子」は、養子のようで養子ではありません。

他人の子を自分の子としたい場合、養子縁組という手続きがあります。
この手続きをすっ飛ばして、最初から自分の実子として届出を出してしまったのが「藁の上からの養子」です。
養子縁組をしていないので、戸籍上は実子と見分けがつきません。
だれが実の親なのか、戸籍からは全く分かりません。

図解しましょう。
戸籍上、薮内家と郷田家はこのようになっています。

一方、実際の親子関係は、以下の通りです。

ここで、薮内家に相続が発生したとしましょう。
蜆さんは、戸籍上は薮内家と無関係なので、そのままでは相続権はありません。
相続するためには、死後認知などで血縁関係を証明する必要があります。
ここは、福士先生が解説していた非嫡出子の相続と同じですね。
ですが、心当たりが全くなければ、そもそも行動を起こしようがないのが難しいところです。

一方で、郷田家に相続が発生した場合はどうなるでしょうか。
蜆さんは、戸籍上は実子なのでそのまま相続できそうですが、DNA鑑定を求められれば、血縁関係が否定されてしまいます。
薮内家の場合とは逆のパターンになりますね。
この場合、形式的に判断してしまうと、蜆さんには相続権はなくなってしまうのですが、実は、相続できる場合もあります。
具体的な説明はここではしませんが、裁判の実務は、法律の条文だけで運用されているわけではない、とだけ覚えておいてください。

法律監修 川﨑健一郎
(MKかわさき法律事務所)

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今回のテーマ

検認

検認とは、相続人に対して遺言書の存在を知らせ、内容を確認し、それ以降の偽造などを防止するための手続きです。
誰かが亡くなり遺言書が見つかった場合、家庭裁判所に検認の申立てを行う必要があります。

ここで問題です。

以下の遺言書のうち、検認が必要なのはどれでしょうか?

A:封がされており、封に押印のある遺言書、B:封はされているが封に押印のない遺言書、C:封のされていない遺言書、D:封筒に入っていない遺言書

正解は、全部です。
Dで戸惑った方もいるかもしれませんが、封筒に入っていてもいなくても変わりません。

封筒のお話が出たところで、今度は封の問題です。
「遺言書は勝手に開けてはいけない」と聞いたことがある方も多いと思います。

封印のある遺言書は、検認のときに、家庭裁判所で相続人等の立会いのうえで開封しなければならないことになっています。
違反すると、5万円以下の過料に処せられる可能性があります。

では、以下のA~Dの遺言書のうち、勝手に開封した場合に過料に処せられる可能性があるのはどれでしょうか?

A:封がされており、封に押印のある遺言書、B:封はされているが封に押印のない遺言書、C:封のされていない遺言書、D:封筒に入っていない遺言書

正解は、Aです。

A:封がされており、封に押印のある遺言書

Cはもともと封が開いていますし、Dはそもそも開封しようがありません。
また、Bは「封印のある遺言書」ではないので、過料の対象にはならないと解されています。

Bは少し難しかったですね。
このように、過料に処せられる可能性があるのはAだけになります。

もっとも、過料の対象にならなくても、むやみに遺言書を開封するのはトラブルのもとになるのでやめておきましょう。

さて、ここまで理解できた皆さんが、気になっていることがあると思います。
作中で、過料の対象になるケースはあった…?
気になった方は、これまでのお話をチェックしてみるとよいかもしれません。

法律監修 川﨑健一郎
(MKかわさき法律事務所)

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今回のテーマ

受遺者

第三話でも出てきたように、遺言では、自分の財産を指定した人に渡すことができます。
遺言で財産を譲り受ける人を受遺者といいます。
マリーさんは、香車じいさんの受遺者ということです。

受遺者は遺言書で自由に指定可能

受遺者は、自由に指定することができます。
自分の死後も推し活をしたい! 推しを受遺者にしたい! という場合で考えてみましょう。

推しに遺産を渡したい!

まず、遺産を渡すためには、受遺者を特定できなければなりません。
今回は灰江たちによってマリーさんにたどり着けましたが、一般的に、活動名しかわからない、または、連絡先が分からない、という状態では、その遺言を実現できない可能性が高いです。
氏名と生年月日、住所などは出来れば押さえておきたいですが、公開されていない情報を不当に入手しようとするのは違法なのでやめましょう。

次に、特定ができたとして、受遺者には受け取る義務はありません。
要らないと思えば、受遺者は自由に放棄できます。
指定するのも自由なら、受け取らないのも自由です。
愛する推しに、受け取れと強要することはできないのです。

お断りします

このように、推しを受遺者に指定することはできますが、自分の死後、推しのもとに確実に遺産が届くかどうかはわからないのが現実です。
推しは、推せるときに推しましょう。

法律監修 川﨑健一郎
(MKかわさき法律事務所)

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今回のテーマ

遺留分

第一話にも出てきたように、遺言では、財産の分配を自由に決めることができます。
ですが、今回のように、他人に全財産が渡ってしまうような遺言を、認めたくない場合もあるでしょう。
そんなときに思い出してほしいのが、遺留分です。
遺言書に何が書いてあろうが、絶対受け取ることができる遺産の割合、それが遺留分です。

今回、今畠先生の遺産が6億円あったとしましょう。
相続人は、市香・双葉・美樹の三人なので、今畠先生が遺言を残さず亡くなった場合は2億円ずつ遺産相続することができます。

遺言がない場合の相続

ところが、遺言により、三姉妹には一円も入ってこないことになりました。
そこで遺留分です。
三姉妹の遺留分は、相続分の50%です。
遺留分を主張することにより、三姉妹はひとり1億円ずつ相続することができます。
これが遺留分の効力です。

遺留分を主張した場合

では、なぜ三姉妹は遺留分を請求しなかったのでしょうか。
考えられる理由は2つあります。
① 父の遺言を受け入れることにした
② 生前贈与により、主張できる遺留分が無かった

いろいろ揉めながらも、最後には在りし日の父に想いを馳せた三姉妹。
市香が言うように、「自分たちの力で生きていけ」というメッセージだと受け止め、遺言を受け入れたのではないでしょうか。
まあ、真実は三姉妹のみぞ知るところです。

法律監修 川﨑健一郎
(MKかわさき法律事務所)

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