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なぜ健康食!? ダイズ の謎
第753回 2004年10月17日


 いま世の中は、空前の大豆ブーム。大豆ペプチドにイソフラボン、そして黒豆ココアと大豆製品が溢れかえっています。しかし、なぜダイズは健康に良いとされているのでしょうか?今回は“秋の味覚シリーズ”第一弾。身近だけれどあまり知られていないダイズの正体を解き明かします。

 ご存知の通り、ダイズは別名畑の肉と呼ばれるほどタンパク質と脂肪が豊かな豆。ということは、やはり畑の土にも栄養がないと育たないのかと思ったら、なんと全くその逆で、ダイズはやせた土地ではないとちゃんと育たないというのです。試しに肥料を多く与えた畑でダイズを育ててみると、茎や葉っぱは通常より大きく育っていたにも関わらず、出来る実の数はやせた畑で育ったダイズの方が多かったのです。実は、これはつるボケという状態。ダイズは、肥料分が多いと茎や葉っぱが大きくなるかわりに、サヤの数は少なくなってしまうんです。

根粒  豊かな土に育つダイズは実が少なく、やせた土に育つダイズは実が多いなんて不思議ですよね。実はその秘密は、ダイズの根っこに隠されていました。ダイズの根には白くて丸い根粒という粒がついていて、その中に根粒菌というバクテリアが沢山いるんです。普通、植物は成長に不可欠な窒素を空気中から直接吸収できないので、土の中に溶け込んでいる微量の窒素分を根っこから吸収しています。ところが。ダイズの場合は、根についた根粒菌が空気中の窒素を吸収しアンモニアに変えてダイズに渡しているんです。一方、ダイズは光合成で得た糖分を根粒菌に渡しています。このダイズと根粒菌が助け合っている関係を「共生」と言います。
 しかし、この根粒菌、豊かな土地では他のバクテリアに負けてしまいつきにくくなるので、ダイズは根粒菌がつきやすいやせた土地でないとうまく育たないのです。

所さんのポイント
ポイント1
ダイズはやせた土地でないと育たない!
そこで発芽の時必要なエネルギーを豆にためているので栄養が豊富なのだ!


 ところで、なぜダイズは生で食べられていないのでしょう?試しに矢野さんが畑で取れたばかりの生のダイズをかじってみると、なんと吐き出すほどの苦さ。実は、ダイズの胚軸という部分にはダイズサポニンという苦みの物質が含まれているのです。このダイズサポニンは、いったりゆでたりして熱を通せば苦くなくなるのですが、生のままだととても食べられません。いった豆が大好物のシマリスやチンチラやリスザルだって、生のダイズは捨ててしまいます。ダイズは、この苦みの成分で自分の身を守っているのです。

 最近話題の黒豆。実は、黒豆もダイズの一種なんです。しかし、なぜ黒豆は主に煮物で調理され、豆腐などには使われないのでしょう?そこで「目がテン!」では黒豆で豆腐作りに挑戦!なかなかお目にかかれない黒豆豆腐が出来たかに思えたら、なんとボロボロと崩壊してしまいました。結局、黒豆の豆腐は固まらなかったんです。
黒豆豆腐失敗!  黒豆(黒いダイズ)と白豆(白いダイズ)の大きな違いは、タンパク質の量。黒豆は白豆と比べるとタンパク質が少なく、豆腐が固まる40%以下なので、黒豆豆腐は固まらずにもろくなってしまったのです。豆腐勝負では、白豆の勝ち。
 今度は、白豆で黒豆のような甘い煮豆作りにも挑戦!両者を煮豆にしてみると、コクと甘さでは黒豆の煮豆の方が上だったのです。実は黒豆は白豆と比べると糖分が多いので、同じレシピだと白豆の煮豆の方が甘みが足りなく感じられるのです。煮豆勝負では、黒豆の勝ち。結局、白豆・黒豆対決は一勝一敗でした。

 しかし、この黒豆と白豆の違いは何なのでしょう?その違いを探るため黒ダイズの株を抜いてみると、普通のダイズに比べて黒ダイズの根には根粒菌が少なかったんです。根粒菌が少ないということは、土の中に含まれている窒素分が多く土地が豊かであるということ。実は黒ダイズは、普通の白豆と違いタンパク質が実に蓄えられないため、十分に土から栄養を補給する必要があり、豊かな土壌でしか育たないのです。また黒ダイズは、生育期間が白豆よりもひと月くらい長いので、その分糖分が多く蓄えられると考えられています。

所さんのポイント
ポイント2
豊かな土地でしか育たない黒豆は、タンパク質が少なく糖分が多いので豆腐よりも煮豆に適している!




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