発見!究極の
サトイモ
第754回 2004年10月31日
“秋の味覚シリーズ”
第2弾は、
絹かつぎ
や
けんちん汁
、
煮っころがし
でもお馴染みの
サトイモ
。
芋煮会
や
お月見のお供え
など、古くから親しまれてきたおイモです。しかし驚いたことに、
サトイモは、元々東南アジア辺りの熱帯地方が原産で、日本には縄文時代に伝わってきた
ものなのだそうです。今回はちょっと変わったおイモ、サトイモの正体を徹底解明します。
信じられないことに、あの食欲大魔王、
矢野さんの唯一苦手な食べ物が、なんとサトイモ
だったのです。あのネットリとした食感が苦手なんだとか。
そんな弱点を克服するために、矢野さんは
サトイモの収穫量日本一の千葉県
に向かいました。そこで渋々サトイモ掘りに挑戦。イモですから芋づる式にイモがなっているのかと思えば、なんと
サトイモは一カ所に塊でなっていたのです
。一番真ん中に親イモがあって、その親イモの周りにいくつかの子イモが付いていて、さらに子イモから孫イモ、ひ孫イモと、たくさん付いています。実はこのイモは
塊茎(かいけい)
といって、字のごとく
茎が変化したモノ
だったんです。
しかし矢野さんの苦手な、あの
サトイモのネットリとした食感
は何が原因なのでしょう?調べてみると、なんとその理由は
デンプンの粒子の大きさ
にあるというのです。実はサトイモのデンプン粒子は、ジャガイモやサツマイモに比べて非常に小さく、
植物の中でも最も小さい
と言えるくらいなのだそうです。
ジャガイモが50μm、サツマイモが20μm程度なのに比べて、サトイモは1μm以下。(μm=1/1000mm)
これをわかりやすく砂と粘土の関係で考えてみると、粒子の大きい砂がサラサラで、粒子の小さい粘土はネットリしていますよね。
つまりサトイモの食感がネットリしているのは、
デンプンの粒子がとても小さくくっつきやすいから
なのです。
サトイモのあの食感は、植物の中でも最も小さいと言われているサトイモのデンプン粒子が生んだものだった!!
実は私たちが
普段食べているサトイモは孫イモの部分
で、子イモや親イモは食感が違うためにあまり食卓に並びません。 しかし、
沖縄には主に親イモを食べるサトイモの仲間がある
というので行ってみると、なんとそのサトイモは田んぼで栽培されていたんです。実は、これは田んぼの芋と書いて
ターンム(田芋)
という立派なサトイモの仲間。ハワイや太平洋、東南アジアの島々で主食として食べられているタロイモとほとんど同じ種類のイモなんだそうです。
早速、ターンムの親イモをふかして食べてみると、サトイモにあるようなネットリした食感がなくホクホクしています。なんとサトイモが苦手な矢野さんも美味しそうにぺロッと食べてしまいました。そこで電子顕微鏡でターンムのデンプンを観察してみると、なんと
ターンムのデンプンはサトイモのデンプンよりも粒が断然大きかった
のです。
幼い頃サトイモの葉っぱを傘代わりにして遊んだ方も多いはず。しかし、
なぜサトイモの葉っぱは傘代わりになる
のでしょう。
それはサトイモの葉っぱには、水を弾く
はっ水性
があるからなんです。しかもそのはっ水性は、高いはっ水性を誇る高級雨傘よりも強く、なかなか科学的にも作れない
超はっ水性
と呼ばれるレベルだったのです。
実はサトイモの葉の表面は
特別なワックスで覆われていて
、さらに表面は
細かくデコボコの状態
になっているので、このように強力なはっ水性を生むのです。これは、原産地である熱帯地域でスコールや大雨が降ったときに、
雨水の重さから身を守るため
だと言われています。
またサトイモはたっぷり水分が無いと育たない植物で、サトイモの葉が大きいのは、地面に影を作り
地表の水分の蒸発を防いでいるから
と考えられています。
サトイモの葉は、超はっ水性で雨水の重さから身を守り、更に地面の水分を保つための日傘にもなるスグレモノだった!!