実はウマい!?貝
アサリ
第775回 2005年4月3日
春は潮干狩りの季節
。潮干狩りの主役といえば、もちろん
アサリ
。「漁る(あさる)」ようにたくさん採れることから、この名が付いたとも言われています。
科学の素浪人・矢野左衛門が潮干狩りに挑戦しました。実は、この
潮干狩りができるのは春と夏だけ
なのです。それは干潟が干上がるほど潮が引く
大潮
が昼間に来るのは春と夏だけで、秋と冬は夜になってしまうからなのです。
なんと専門家によれば
アサリの採り方にもコツがある
というのです。それは、通称
アサリの目
と呼ばれる、小さな穴が2つ開いている場所を探すこと。そこで矢野左衛門は言われたとおりにその穴の下を掘ってみると、なんとアサリ発見。この方法で、どんどんアサリを見つけられたのです。
アサリは水中にいるときは、水管と呼ばれる水を出し入れする2本の管を砂の上に出していて、潮が引いて水が無くなると水管を引っ込める
ので、アサリがいる砂の上には2つ並んだ小さな穴が後に残るというわけなのです。
しかし、他の貝はほとんど浅瀬にはいないのに、
どうしてアサリだけこんなに採りやすい所にいるのでしょう
。そこで、こんな実験。ホタテ・ハマグリ・アサリを用意し、みんなの天敵であるヒトデを近づけました。
するとホタテは、ヒトデが来ると殻を開閉させて浮き上がり、素早く泳いで逃げ、ハマグリは、一度ヒトデに捕まったものの、貝類の中でも特に硬い殻をしっかり閉じて無事でした。しかし
アサリの場合は、ヒトデに捕まるとそのまま何の術もなく、貝をこじ開けられ食べられてしまった
のです。
このため
アサリは干潮になると海水がなくなり、ヒトデなどの天敵が近づいて来られない浅瀬を、やむを得ず生活の場所に選んでいた
のです。
しかしアサリは、
なぜ長時間水の無いところにいても平気なのでしょう
?普段、アサリは海の中でエラ呼吸をして、エサのプランクトンを食べています。しかし干潮になり水が無くなってエラ呼吸ができなくなると、
アサリは呼吸をやめ、体内に蓄積していたグリコーゲンという物質をエネルギーに変えて生き延びている
のです。つまりアサリは、あえて敵のいない過酷な環境を選び、それに体の仕組みを適応させた貝だったのです。
アサリは呼吸を我慢してまで、敵のいない浅瀬に棲みついたが、これが人間にとっては格好の採りやすい場所だった!
アサリといえば面倒なのが
砂抜き
。海水と同じ濃度の塩水にアサリを浸し、体内に飲み込んだ砂を吐かせるという、半日以上かかる面倒くさい作業ですよね。しかし、目がテン!は驚くべき情報を入手。なんと
アサリに砂抜きは必要無く、殻を開いて水洗いをすれば大丈夫
というのです。本当なのでしょうか。
そこで5億円もする最新医療機器で、殻を開いて水洗いしただけのアサリの体内を見てみると、確かに砂はありません。一体何故なのでしょうか?
それは、
元々アサリは体内に砂を取り込んでいない
からなのです。実はアサリの殻の中にある砂は、アサリの身の表面についているだけ。現在、一般に行われている
アサリの砂抜きとは、アサリに呼吸をさせ、身の表面についている砂を少しずつ殻の外に吐き出させていた
のです。
したがって、
アサリを殻ごと調理する場合には砂抜きは必要ですが、むき身にする場合には砂抜きの必要はない
のです。
さらに、それだけでは終わらないのが目がテン!なんと、アサリのうま味を増やすウラ技にも挑戦しました!
アサリのうま味成分の1つである
コハク酸
という成分は、先ほど紹介した、
浅瀬でエラ呼吸できずにグリコーゲンを使って生き延びているときに作られる
のです。
そこでこんな実験。新鮮なアサリを用意し、半数を海水の中に半数を水中から出して陸上に放置します。そして待つこと3時間。なんと調べてみると、
陸上に放置していたアサリの方が何倍もコハク酸が増えていた
のです。しかし、3時間以上放置しても、それからはあまりコハク酸は増えませんでした。つまり
アサリを美味しくするには、3時間程度、陸上に放置すれば良い
のです。でも放置中に殻が開いてしまったものは、死んでしまっているので決して食べないでくださいね。
目がテン的発見!アサリをむき身で使うときは砂抜きをしなくて良い!
アサリは3時間程度陸上に放置するとうま味が増える!