キジ
VS 鬼!?桃太郎の謎
第882回 2007年5月13日
桃太郎の家来として大活躍した鳥、
キジ
。姿かたちは何となく知っていても実はキジが
日本の国鳥
であるということはほとんど知られていません。しかしキジはすごい能力を持った鳥だったのです。
キジは北海道と対馬を除く日本各地に生息していて、美しく四季を通じて日本各地で見られる馴染み深い鳥などの理由から国鳥に指定されています。そして、桃太郎の家来である他に、日本書紀やことわざに数多く登場したり、旧一万円札にも描かれているのにも関わらず、国鳥だと知る人はわずか。そんなわけにはいかないということで桃太郎ならぬ矢野太郎が立ち上がりました。早速、千葉県にある鳥獣保護区で野生のキジを探してみましたが、実はキジは空や木の上ではなく
地上で生活する鳥
。しかも田んぼやあぜ道など人里近い場所に現れるのに警戒心が強く、なかなか目の前に現れてはくれません。聴こえてきた
「ケ〜ン ケ〜ン」という鳴き声
を頼りに辺りを探索し、ようやくキジを発見。さらに観察していると、
鳴いた後に羽根を振るわす行動
をとりました。それは
求愛の行動の一種
と言われている
「ほろ打ち」
というもの。実はこの行動が
「けんもほろろ」
という言葉の由来になったそうです。
さて、キジと言えば桃太郎にも出てくるように、鮮やかに飛ぶ姿が想像できますが、見ていても一向に飛ぶ気配がありません。なんと
キジは飛ぶのが苦手
なのだそうです。そこで
本当に飛べないのか、実際にキジを飛ばしてみる
ことにしました。実験する場所はゴルフ練習場。ここでキジを空高く離してみます。すると、
力強く羽ばたき練習場の2階席へ見事飛びました
。
飛ぶのが苦手という話は嘘だったのでしょうか?そこでもう一度同じキジで試してみると、
今度は羽ばたいたと思ったらあっという間に着地
してしまいました。さらに
もう一度飛ばしてみると、今度は羽ばたきもしなくなった
のです。
そこで大きさが近く、飛ぶことが得意な渡り鳥のマガモと筋肉を比較してみました。すると、
キジの筋肉は「速筋」と呼ばれる白い筋肉で、
それに対して
カモは「遅筋」と呼ばれる赤い筋肉
という全く
正反対の性質を持つ筋肉
だということがわかりました。この筋肉の違いは、ミオグロビンという
赤い色のタンパク質の量の差
でした。ミオグロビンは酸素を筋肉に運ぶ働きがあり、その量が多い
赤い筋肉ほど長時間の運動
ができますが、ミオグロビンが少ない
白い筋肉はすぐに酸素が不足してしまい動けなくなってしまいます
。つまり、キジは
一度激しく羽ばたくとすぐに疲れる長時間飛べない鳥だった
のです。もっとキジを調べるために、キジを研究している施設を訪ねてみました。しかし、間近で観察しようとして近づくと、なんとものすごい速度で走って逃げたのです。ならば、
キジの走る速度はどれくらいのものなのかルームランナーで計測
してみました。キジはマシーンの動きに合わせて走り、スピードはついに
時速10キロを突破
。しかしまだ余裕がありそうなので、場所をキジのホームグランドに変えて再び実験。キジを追いかけ必死に走らせその
速さをスピードガンで計ったところ、29キロ
を記録。そして
最高で32キロの記録
をたたき出したのです。この速さは
オリンピックの女子100メートルに出ると11秒32
という、決勝に残れるレベルの驚異の速さになります。キジの
筋繊維は太いため、このように力強いダッシュができる瞬発力がある
のです。
キジは、長時間飛べない代わりに、瞬発力のある筋肉をいかして、とても速く走ることができる鳥だった!
速い足を持つ
キジは鬼退治では役に立ったのでしょうか?
今度は矢野さん扮する赤鬼を目の前にした時、キジがどんな行動にでるのか実験してみました。赤鬼が飼育小屋の中に入っていくと、なんとキジ達は一斉に体当たりして
赤鬼スーツが切れるほどの猛攻撃を仕掛けてきました
。しかし、
矢野太郎が入った時は全く攻撃してきません
でした。この違いは…二人を比べてみると、そう、
鬼は赤い
のです。
ならば実験。キジを透明のボックスに入れて
どの色の風船に反応するか確かめてみました
。まずは青い風船を見せたところ、全く興味がない様子。続いて黄色、白い風船に対しても無反応。そこでいよいよ
赤い風船
を見せると、落ち着きなく動き出し、そして2分が経過した時、なんとジャンプして
風船をキックして割った
のです。なぜ赤にだけ反応したのかというと、
オスのキジは繁殖期の春になると顔の赤い肉垂れが大きくなり、縄張り争いのため赤いものを攻撃する習性
があるのです。
そのため、春の時期にはキジが赤い郵便局のバイクを追いかける光景も見られるそうです。
赤い物に反応して攻撃するキジは、鬼が島の赤鬼退治に最適な鳥だったのだ!
続いて、
幻のキジ料理
を食べるため、佐藤アナが名古屋に向かいました。すると出てきたのはなんと
名古屋名物きしめん
。何故でしょうか?それは昔、うどん好きのお殿様のためにうどんを打った家来が1羽のキジに気を取られて、平べったいうどんを作ってしまいました。その腹いせにキジを捕まえ、キジからダシをとりお殿様に出したところとても大評判。それが
「雉めん」
と名付けられ、
今では麺だけがその姿のまま残っている
という説があるからなのです。スタジオでキジを使った本来の雉めんを再現して、所さんが試食してみると、キジはとてもいいダシが出るそうで、所さんもそのおいしさに思わず完食してしまいました。