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肉体改造で 激辛 OK!?
第950回 2008年9月14日


 続々と新商品が登場する激辛お菓子、そして今や日本の食卓には欠かせない、辛い調味料の数々。今回はこれらに使われているトウガラシの秘密に迫ります。

トウガラシの胎座(たいざ)  そもそも、トウガラシの部分で一番辛いのはどこでしょう?街で聞くとほとんどの人が「種」と思っているようでしたが、実際に種を食べてもらうと、「辛くない」という反応でした。実はトウガラシで一番辛いのは、種でも果皮でもなく、実の付け根から伸びる種子がついた中心部分、胎座(たいざ)と呼ばれるところでした。トウガラシは、この胎座で辛味成分を作っているのです。
 さて、矢野さんがトウガラシ農家を訪ねると、そこには様々な種類のトウガラシが実っていました。トウガラシは品種改良が簡単なため、辛さを追求し、激辛で有名なハバネロなどの品種が次々と登場していったのです。矢野さんは、畑の中に発見した超巨大トウガラシを恐る恐るかじってみると、なんと意外にも甘かったのです。これはスイートバナナペッパーと言う、シシトウやピーマンと同じ、辛さを持たない甘味種のトウガラシだったのです。所さんは、スタジオで昨年辛さ世界一に認定されたばかりの品種、「ブート・ジョロキア」を搾った汁を一滴舐めてみましたが、タバスコソースの200倍とも言われるその辛さに悶絶してしまいました。

 ところで、辛いトウガラシを人間以外の動物は食べるのでしょうか?まずは肉食のライオンに、トウガラシ粉をまぶした激辛チキンを与えてみます。すると、勢いよくかぶりついたものの、食べずに放してしまいました。今度は雑食のサルにトウガラシをまぶしたサツマイモを与えてみましたが、結果は匂いを嗅いで、ポイ。ならばと草食の馬にもトウガラシ入りのエサを与えてみると、最初は口をつけたものの、ほとんど残してしまいました。結果、哺乳類の代表は全滅でした。では、鳥類のニワトリで試すとどうなるでしょうか?すると、ニワトリ達は全く意に介さず、激辛のエサを食べたのです。さらに超激辛のハバネロパウダーを追加しても、続々とエサに群がり食べ続けたのです。専門家に伺うと、鳥類の持っているカプサイシン受容体は、哺乳類が持つ受容体と異なるため、辛さに対して鈍感だというのです。さらに、トウガラシは哺乳類に実を食べられてしまうと、種子を砕かれて消化されてしまうことがありますが、鳥類は種子を丸のみするので、ほとんど消化されず、フンから種子がそのまま出るのです。トウガラシは鳥類にだけ食べてもらうように、独自の辛み成分、カプサイシンを作り出したとも言われているのです

所さんのポイント
ポイント1
トウガラシは、子孫を増やすため、辛さに鈍感な鳥類だけに食べてもらえるようにカプサイシンを作り出したと言われているのだ!

 では、哺乳類は苦手のはずのトウガラシですが、なぜ人は食べるのでしょうか?しかも辛いものが好きな人と苦手な人がいますが、一体何が違うのでしょうか?そこで、激辛好きのタイ人と、辛い物が苦手な日本人を徹底比較しました。辛い物を食べた時の舌の様子と体温を計測してみると、日本人もタイ人も舌が腫れ、体温が上がり、同じように反応していたのです。今度は辛いカレーを口に入れた時の脳の反応を見てみます。すると日本人はカレーが入った瞬間から、脳梁(のうりょう)という部分が活発に活動し、パニック状態になっていました。一方、タイ人の脳は、カレーが口に入っても少し反応しただけでした。実はタイ人は日常的に辛い料理を食べ慣れているため、体が順応しあまり辛さを感じないというのです。
 では、誰でも食べ続ければ辛さに強くなれるはず!と辛いものを受け付けない同じ日本人の方に協力してもらい、毎日3食の食事にトウガラシパウダーを徐々に量を増やして振りかけ食べ続けてもらいました。辛いものが食べられるようになりたい、という一心で、朝から納豆に激辛パウダーをかけ、外食する時もトウガラシを持参し、毎食苦手な辛い料理を必死に食べ続け、ついに一週間が経ちました。その効果を試すべく、実験前は一口でギブアップしてしまった激辛タイカレーに再チャレンジすると、なんと一人前の半分もたいらげたのです!我慢しているのではなく、実際に脳の様子を見ても、その反応は落ち着いていました。見事激辛を克服、大成功でした!さらに、辛いものを食べ続けると、クセになるといいます。カプサイシン入りのエサを一週間与え続けたマウスに、普通のエサとカプサイシン入りのエサを与えると、マウスはカプサイシン入りのエサを、普通のエサの9倍も多く食べたのです。

所さんのポイント
ポイント2
辛いものが苦手な人でも、毎日辛いものを食べ続けると、だんだん体が慣れてきて、克服できるのだ!

目がテン特製 トウガラシショートケーキ完成品  どうしても辛い物が苦手な人でも、甘いものと一緒なら食べられるのでは?と、トウガラシを使って甘いケーキ作りに挑戦しました。トウガラシを刻み、生地、シロップ、生クリームと、全ての材料に投入。そして目がテン特製トウガラシショートケーキが完成!ケーキを試食した所さんによると、最初に甘さを感じ、しばらくしてから辛さを感じたようです。実は甘味と辛味は、舌の感じる部分が違うのです。甘さを感じる神経の方が太いため、脳に早く「甘い」と伝わるのです。これから新種も出て、様々な料理に使われるようになるだろうと期待がかかるトウガラシ。今後も目が離せませんね。



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