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北海道グルメ 「イカ」「ウ二」 の科学
第1185回 2013年7月7日


 なぜ北海道のグルメはおいしいのか?そこで今回は北海道グルメスペシャル第1弾!イカとウ二を科学で解明します!

①函館のとれたて透明イカが美味しい理由とは?

 北海道でも指折りの観光スポット「函館」は、スルメイカの漁獲量が日本有数の産地!地元のお店で出してもらった新鮮なイカ刺しは、よく見る「白い」イカ刺しとは違い、お皿が透けて見えるほど透明!実は、新鮮なイカは筋肉の組織が均一に並んでいるので、光が通り抜けて透明に見えます。しかし、時間が経つと筋肉の並びが崩れ、不均一になるため光が散乱し白く見えるのです。
 その透明新鮮イカの味は当然絶品!これだけ美味しいイカなら、うま味も多いはず!そこで、白くなったイカとうまみ成分を比較しました。すると…イカの主なうま味成分アデニル酸は、透明なイカより白いイカの方がおよそ30倍も多かったんです!
 しかし、うまみ成分が少なかった透明なイカと一日経った白いイカの食べ比べ実験をすると、10人中8人がうま味の少ない透明なイカをおいしいと答えました。その理由を解明するため、2つのイカの硬さを比べてみると…白いイカは11.3ニュートン。透明なイカは14.9ニュートン。白いイカにはない、コリコリとした「歯ごたえ」がおいしさの秘密だったんです。

 さらに、函館には新鮮なイカをおいしく食べる技がありました。それはイカの切り方!普通、イカは胴体をヨコ切ります。でも、函館ではイカの胴体をタテ方向に切るっていたのです。イカの味に詳しい専門家によると、「縦に切ることによって肉の中のエキス成分がたくさんしみ出してくるのではないか」とのこと。そこで、同じ大きさのイカのタテ切りとヨコ切りを用意し、水分で色が変わる特殊な紙の上に並べ水分として出てくるうま味の量を比較すると、タテ切りの方が、水分としてうま味がより多く出ることがわかりました。その理由はイカの泳ぎ方。イカは胴体を伸縮させて泳ぎます。そのためイカの筋肉の繊維はヨコ方向に発達しています。タテ切りは筋肉の繊維を断ち切るのでイカのうま味がしみ出しやすいというワケ。

所さんのポイント
ポイント1
新鮮で歯ごたえのあるイカは、函館方式でタテに切ると美味しくなるのだ!

②礼文島のウニが美味しい理由とは?

 稚内から西におよそ50キロの「礼文島」は、最高級のおいしいウニがとれる場所なんです。その最高級のウニの味は、当然絶品!なぜ礼文島のウニはおいしいのか、ウニの生態に詳しい専門家によると…「ウニの身の味はエサにも影響されます」とのこと。礼文島のウニはコンブをエサにしていますが、ここの海域は栄養豊富な北からのリマン海流と南からの対馬海流が交わるところ。年間を通して、生育に適した5℃〜20℃の水温が維持されるのでコンブが豊富に育ちます。その礼文島のコンブこそ、最高級とされる利尻昆布。
 礼文島のウニが美味しいのは、この利尻昆布を食べているからなのか?そこで、コンブ以外のものを食べたら味は変わるのか?実験です!用意したのは、利尻昆布と魚粉のペレット。それらをエサにして、ウニの味に違いが出るのか試します。結果は、雲泥の差!魚粉ペレットの方は生臭い味になりました。実は、普段食べているウニの部分は生殖巣。専門家によると、ウニはエサとして摂取した栄養を生殖巣に蓄えるので、その味はエサに影響を受けやすいそうなんです。

所さんのポイント
ポイント2
礼文島のウニは最高級・利尻昆布を食べているから美味しいのだ!

③最高級の海鮮「ウニ」はどうして値段が高いのか?

 お寿司屋さんでも最高なウニ、どうして高いのか?その謎を探るため水揚げされるウニを追跡すると…この日の漁は、わずか2時間。資源保護のため、漁の時間が制限されているんです。
 港に着くと、捕ってきたウニの選別が始まります。5センチに満たないウニはすべて海に返さなければなりません。

ウニが高い理由① 限られた時間で少量しか捕ることができない!
 続いて、殻を割る作業。ナイフで殻を割って専用のスプーンで身を取り出します。でも、ただ身を取り出せばいいわけではありません。ウニの生殖巣には、細かい内臓などがまとわりついているため、それをひとつひとつ、手で取り除く必要があるんです。
ウニが高い理由② 身を取り出す作業が機械化できない!
 むき身にしたウニは集荷場へと運ばれます。そこで、さらなる厳しいチェックが!色がくすんだり、溶けて身が崩れて売り物にならないウニを、徹底的にはじいていきます。ただでさえ希少なウニがココでさらに少なくなってしまうんです。ウニの生殖巣をよく見ると…小さな粒が集まっています。これは、ちょうどブドウの房のような構造。粒の中では、精子や卵子が成熟していきます。受精のためには、これを体外へ放出しなければならないためあえてもろく、柔らかくなっているんです。
ウニが高い理由③ 生殖巣がもろいため、より多くの手間がかかる!

 ちなみに、はじかれたウニも変わらず美味しいのに地元でもあまり食べないんだとか。そこで、ウニ料理が得意なスペイン料理店にお願いし、目がテン特製「ウ二プリン」を作ってみました!味は、これまた高級料理のフォアグラに近い濃厚な味でした!



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