放送内容

第1397回
2017.10.22
かがくの里・田舎暮らし の科学 場所・建物 地上の動物 水中の動物

 自然がテーマの科学者たちが未来につながる楽しい田舎暮らしを目指す長期実験企画「目がテンかがくの里」収穫祭直前スペシャル!

ミツバチVSスズメバチ

 収穫祭に向けて、秋のハチミツがどのくらい溜まっているのか、見てみると、巣板にはもう秋のハチミツがびっしり詰まってました!しかし、安心するのは、まだ早かったのです。危険生物キイロスズメバチがかがくの里に襲来!肉食のキイロスズメバチはミツバチを幼虫のエサにするんです。すでに狩られてしまったミツバチが。ミツバチになすすべはないんでしょうか。と、その時!うわ~なにこれ!巣箱を襲うスズメバチを凄い数のミツバチが囲い込んでます!天敵のスズメバチをミツバチたちは倒せるのか?戦いは20分ほど続きました。そして、大きなキイロスズメバチを倒しました!
 スズメバチから自分たちの力で巣を守ったセイヨウミツバチ。でも、どうやってスズメバチを倒したのでしょうか?養蜂プロジェクトをサポートしてくれている玉川大学の小野正人教授によると「蜂球」行動とのこと。蜂球行動とは、天敵のスズメバチをミツバチが集団で囲み込み、殺す防衛行動。

 実は、とっても貴重な映像だというんです。そもそも蜂球行動はニホンミツバチでは見られることがありますがセイヨウミツバチでは珍しく、さらにセイヨウミツバチの蜂球のメカニズムは、今年3月、ようやくその詳細が解明されたばかり!ニホンミツバチの場合、蜂球行動のメカニズムはスズメバチにミツバチが集団で抱きつき、体を震わせて発熱、スズメバチのいる中心温度を47度以上にします。スズメバチは46度までしか耐えられないので熱で蒸し殺されるんです。一方、解明されたばかりのセイヨウミツバチの蜂球行動の場合、蜂球の中心温度は44度程度しか上がらず、その温度ではスズメバチを蒸し殺しにはできません。
 しかし、二ホンミツバチと違い、セイヨウミツバチは命がけでスズメバチを針で刺そうとします。針で襲われたスズメバチは暴れて興奮。するとその興奮でスズメバチの体温が上昇、限界の46度を超えてしまい、死んでしまうんです。

 しかし、キイロスズメバチの出現を知り、小野先生が心配になったのがオオスズメバチ。オオスズメバチは攻撃性が高く、毎年、死亡事故も報告されている危険生物。エサとなるミツバチの巣を見つけると集団で攻撃してきます。こうなると蜂球行動をしても間に合わず、対抗できません。2時間で3万匹くらいのミツバチが皆殺しになってしまうそう。

ポイント1

一度、オオスズメバチに襲われれば、ミツバチの巣はあっという間に全滅させられちゃうのだ!

スズメバチ対策

 小野先生が玉川大学の敷地内で行っているスズメバチ対策を見せてくれました。ミツバチの巣箱の前に取り付けた、不思議な形の箱がスズメバチの捕獲器。捕獲器の上の部分は、スズメバチを閉じ込める仕掛けになっているんです。まず、ミツバチの巣を狙うスズメバチは、巣箱に入ろうとしますが中には入れません。スズメバチには、明るい場所と上に向かう習性があるのでそのまま捕獲機の上にあがっていきます。実は、このろうと状の入り口はスズメバチにとって一度入ったら出られないもの。体の構造上、細い方から戻るのが難しいんですって。

 そして万が一、ミツバチが誤ってここに入っても体が小さいミツバチは抜け出せます。かがくの里のミツバチを守るため、小野先生から捕獲機をいただきました!
 翌日。早速、捕獲機をつけようと巣に近づいたその時、小野先生の予言通り、オオスズメバチが襲来!まさに集団で、巣を襲おうとしていたのです!ぐずぐずしてはいられません。すぐに捕獲器を設置。オオスズメバチからミツバチを守れるのか?すると!オオスズメバチが中に入りました!ミツバチの巣に入れず戸惑っている様子。そして、オオスズメバチをみごと捕獲。この秘密兵器が、オオスズメバチからミツバチを守ってくれるはず。10日後、捕獲器の様子を見に行くと、捕獲機の中にオオスズメバチとキイロスズメバチがびっしり!その数、なんと200匹以上。

ポイント2

最強のスズメバチ捕獲器、すごいのだ!

エビの養殖の続報

 5月、かがくの里では、田んぼに水路を造り栄養豊富な田んぼの土からプランクトンが発生。これをエビのエサにして、自然に大きくするという計画!実際にこの水路で、エサを与えなくてもエビが育つことが証明されました。あとはエビを大量に放流するだけ!6月下旬、日本最大のオニテナガエビの養殖施設がある青森県へ向かいました。オニテナガエビの養殖している山崎さんに、今回かがくの里に放流する稚エビを譲ってくださいます。オニテナガエビの名の通り、青く長いハサミが特徴。東南アジアの淡水域に生息している大型のエビで体長は最大25センチにもなるそうです。

 オニテナガエビが養殖できれば、収穫祭の食卓が華やかになること間違いなし!
 山崎さんから頂く予定の、かがくの里で放流するエビ。見せていただくと、エビの赤ちゃん!卵から孵化してまだ10日ほどで、大きさは4ミリほど。

 エビの形になる稚エビまでは、栄養や水質のバランスが調整されたこの水槽で育てる必要があるんです。7月下旬。山崎さんが、稚エビになったオニテナガエビをかがくの里まで運んできてくれました。透明で綺麗な体!大きさは1センチほどです。
 今回、およそ5000匹が、かがくの里の仲間入り!ついに稚エビの放流です!

ポイント3

見逃さないでとか言ってたけど、小さすぎて見えなかったのだ!

 5千匹の稚エビをかがくの里に放流した一ヶ月半後。水路に放流した稚エビたちは元気に育っているのでしょうか?千葉先生、確認のため、何匹か捕まえようとしたところタガメを発見。タガメは日本では絶滅危惧種、予想外の大発見だったんです!

 しかし、タガメはエビを食べてしまうそう。エビの姿が見えないのはもしやタガメが食べちゃった?諦めず調査を続けます。ようやくエビを発見!その後も、続々と成長したエビが出て来ました!今回の調査結果は4センチ近くまで大きくなっているエビも!

 養殖を始めたホンモロコとドジョウの2世代目も育っていました。エサもやっていないのに、世代交代。かがくの里の環境づくりがうまくいっている証拠です。

ポイント4

来月の収穫祭、エビの成長が楽しみなのだ!