放送内容

第1405回
2017.12.17
原生林 の科学 場所・建物 自然・電波・鉱物・エネルギー

 京都に知る人ぞ知る「秘境」が!「京都の原生林」の科学!

京都の原生林とはどんな場所?

 今回取り上げる原生林は、京都府・福井県・滋賀県の県境にある「芦生研究林」。京都大学が大正10年から研究のために管理している場所なんです。
 森林の生態系について研究している京都大学の伊勢准教授に原生林を案内してもらいます。見つけたのは10年ほど前に倒れたという、長さ10メートルほどもあるミズナラの倒木。

 原生林は人の手によって管理されていないため、倒木が倒れたままになっているんです。そして、倒木に生えるコケも原生林の特徴の一つ。コケはふかふかのベッドのようになっているので、木の種が落ち、次世代の木が育つことができるんです。

 一つの倒木から、様々な種類の木の赤ちゃんが何本も生えていることもあります。
さらに森の奥では、特別天然記念物の「オオサンショウウオ」や、夜になると光る「ツキヨタケ」というキノコを発見!珍しい動植物のオンパレードだったんです!

ポイント1

京都の原生林は、人の手が入っていないからこそのとても貴重な自然が残っている場所なのだ!

芦生研究林の大カツラ

 研究林で一番大きな木・大カツラ。樹齢200年以上、高さ40メートル。

 幹の太さを測ってみると11メートル28センチもありました。
 さらに大カツラには、驚くべき秘密があるというんです。そこで、京都大学の東研究員と一緒にスタッフが大カツラに登ってみます。地上7メートルの大きな枝の上で発見したのは、8メートルもの大きさに成長しているアズキナシという木。なんと、大カツラから別の木が生えていたんです。

 こ樹齢200年以上の大カツラの枝にはびっしりとコケが生え、そこに落ち葉が降り積もり土のように変化。すると、そこから別の植物が芽を出し成長することができるんです。他にもヤマザクラが生えており、春にはピンク色の花を咲かせます。
 さらに上に登ると、高さによって光や水、栄養の状態が変わるので、その高さに適した植物が生えていました。

 「イメージとしてはラピュタ。空の上に一つの大きな木があって、またちがう生態系が一つできている。」と東研究員はおっしゃっていました。

ポイント2

芦生研究林の大カツラには、多くの植物が生え、独特な生態系が作られていたのだ!

秋の原生林

 京都といえば真っ赤で綺麗な紅葉を思い浮かべますが、原生林ではまたひと味違った紅葉を見ることができるんです。
 11月上旬、芦生研究林を訪ねると見事に紅葉していました。実は、芦生研究林は知る人ぞ知る紅葉スポット。毎年10月から11月にかけて、原生林の紅葉を楽しむツアーが人気なんです。その魅力は「京都の紅葉とは違い、全然色が違う」とのこと。
 空から見てみると、その違いが分かりました。見えてきたのは、赤や黄色など様々な色に変化した森。京都のお寺では、赤く美しく紅葉する木を計算して植えていることが多いのですが、原生林は人の手が入っていないため、様々な種類の植物が生え、様々な色が混じった紅葉を見ることができるんです。

ポイント3

原生林は、様々な色が入り混じり、人によって計算されていない自然のままの紅葉を見ることができるとても貴重な場所だったのだ!