第1435回 2018.07.22 |
移住体験・奄美大島 の科学 [後編] |
場所・建物 |
「移住シリーズ」第3弾。奄美大島、後編です。
俳優の金丸慎太郎さんが移住体験プレゼンターとして、町の魅力を実際に住んで調査するこの企画。前回の移住したイイねポイントは、奄美大島の豊かな自然に、地域ぐるみの充実した子育て環境。そして、島ならではのゆったりとした時間の使い方だと分かりました。さらに移住生活を続けると…新たな魅力が次々と!奄美に伝わる伝統産業に、脈々と受け継がれる、古の祭り…。
今回の目がテンは、住んで分かった奄美大島の魅力・後編です!
奄美大島の先輩移住者へ密着!
奄美大島の北部、秋名集落。およそ120世帯が暮らす地域は、昔ながらの街並みを残し、島内きっての水田地帯です。
移住生活4日目。この日は、別の集落の先輩移住者を訪ねます。9年前、大阪から移住してきた寳園さん一家。移住前は町の電気屋さんに勤めていた寳園さん。大学時代に訪れた奄美大島が忘れられず、移住を決意。幼い頃からモノ作りが好きだったこともあり、木工職人の道へ。現在では、数多くの作品を手がけるまでになりました。
そんな寳園さん、新たな作品作りに取り掛かっているそうで、奄美に自生している「テーチ木」と呼ばれる木材を使ったかんざし。
これに、奄美の伝統技法を使えないかと考えていました。
そこで向かったのは、大島紬の工房。大島紬とは、奄美特産の絹織物のこと。光沢のある深い黒が特徴の一つで、この色を出すために、ある伝統的な染色方法を行っています。
寳園さんも使っていたテーチ木。これを2日間に渡って煮詰めると、独特の色が出てきます。そこに絹糸を投入。テーチ木に含まれるタンニン酸を糸に染み込ませるため、何度も揉み込んでいきます。こうして、あの深い黒を出す下準備ができあがります。
そして泥田に、下準備を終えた絹糸をつけます。実は奄美大島の土は鉄分が多いのが特徴。そのため泥の中の鉄分と、絹糸に染み込んだタンニン酸が反応し、絹糸が黒へと変化していきます。そして、この作業を10日間ほど繰り返すことで、独特の“深い黒”へと変化。大島紬は、こうした伝統技法によって、生み出されていたんです。
ここで寳園さん、あのテーチ木で作ったかんざしを取り出しました。タンニン酸が含まれているテーチ木を泥田の鉄分と化学反応させることで、新たな作品を生み出そうと考えました。完成したのがこちら。
伝統と革新が融合できる環境もこの土地ならでは。さらに、魅力的な環境は他にも。
夕方、保育園から戻った息子を連れ、向かったのはビーチ。ここで、仕事で使う流木を集めます。さらには貝殻も。子供にとっても、奄美は気軽に自然と触れ合える場所。
そんな魅力いっぱいの環境に奥さんも大満足。しかし、ここ奄美ならではの“ある悩み”も。寳園さんによると、カビがスゴいといいます。息を吹きかけただけで、なびくほどのカビが生えていたりすることもあるそうです。
4日目の移住生活を終えどんどん島の魅力に惹かれる金丸さん。明日はどんな出会いが待っているのでしょうか?
自撮りで奄美の魅力を探る
移住生活4日目の夜。ここで移住体験恒例の“あの提案”です。町の人の本音を聞き出すため、残り6日間は自らカメラをまわし、撮影してもらいます。この日は、かんざし作りを見せてもらった寳園さんに、ダイビングへ連れて行ってもらいます。
これまで二度、ダイビング経験がある金丸さん。奄美の海は、息を呑むような青い世界が広がり、そこには不思議な生き物たちの楽園が。サンゴ礁に付くイバラカンザシ、綺麗な青色をしたアオヒトデや、縞模様が美しいハナミノカサゴ。さらに、なんとウミガメにも出会いました
そして、ハブ捕り名人と呼ばれる公貴さんと一緒にハブ捕りに。実は奄美では、ハブを捕まえ町の自治体に持っていくと1匹3000円で買い取ってくれます。駆除を兼ねた作業は町の安全に一役買っているんです。ハブは毒を持つ危険な蛇。そのため、ハブ捕り棒をハブに見立てて練習です。練習を終えたら、暗闇の中、いよいよハブ捕り開始。すると、なんとかハブを捕まえることに成功。島ではハブに慣れておくことも大事なんです。
この日は、中学の相撲部の見学へ。実は奄美では、昔から相撲が盛んで、191の集落ほとんどに土俵がある、日本一土俵が多い島。ということで、せっかくなので、金丸さん人生初まわし。対するは、中学3年生の浜口くんですが、金丸さん、中学生相手にあっさり敗北。
この日は、奄美の方言で「タナガ」と呼ばれるテナガエビを取りに近くの川へ。ハブ捕り名人の公貴さん、実はタナガ捕りも大の得意。米ぬかをエサに、タナガをおびき出します。取れたてのタナガは、そのまま素揚げに。味付けはシンプルに塩のみ。
こうして、カメラに収められていたのは地元の方との充実した日々。10日間の移住生活を終えスタッフが合流すると、浜おれという行事に誘ってもらっているため、明日までいたいと金丸さんから提案が。浜おれとは、町の豊作を願う年に一度の恒例行事で、そのメインとなるのが「フナこぎ競技」。実は金丸くん、このフナこぎで秋名地区の班別対抗戦に誘われたそうで。参加するのは、移住した家がある「脇班」。ここは高齢の方が多く、若い金丸くんに期待がかかります。そのため、実は前日から青年団の方たちと特訓をしていました。舟に乗るのは漕ぎ手6名と舵取り1名の計7名。いかに、息をあわせられるかがポイントです。果たして本番はうまくいくのでしょうか?
地元の祭りに参加!
いよいよ浜おれ、本番当日。金丸さんが参加するのは、秋名集落の班別対抗戦。移住した家がある脇班のメンバーとして参加します。コースは、150m先にある旗を周り戻ってくればゴール。1組3チームで争われ上位2チームが予選突破となります。
実は、脇班は、もう10年近く予選突破できてないのですが、金丸さんは自信たっぷり。果たして?どうなるのか。
そして本番がスタート!金丸さんが乗る舟は順調な滑り出し。難しいターンもなんとか周り、2位につけます…と、その時!なんと舟が横にそれてしまいます。その後の追い上げも実らず今年も予選敗退。
その日の夜、脇班の残念会です。負けはしましたが、すっかり町に溶け込んだ様子の金丸さん。
移住生活最終日は、あいにくの雨。すると、雨にも関わらず、金丸さんとの別れに朝早くから多くの方が駆けつけてくれました。