放送内容

第1454回
2018.12.09
みそ汁 の科学 食べ物

 寒~い冬。飲みたくなるのが、あったかーい「みそ汁」。最近では、バラエティ豊かな具が入った具沢山みそ汁が大人気。サバ缶のみそ汁、アボカド、ヨーグルトなど、一見合わなさそうな変わり種も出てきているんです。みそ汁は、ほぼどんな食材とも合う?本当なのか、実験!どんな具材でも美味しくしてしまうみその特別な力とは?そして、お湯を注ぐだけで、手軽に飲めるのが人気の即席みそ汁。今回、歴史体験プレゼンターの都丸紗也華さんがフリーズドライ工場で、美味しさの秘密を徹底調査!そこには、作り立てのみそ汁を閉じ込めるための、驚きの技術が!さらにさらに!フリーズドライ技術を使って、目がテンオリジナルの健康みそ汁作りにも挑戦!
 今回の目がテンは日本人のソウルフード「みそ汁」を科学します!

みそ汁はどんな具材とも合うのか?

 あまりみそ汁に入れることのないものなど、様々な食材を用意。新しいみそ汁に挑戦です!
 本当にみそ汁はどんな具材にも合うのか?ベースとなる、みそとだし汁は同じものを使います。
 今回、みそ汁の味を評価してもらうのは普段は、定番の具材を使ってみそ汁を作るという和食の達人、笹岡隆次さん。発酵食作りがライフーワーク、最近の新作みそ汁にも注目している料理家の井澤由美子さん。そして、変わった具材のみそ汁はあまり食べたことがないという、発酵学の専門家、金内誠先生にも同席していただきました。

 まず1つ目はイタリアンみそ汁。選んだ具材は・・・。イタリア料理と言ったらトマトとモッツァレラチーズ。この2つを具材に選びます。 まずは、鍋にだし汁を入れ、沸騰したら、ミニトマトを入れます。そして、具材に火が通ったら、みそを溶き入れます。最後に、モッツァレラチーズの入ったおわんにみそ汁を注いだら、これでイタリアンみそ汁の完成です!

 果たしてみそ汁に合うのか?トマトとモッツァレラチーズ、普通はみそ汁に入れない組み合わせ。その評価は?
 酸味がすごくよく合う!チーズのミルク臭さがマイルドになって、みそとすごく一体感になって本当に美味しい!調和がいいバランスです!と、イタリアンみそ汁!なかなかの高評価です。

続いての新作は、ゴーヤ。合わせるのはスパム。この2つを使って、沖縄風みそ汁を作ります。まずはゴーヤと、スパムを食べやすい大きさに切ります。次に鍋にだし汁、具材を入れ、火を通していきます。にがうりと呼ばれ、とっても苦いゴーヤ。果たしてみそ汁に合うのでしょうか?

 バランスいいですね。美味しい!ゴーヤの苦味が御御御付け、お汁の方に出ているので、ゴーヤをいただいた時に苦すぎない!両方がちゃんと立て合っていて、邪魔してなくて、まとまってて、すごい素敵なおみそ汁でした!みそがゴーヤの苦味を 和らげるようです。

 そして最後の新作は、りんご。そして、もう1つの具材は…大胆にもホイップクリーム。この2つを使って、デザートみそ汁を作ります。作り方は、沸騰しただし汁の中に、一口大に切ったりんごを入れて煮て、みそを溶きます。最後に、ホイップクリームをトッピングして完成です!かなり冒険的なみそ汁!さあ、デザートみそ汁の評価は?

 りんごが入れてみて合わなくないんだから、面白い!りんごの食感がよければ、みそ自体と合わなくないし、クリームを少しとか、バターとかそういうのは全然ありだと思います!

 デザートみそ汁に関してはリンゴと味噌は合わなくないという意見が。そしてイタリアンみそ汁と沖縄風みそ汁はいずれも合うという判定に。どんな具材でも、プロも納得する味になるのは、なぜ?
 金内誠先生によると、みそ汁は、ほぼどんな食材とも合うといいます。原料のみそは完全に水に溶けることはできません。その溶け残った部分には、細かい粒子でできたコロイドという物質があります。コロイドとは、液体に分散している微粒子。1mmの1000分の1以下というとても小さなものです。

 このコロイドの中にはうま味成分である、アミノ酸やペプチド、あるいは風味成分が豊富に含まれています。このコロイドがみそ汁と調和したり、食材を包み込んで、酸味だったり、苦味だったり、食材の強い味のものを使っても、みその風味を壊すことなく、マイルドに仕上げる能力をみそは持っているんです。
 つまり、みそのコロイドが汁全体に広がり、さらには具材を包み込んでくれるので、ほぼどんな食材を入れてもマイルドに味をまとめてくれるんです。

みそ汁の健康効果とは?

 みそ汁と具材の健康効果について共立女子大学教授で医学博士の上原誉志夫先生に伺いました。上原教授によると、みそ汁に具材を入れると、具材の健康効果が一緒に発揮できるので、とても優れているといいます。さらに、実は汁の方に非常に重要な栄養素があるということが分かってきたそう。具材は、温めると栄養素が汁の方に出てくるため、具材を日々変えることによって色々な栄養素がとることができるといいます。

 そこで!上原教授に、科学的に健康効果が期待できるみそ汁を考えていただきました。
 まずは、疲労回復みそ汁。

 材料はこちら!今回は、2人分を作ります。

・豚肉 70g
・生黒きくらげ 70g
・にんにく 半かけ
・だし汁 300cc
・みそ 16g

 まず、きくらげをさっと下ゆでします。きくらげは、通常不足しがちなビタミンDを多く含んでいるので、免疫力を高めます。次に、ゆでたきくらげと豚肉を食べやすい大きさに切り、にんにくはすりおろします。にんにくにはアリシン、ビタミB群が豊富に含まれているので、疲労回復にはもってこい。そして、鍋にだし汁を入れて温め、にんにく、豚肉、きくらげを入れて火を通します。最後にみそを溶いたら、疲労回復みそ汁、完成です!

 2つ目の上原教授オススメの健康みそ汁は、かぜ知らず、芋づくしの健康みそ汁。

 材料はこちら。

・じゃがいも 70g
・さつまいも 50g
・山芋 50g
・だし汁 300cc
・みそ 16g

じゃがいも、さつまいも、山芋を1cmくらいの角切りにします。次に、鍋にじゃがいもとさつまいも、だし汁を入れて、柔らかくなるまで煮込みます。煮崩れしやすい山芋はみそを溶く前、最後に加えるのがコツです。これで芋づくしの健康みそ汁の完成!
 これにはもう一つの良い点が!みその中には血圧を下げる成分が複数存在します。1つは腎臓から食べた食塩の排泄。他に血管を直接的に広げる物質など色々な成分が分かっています。繊維性のもの、カリウムをよく含んでいるもの、そういうものを一緒に食べると血圧が安定化するんです。
 また、具材を柔らかく煮ることで、お年寄りも子供にも食べやすくなったり、野菜のかさが減ったりしてたくさん食べられるので、お味噌汁はいいことづくめだったんです!

ドライフリーズ工場で美味しさの秘密調査

 お湯を注ぐだけとお手軽な、即席みそ汁。中でも、作り立てのような味が楽しめると人気なのが、フリーズドライのみそ汁です。そこで今回は、歴史体験プレゼンターの都丸紗也華が、フリーズドライのみそ汁の美味しさを調べてきます!
 工場を案内してくれるのが、アサヒグループ食品岡山工場ファクトリーアテンダントの吉澤清一さん。フリーズドライみそ汁の秘密とは?まず案内してもらったのは、具なしのみそ汁を作る場所。だし汁に大量のみそを入れ、機械で混ぜていくんです。
 続いては、具材が入った型枠に、先程作ったみそ汁を1食ずつ入れていく機械。

 そして、ここからが見所。いよいよフリーズドライの工程です。フリーズドライ技術のポイントは水分。凍らせる前、みそ汁や具の水分は水で存在しています。凍らせると、みそ汁や具の水分は氷に変化します。そして、真空状態で乾燥させると、水分がそのまま抜けるので空洞ができ、スポンジ状になるんです。

 凍ったみそ汁や具の水分が溶けることなく、水蒸気になって乾燥することで、元のみそ汁の味、香り、食感、色が損なわれにくく、作り立てのような瑞々しさを保てるそうなんです。

 まず凍らせていく工程を見せてもらいます。およそマイナス30℃の凍結庫で、みそ汁を8時間以上凍らせます。
 続いて、凍ったみそ汁を乾燥させるのが、真空にして、凍らせたまま乾かす、乾燥機です。24時間かけて氷の塊をクッキーのように乾かしていく設備です。こちらの真空凍結乾燥機は、世界最大級の大きさで、全長はなんと新幹線1車両分ほどもあるんです。

 1回で、8万8千食のみそ汁が作れるそうです。
 そして最後に、フリーズドライにしたみそ汁を一つずつパックに詰めたら完成です。
 でもせっかく、工場を見せてもらったのにこのまま帰るのは、もったいない!このフリーズドライの技術を使って、目がテン!オリジナル、身体に良い具材のフリーズドライ健康みそ汁を作ってみたい~!

 そこで、どんな具材が良いか、上原教授に相談してみると…今不足しがちな亜鉛が十分に取れるような食材。亜鉛不足は味覚障害を起こしやすく、それが原因で食欲不振にもなり、身体や認知機能の低下にもつながるそうです。
 亜鉛をたっぷり含むオススメの食材とは?まさかのビーフジャーキー!?実はビーフジャーキーには亜鉛が多く含まれていているんです。肉類ではなんと1位。それに、リコピン、が豊富でビタミンAも含まれるトマト。それと、カリウム、食物繊維が豊富なかぼちゃ。
 ということで、ビーフジャーキー、トマト、かぼちゃを持って、フリーズドライみそ汁を作り続けて36年の島村さんの下へ。
 この道のプロも作ったことがないというビーフジャーキーのみそ汁。果たして作れるのか?まずは、みそ汁を試作。具材の大きさなど試行錯誤しながら、一食ずつ型枠に入れていきます。今回の難題はかぼちゃの皮の部分と、ビーフジャーキーがいかに、お湯をかけて戻りがよく出るかということ。何度か試作を繰り返し、改良を続けた結果…目がテンオリジナル!フリーズドライ健康みそ汁が完成!スタジオで試食した所さんも、魔法と大絶賛でした。