放送内容

第1504回
2019.12.08
かがくの里・田舎暮らし の科学[収穫祭4] 場所・建物 食べ物 地上の動物

 今年で5回目を迎え、とっても充実している収穫祭!これまで3週にわたって楽しくお送りしてきましたが本日、いよいよクライマックス!
 今年の目玉プロジェクト!二ホンミツバチの養蜂!突然、里に住み着いた二ホンミツバチ!その超貴重なハチミツがようやく所さんの口へ!すると、え!?リンゴの味!?その味には、ミツバチと里の植物の面白い関係が隠されていた?!
 さらに!里山の達人、西野さんから秋ならではの美味しいプレゼント!
 所さんの目がテン!秋の大収穫祭スペシャル!!!

ニホンミツバチ養蜂プロジェクト

 2017年に取り組んで大成功したのが、セイヨウミツバチの養蜂プロジェクト。実はこの時、同時に進めていたのが、日本の在来種二ホンミツバチの養蜂プロジェクトでした。
 長い歴史をかけ、人間に飼いならされたセイヨウミツバチと違い、野生の二ホンミツバチは、とっても神経質。捕獲するには巣箱を置いておき、ミツバチが気に入って自分から巣をつくるのを待つしかありません。
 そのため2年前は失敗。ところが今年4月、なんと二ホンミツバチが里に巣を作ってくれたんです。そこで3年越しに、二ホンミツバチ養蜂プロジェクトがスタート。

 するとその1か月後、ミツバチたちが目を疑う行動に!頭上に、およそ8000匹の二ホンミツバチ!これは、繁殖期、巣の中が働き蜂でいっぱいになった時に、群れが2つに分かれる「分蜂」という行動。
 すると、今度は西野さんが目を疑う行動に!行き先が決まらず団子になっていた蜂に、霧吹きで水をかけ、飛びにくくしてから手で袋に入れ、捕まえたんです。捕まえた群れをセイヨウミツバチの養蜂で使っていた巣箱に入れて、里の二ホンミツバチの群れが2つに増えました。その後、2つの群れにわかれた二ホンミツバチは活発に飛び回り、花のミツを集めていました。
 ところが、連日の猛暑となった8月初旬。蜂の巣箱で予想外の事態が!突然、二ホンミツバチが1匹もいなくなってしまったんです。

 その原因は、今年の急激な猛暑!予想外の暑さで、ロウでできた巣が柔らかくなり、沢山集めたミツの重さで落ちたそう。そして、巣箱の中も暑く、巣板も落ちて住みにくくなり、ミツバチたちは巣を捨てて、どこかにいってしまったんです。木陰に置いてあった巣箱も、巣が落ちてしまい、ミツバチたちは姿を消していました。
 巣が落ちてしまったってことは、肝心のハチミツもダメになってしまったのか?蜂が消えた巣箱をあけてみると、落ちたのは一部で、ほとんどの巣板はくっついたまま。しかも、見ただけで専門家が大絶賛!

 これを西野さん手作りの二ホンミツバチ採蜜機でしぼります。実は二ホンミツバチのハチミツは、1キロ1万円から2万円くらいと、とても高価。
 この辺りの野の花からミツバチたちが集めてくれた、世界にひとつだけのハチミツ!

 その味は、ハチミツなのにリンゴのさわやかさ?
 ハチミツはおよそ8割の糖分と2割の水分でできています。酸などの成分はほんの少し含まれているものの、私たちの舌で感じているのは主に甘み。ですが、花の蜜には色んな香り成分が入っており、それが風味として、ハチミツに味わいを加えているんです。
 そこで今回小野先生は、玉川大学で里ハチミツの香り成分を調べてくれました。その結果は、なんとメントール系の香りが。このメントール系の香りによってハチミツからリンゴのさわやかさを感じたようです。
 でも、どうしてメントール成分が?実は、メントール系の香りはミツバチの巣の中に入ってくる外敵が嫌がる匂い。自分で動くことのできない植物の中には、花の蜜を集めに来たミツバチの足に花粉がつくことで受粉を助けてもらう虫媒花が多くあります。
 ミツバチを守るため、ハチの外敵となる虫を遠ざけるにおい成分を、花の蜜に混ぜている可能性も考えられるんだそう。花とミツバチ、深く繋がっているんです。

蜂と調理科学のスペシャルコラボメニュー

 小野先生、西野さん、露久保先生がコラボしたメニュー、クロスズメバチと大スズメバチのハチノコの佃煮を試食。

 どうしてスズメバチのハチノコが2種類も?
 事の発端は、今年8月。二ホンミツバチのミツを搾っているときでした。蜜の匂いに誘われやってきたのが、スズメバチの一種、クロスズメバチ。
 実は、クロスズメバチの幼虫やサナギは、かつて里山から採れる貴重なたんぱく源として大切な郷土食。実は今、こうした昆虫食が世界で注目されているんです。
 2013年、国際連合食糧農業機関は、昆虫食は人口増加に伴う食料問題に対する有効なひとつの方法と発表。
 昆虫は、良質なたんぱく質や脂質、ミネラル分など豊富な栄養成分が含まれるいわばスーパーフード。しかも、私たちが主にたんぱく源として食べている、牛、豚、鶏の代わりに昆虫を食べれば地球環境にもいいらしいんです。というのも、牛、豚、鶏肉で今後も増え続ける人工分をまかなうには、森林を切り開き、エサのための農地を造らないといけません。でも、昆虫なら増やすのにエサのための農地は最小限ですむんです。

 そして後日、西野さんから、クロスズメバチの巣を見つけたという連絡が。そこで阿部さん、ハチノコ獲りへ。クロスズメバチは、土の中に巣を作るため、ジバチとも言うんだそう。

 スズメバチの中では攻撃性は低いそうで、土から掘り返します。土の中から白いハチの巣が。こうして採ったクロスズメバチの巣。

 この巣の中にいる幼虫と繭の中にいるサナギ。両方を取り出します。このクロスズメバチのハチノコを収穫祭前日、露久保先生が佃煮にしてくれました。
 もう一種、オオスズメバチの方は、小野先生が持ってきてくれたのでこちらも佃煮にしたんです。試食してみると、サナギはエビの味なんだそう。
 来年も二ホンミツバチからハチミツを採ろうと、西野さんと地元の方々が間伐材で7個も巣箱を作ってくれました。

達人西野さんが、秋の味覚を準備してくれました!

 そして西野さんはこの日のために里山の、秋の味覚を用意してくれていたんです。それが子持ちのアユ。アユは季節によって、3つの旬がある魚だそうで、初夏に採れる若鮎はあっさりとした風味で骨も柔らかく丸ごと食べられます。盛夏のアユは脂がのって、充実の味。
 去年、阿部さんは、投網漁で盛夏のアユを捕獲。塩焼きでおいしく頂きました。そして秋口にしか食べられないのが今回の子持ちアユ。里で作った炭で、じっくり1時間焼き上げました!

 さらに、西野さんが里山の秋の味覚をもう一品用意してくれました。収穫祭前日、西野さんが採ってきてくれたのはウラベニホテイシメジというキノコ。

 ブナやマツといった広葉樹林に生え、ほんのり苦みがあることが特徴で、クセになる味わいなんだとか。作ってくれたのが地元で昔から親しまれている、ネギやナスなどもたっぷりのキノコ汁。

 今年は一時、台風で里の池や橋が壊れて、開催が危ぶまれた収穫祭。
 でも、地元の方々に助けられなんとか行うことができました!秋晴れの気持ちのいい日差しに恵まれ先生たちの1年の頑張りが報われました。来年もきっと、かがくの里、ますます充実しちゃうはず!期待していてください!