放送内容

第1505回
2019.12.15
移住体験・和歌山県日高川町 の科学[前編] 場所・建物

 目がテン“移住体験シリ―ズ”!今回の舞台は、和歌山県のほぼ中央、街の9割が森林に覆われた「日高川町」。実はここ、28年も前から移住者の受け入れに力を入れ、この町に惹かれ、定住する人も数多くいるんです。
 町の中央には、清流、日高川が悠々と流れ、春は日本一長い藤棚の道。冬には、満天の星空が広がる、温暖でのどかな場所です。しかし、町にはコンビニがわずかに1軒。信号も6つしかなく、バスは1日7本のみ。移住者の多くが「何もない」と語るこの場所に、なぜ長く住み続けるのでしょうか?
 今回の目がテンは、何もないのになぜ人気?「和歌山県・日高川町」の魅力に迫ります!

日高川町で家探し!

 東京から新幹線、在来線を乗り継ぎ、およそ4時間。1日7本しかないバスに乗ること、およそ15分、町の中心部へ。さっそく町役場へ。お目当ては、定住促進室。今回住む場所は、「人といっぱい交流ができる地域」ということで"美山"に決定。さっそく空き家を紹介してもらいます。
 車は、街からどんどん離れ、山奥へ。およそ40分後、到着したのは、日高川の上流部にあるのどかな一帯。

 静かな住宅街に、近くには地元の人が昔から利用する個人商店が一軒。
 空き家を紹介してくれる大家の児玉聡美さん。そして紹介してくれた空き家は、大家さんの自宅の隣。今は空き家となった昔の母屋です。

 3部屋ある間取りのうち、2つは物置として使われており生活は1部屋のみ。縁側付きで、遠くには日高川も望めます。その気になる家賃は、朝ごはんがついて1日3000円。この家に住むことに決定!いよいよ日高川町で、7日間の移住体験が始まります!
 まずは、大家の児玉さんと、ご近所への挨拶まわり。地域をまとめる区長さんや、自治会長さんへの挨拶はとても大切なんです。

日高川町の先輩移住者①

 挨拶まわりを続けていると出会ったのが、7年前に神奈川県から家族で移住してきた木島賢一・貴子さん夫婦。小学1年生の琉晴くんと、4歳の璃南ちゃんの4人で暮らしています。
 日高川町に移住するきっかけは、貴子さんの祖父母が暮らしていたため、お盆と正月に何回も訪れた際、賢一さんがこの町で暮らすイメ―ジを勝手に考え始めたそう。都会暮らしに馴染んでいただけに、当初、移住には消極的だったという貴子さん。
 東京で営業職のサラリ―マンだった賢一さんは、日高川町でできる仕事を探すことに。自分でなにかをやってみたいという気持ちから、まったくの未経験から県の就農支援センタ―へ通い、一から農業を学びました。奥さんも、ご主人の熱意に押され、移住を決意。現在は、いちごを栽培して、レストランや有名百貨店に卸すまでになりました。
 そして、実際に住んでみて分かった、この町の魅力が「特別これというのがないのがこの町の特徴」。ゆったりとした時間を過ごせる日々が今では気に入っているそう。
 そして、木島さんの子供が通う小学校へ案内してくれました。特別に、金丸さんも授業に参加。この小学校、全校生徒は12人。生徒数が少ないため、複式学級という2つ以上の学年をひとつにして、授業が行われています。
 この時間は、1年生から6年生まで全員集まり、図工の授業。地元の間伐材で作った木の枠に和紙をはり、ランタンを作っていきます。教室には、木島さんの長男、琉晴くんも。金丸さん、5年生の更沙ちゃんに教えてもらいながらランタンを作っていきます。授業を通して、子供達とふれあうことができました。

 その夜、家で休んでいると、大家の児玉さんのご主人から、歓迎会のお誘いが。金丸さんも、焼売作りをお手伝い。歓迎会には、近所に暮らす先輩移住者の皆さんも集まってくれました。
 今日、ランタン作りを教えてくれた、更沙ちゃんも。お母さんの山口由宇香さんは、東京からの移住者です。地元でとれた鹿の肉など豪華な料理、歓迎会の準備も整いました。
 歓迎会が始まると、さっそく話題は、日高川町の魅力について。でてきたのは、「何もないから居心地がいい」。
 この日は、夜遅くまで歓迎会が続きました。

日高川町の先輩移住者②

 先輩移住者へ会いに、さらに山奥へ。3年前に奈良県から家族で移住してきた伊藤弘貴さん。奥さんと二人のお子さんの4人で暮らしています。
 もともとは、奈良で自然体験を教える仕事に就いていましたが、移住後、炭焼き職人の道へ。実は日高川町、紀州備長炭の生産量が日本一の街で、地元の山には、炭の材料のウバメガシが数多く自生しています。
 伊藤さんは、知り合いの紹介で炭焼き職人の道に。1年間修行したのち、独立しました。
 今日の作業が、ひと段落したので、ご自宅へお邪魔させてもらいます。
 伊藤さんの自宅は、築96年の古民家。もともとは酒屋だったらしく、その当時のまま住居として使用しています。奥さんの周子さんと、1歳の縁くん。
 そもそも、この街に移住を決めたきっかけというのが、奥さま曰く「奈良が寒く、和歌山は温かいイメ―ジ」「長女が小学校にあがるタイミング」。その時、この家と出会い、移住の決め手になったといいます。
 さらに、奥さまが家を見に来た時に、近所のお父さんの「絶対ここにしろ!」というアドバイスがあったそう。すると、このタイミングで、偶然にも話題にのぼった近所のおじさん達が登場。日高川町に住む方の暖かい人柄に触れることができました。