第1519回 2020.03.29 |
瞬間ハンター・冬の屈斜路湖 の科学[前編] | 場所・建物 自然・電波・鉱物・エネルギー |
四季折々の変化に富んでいる日本。そこでは、様々な条件が重なった時にのみ起こる美しい自然現象や、人が作り出す珍しい現象が数多くあります。そんなレアな現象の瞬間を撮影する、新企画。その名も…、“瞬間ハンター”。
その瞬間ハンターとなるのが、移住体験プレゼンターの金丸慎太郎さん。瞬間ハンターとして、狙う最初の場所は北海道、屈斜路湖。12日間に及んだドキュメントです!
今回の目がテンは…、貴重な瞬間を狙え!瞬間ハンター、冬の屈斜路湖編です!
冬の屈斜路湖で瞬間ハント
東京から飛行機でおよそ2時間。瞬間ハンター、初のミッションの地、北海道・釧路空港に到着!屈斜路湖で起こる自然現象について知るため、まず向かったのは湖周辺の自然や動植物などを紹介してくれる川湯エコミュージアムセンター。教えてくれるのは、自然解説員の片瀬さん。
屈斜路湖は、日本最大のカルデラ湖。火山活動によってできた陥没地に水が溜まりできた湖。冬には、飛来したオオハクチョウに出会える場所として知られ、また、湖全体が凍結することで有名でもあります。訪れたときの屈斜路湖の凍結の状況は3割程度とのこと。しかし、凍る準備は整ってきているので天気次第で全面凍結する確率が高くなるそう。
ということなので、早速、いくつかの珍しい現象を教えてもらいました。中でも片瀬さん一押しの現象が、“サンピラー”。ダイヤモンドダストが大量に発生して、その一部が太陽の光に当たって、柱状に見える現象。果たして、貴重な瞬間を見ることはできるのでしょうか。
早速、屈斜路湖で、瞬間ハントを開始!すると、金丸さん、早速気になる現象を見つけました!湖から湯気が出ています。測定してみると48℃。その理由は、湖の底から温泉が湧き出ているからなんです。
屈斜路湖周辺は今も火山活動をしているためこのような現象が見られるんです!
金丸さん、さらに先に進み、見つけたのは、凍った湖面にあいた穴。
この現象は、釜穴。
湖の底から温泉が湧き出ているため、その部分だけ凍らず、穴があく現象。
そして、またまた不思議な現象を発見!金丸さんが発見したのは、アイスバブルという現象。
湖から湧き出るガスなどが氷の中に閉じ込められている現象。これらの現象は、火山などの特殊な環境が周囲にある屈斜路湖ならでは貴重な瞬間です!
そして、さらに先に進むと氷をまとった木々を発見!これは、しぶき氷。
強い風が吹くことで、樹木に波しぶきが当たり凍りつく珍しい現象。波しぶきが当たった部分が凍るため、片側だけが凍っています。湖が凍りつく前だからこそ、起こる現象なんです!
そして、この日の締めは、屈斜路湖の湖畔にある、露天風呂。順調なすべりだしの金丸さんでした。
屈斜路湖ならではの現象
屈斜路湖周辺の火山が活動している様子が見られる場所が雪山にあるということなので、スノーシューを履いて、地元ガイドの藤原さんに連れて行ってもらいます。
深い雪道を歩いて、1時間後。金丸さんの前に現れたのは、その一帯だけ雪の積もっていない不思議な場所。近づいてみると蒸気があがっています。蒸気が出てくる穴に温度計を入れて測ってみると、なんと、100℃近く!
実はこの一帯は火山活動によって地面が温められ、蒸気が発生しているんです。
なので、雪が降っても解けて積もらないんです。
そして、火山活動が見られる場所はここだけではなく、それが硫黄山。
臭いのする火山ガスがでています。火山活動をしている屈斜路湖周辺ならではの迫力ある瞬間を捉えた金丸さんでした。
貴重な現象“サンピラー”を狙う!
早朝5時。この日、金丸さんが狙うのは、太陽の柱、サンピラー。気温が低く、湿度が高いとき、大気中の水蒸気が小さな氷の結晶になります。
これに光があたり、反射や屈折をして、光り輝く現象をダイヤモンドダストと言います。
そして、サンピラーとは、この氷の結晶が地面に対してほぼ平行に並んだ状態の時に太陽の光が反射して、人の目には柱のような光が見える現象なんです。
発生条件は、気温が氷点下であること、そして、湿度が高く、無風、さらに太陽が出ていること。条件が整えば、美しいサンピラーを見ることができるのです。
この日の気温は、マイナス10℃、湿度は85%。そして風も穏やかで、条件はバッチリ!金丸さんカメラを準備し、サンピラーを待ちます。
少しずつ明るくなってきましたが、太陽が顔をだしません。その後も、太陽が顔をだすことなく、サンピラーが発生する様子はなく、断念。
金丸さんに、日々つけてもらっている日記には、
「サンピラーは見られず そう簡単にはいかない。頑張った分、見られた時の喜びはひとしおみたいなのは要らないから早く見たい」
その後も、日を改め再挑戦!しかし、この日もまったく晴れ間が現れません。
日記には、「とにかく気象条件が良さそうな日は狙っている。明日も気合いを入れすぎない程度に楽しみながらハントしよう」と書いていました。
気を取り直して望んだ3回目の挑戦も悪天候で、断念。
そして、4回目の挑戦。気温、湿度、風の気象条件は整っています。あとは、氷の結晶が輝くダイヤモンドダストが起こればサンピラーが見られる確率はあがります。
しかし、太陽が上がるもダイヤモンドダストが起こりそうな気配はありません。そこで、金丸さん、サンピラーが過去に目撃されたという場所へ移動を開始。しかし、サンピラーは発生せず不発の連続。
そこで、金丸さん、一旦屈斜路湖から離れて別の瞬間を狙うことに。金丸さんが訪れたのは、屈斜路湖から少し離れた鶴居村。
ここで見られる貴重な瞬間は、餌を食べるためにねぐらから飛び立つ天然記念物のタンチョウ。この時期、多くのタンチョウが集まり、この場所は、その瞬間が見られる有名なスポットなんです。
しかし、なかなか飛び立つ様子はなく、待つこと3時間。ついに、その時は訪れました!
金丸さん、飛び立ったタンチョウを下から撮った決定的な瞬間です!
その後も群れをなして飛ぶタンチョウなど貴重な瞬間を撮影できました。滅多にない瞬間をカメラにおさめることができました!
実は貴重な瞬間がもう一つ撮れたんです!4回も狙って、不発に終わったサンピラーですが、この場所で撮影できたんです!待機しているとき、それは突然現れました!待ちに待ったサンピラー!貴重な瞬間の撮影に成功です!光の柱のようになっているサンピラーを捉えることができました。