第1550回 2020.11.08 |
ブッシュクラフト の科学[前編] | 物・その他 自然・電波・鉱物・エネルギー |
今、日本で人気が再燃しているものが、キャンプ!車にキャンプ道具を積み込んで行うオートキャンプや、優雅に楽しむグランピングなど、様々なスタイルがある中、キャンプ好きが注目する究極のスタイルが…「ブッシュクラフト」。
ブッシュクラフトとは、通常のキャンプとは違い、「文明の力」をなるべく持ち込まず、シンプルな装備で自然を楽しむキャンプのこと。
例えば、ライターなどを使わずに火を起こしたり、寝床は自然にあるものを利用したり、便利な道具を極力使わず、最低限のものでキャンプを楽しむ。キャンパーたちは、なぜそんなブッシュクラフトに憧れるのでしょうか。
そこで今回は、その魅力に迫るため、金丸慎太郎さんが2泊3日のブッシュクラフトを体験!ブッシュクラフトの魅力とは一体?
今回の目がテンは、今、注目のブッシュクラフトの科学です。
ブッシュクラフフトの技術を学ぶ
ブッシュクラフフトの技術を学ぶため訪れたのは、軽井沢にあるキャンプ場。教えていただくのは、ブッシュクラフトインストラクターの川口拓さん。ブッシュクラフトのワークショップを行い、書籍も出している第一人者なんです!
自然のものを利用して必要な道具を作っていくことが、ブッシュクラフトの楽しみの一つ。
そんな川口さんが用意した荷物は、一般的なソロキャンプの荷物と比べると、かなり少ない装備。
寝袋やテントの代わりに、雨風を防ぐタープと呼ばれる布や、ナイフやのこぎりなど、最低限の道具のみ。これに食料を加えて、キャンプを行います。ということで、早速、技術を教えてもらうことに。
まずは、雨風から身を守るシェルター作り。
シェルター作りに最も重要な技術が、ロープワーク。ロープワークとは、ひもを木に結んだり、雨や日差しを防ぐタープを張るときなど、ブッシュクラフトには必須の技術。まずは、張りを調整する結び方。教えてもらうのは、自在結びというロープワーク。
➀木に通したロープを上から下へ、輪の中に通し、結び目を作ります。
②次に、少し離れた場所に、もう一度、上から下へ輪に通し、結び目を作るのですが、この時は2回、輪の中に通すのです。
③そして、その結び目の後ろにさらに、上から下へ、輪の中に1回通して、結び目を作れば完成です。
このロープワークを覚えれば、結び目を動かすことで、張り具合を緩めたり、逆側に動かすことでピンと張ったりすることができるのです。
他にも4つのロープワークを教えてもらい、真剣に学ぶこと、1時間。早速、タープを張ってシェルターを作っていきます。これでシェルターが完成。
続いては、火の起こしかた。
枯れ枝を組んで、火をつけていくのですが、今回は、メタルマッチと麻ひもを使って火を起こします。マグネシウムなどできた棒をステンレスでこすると、火花が飛び、麻ひもに着火します。そして、その火種を大きくしていくために使うのが、杉の枯れ葉。
杉の枯れ葉は、油分を多く含んでいるため、火がつきやすいのです。他にも、白樺の皮、まつぼっくり、松の枯れ葉なども油分を多く含んでいるため、火起こしに使うことができます。
実際に練習。杉の枯れ葉に一瞬で火がつきました。
今日1日、ブッシュクラフトの技術を学んだ金丸さんでした。
ブッシュクラフトのスタート
今回、金丸さんがブッシュクラフトを行うのは、山梨県にあるキャンプ場。キャンプ場内には川も流れており、さらに、直火可能。ブッシュクラフトにはもってこいの場所です。金丸さん、いよいよブッシュクラフトのスタートです!
まずは、シェルターを設置するためのベース探し。
見つけたのは、川が近くにある少し開けた場所。ということで、ベースが決定。川口さんの教えを活かしながら、木を拾うところから始めます。
今回の寝床はハンモック。木にくくりつけるだけの簡単な作業なため、順調に取り付けていきます。次は屋根となるタープを張っていくのですが、そのために、ロープを結びつけるための杭、ペグを手作りしなければなりません。集めた枝を使い、ペグを作っていきます。そして、タープを張るために地面に刺していき、教えてもらったロープワークで、タープを張っていきます。
そして、開始から2時間。自然のものを最大限利用した寝床、シェルターが完成!ここで、金丸さんは2泊3日過ごしていきます。
火起こしと料理
いよいよ火を起こし、料理に挑戦します!金丸さん、火を起こすための薪となる枝を集めに、再び探索。見つけたのは、火おこしに適した白樺の木。木の皮を早速集めていきます。他にも大量のまつぼっくりや、松の枯れ葉をゲット!さらに、薪になる枯れ枝を手に入れます。
岩と石を使い、かまどを作っていきます。実はこれ、石の壁があることで、熱を反射させて逃がさないようにする効果があるのです。そうすることで、火の熱を無駄にしないため、薪の消費を減らすことができるのです。
川口さんに、整理が大事だと教わっていた金丸さん。薪となる枯れ枝を、細い順に分けていきます。実は、薪の太さを分けることで、効率的に燃える焚き火を組むことができるんです。細い枯れ枝から、順番にハの字に置くことで、燃えやすい空間が中にでき、細い枝から順番に燃えていくのです。
時刻は午後4時。日の入りは5時のため、急いで火を起こさなければなりません。しかし、メタルマッチと麻ひもを使いますが、枯れ枝に火が移りません。火が枝に移らない理由は、集めた枝が乾燥しておらず、まだ水分を含んでいるため。
そして、5度目の挑戦…ようやく成功!何度も挑戦するうちに、枝が乾燥して燃えやすくなったようです。
火が付けば、次は料理。その前に、食器もないので、まずはお箸作りから。さらに金丸さん、別のものも作っています。二股に別れた枝の片方だけを削っています。これは一体?
そうこうしていると、あたりはもう真っ暗に。いよいよ料理を作っていきます。
用意していたにんにくは、そのまま丸焼きにします。アルミホイルなどでくるまなくても、皮がその役割を果たしてくれるのです。
次は、さっき金丸さんが作っていた二股の枝が活躍!枝の片方にウインナーを刺し、焼いていきます。
そして、スープ作り。枝を削って平らにし、まな板代わりに。あとは料理ができるまで、火の番をするだけ。
30分ほど焚き火のそばに置いた、にんにくの丸焼きは…ホックホク。ウインナーには最後の仕上げ。チーズをかけていきます!薪で熱すれば、カリッカリ。スープにも大満足。ブッシュクラフトの初めての夜を満喫した金丸さんでした。