放送内容

第1592回
2021.09.19
かがくの里 の科学 地上の動物 植物 場所・建物

 今から7年前、放置され、荒れ果てていたこの土地を科学者たちの知恵を出し合い、緑あふれる場所へ。人と、自然や生き物が豊かに共存する里山づくりを目指す、長期実験企画かがくの里。
 今年6月、3年前に小屋に取り付けた巣箱に、オレンジのお腹が特徴のヤマガラが。なんと、ヤマガラの貴重な巣立ちシーンが撮れたんです!
 このヤマガラを始め、フクロウなど今、かがくの里にはたくさんの野鳥が!そこで!今回は図鑑プロジェクトの一環で野鳥撮影に挑戦!さらに!夏真っ盛りの畑で夏野菜も収穫!
 今回のかがくの里は、野鳥と夏野菜を満喫スペシャルです!

夏の里山で野鳥を探そう!

 かがくの里で、今年から取り組んでいるのが、四季折々の生き物たちを撮影し、命のつながりを一冊の図鑑にまとめる図鑑プロジェクト!茨城在住の野鳥写真家、小曽納さんとアシスタントの宮本さん!この二人が図鑑プロジェクトに参加!小曽納さんは野鳥を撮影して40年!風景と野鳥の美しい瞬間、飛び立つ一瞬、着水・捕食など決定的瞬間を何ヶ月もかけて撮影。中でもカワセミの写真は、日本版ナショナルジオグラフィックの表紙に選ばれるほど!

 すると早速!アオサギが飛んできました。アオサギはかがくの里で、よく見られる野鳥。畑の定点カメラにも度々映り込んでいます。いつもは田んぼを優雅に歩き、小魚やカエルなどを狙っているのですが、今はどうやら、木の上から、エサ場の様子をうかがっているよう。開始早々、シャッターチャンス!日本に19種類いるサギの仲間では最大級。ダイナミックに飛び立つ瞬間も。特徴的な青みがかった羽毛も見事にとらえました。

 それでは、かがくの里にはどんな野鳥がいるのか?裏山の調査開始!
すると、小曽納さん、素早くカメラを構え、ヒヨドリの姿を鮮やかにとらえました。今でこそ都会にいる鳥ですが、もともとは山に棲む野鳥です。さらに、都会でもよく見られる、メジロ。ヒヨドリもメジロも、花の蜜や果実が大好物。かがくの里の木の受粉にも貢献している可能性があります。

 さらに奥へ行きますが、鳥の声は聞こえるものの姿は見えず。野鳥は警戒心が強く、近づいてこない上、葉が生い茂る夏は、特に撮影が難しいと言います。それでも裏山を一周しただけで、かがくの里には、たくさんの野鳥がいるようです。実はその中に貴重な鳥が!それは、サンコウチョウ。実は、多くの県で絶滅危惧種に指定されている希少な鳥。ツキヒホシホイホイホイと鳴くので月日星と3つの光で三光鳥というんです。特徴は目と長い尾羽。夏の渡り鳥なので、この時期しか見られません。

 翌朝。野鳥は涼しい朝方に活発に動くため、朝7時からスタンバイ。最初に聞こえてきた鳴き声はシジュウカラ。シジュウカラといえば、2年前、里の巣箱にきて、子育てをしていました。
 さらに小曽納さん、別の鳥を発見。木の上で、家族で過ごすキセキレイ。飛んでいるハエを狙い、キャッチする瞬間をとらえました。キセキレイは、水辺を好む野鳥。里の池や田んぼが、いい餌場になっているようです。

 その時!サンコウチョウを待つ間に、小曽納さんが連写していたチョウ。この時は誰も気づいていませんでしたが、後で確認したところ、なんと日本の国蝶“オオムラサキ”だったんです。環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されており、東京都では、すでに絶滅したとされています。
 さらに今回、オスとメスが交尾しているのも確認!かがくの里で繁殖もしていることがわかりました。

 思いがけず貴重なチョウも撮影できたので、図鑑の一枚に!!
 この後、雨が降ってきて撮影はここまで。この日、狙っているサンコウチョウは現れませんでした。

サンコウチョウ撮影続編

 里の図鑑に何としても載せたい貴重な鳥サンコウチョウ。この日も小曽納さんと宮本さんとともに、観察スタート。待つこと30分、あの特徴的な鳴き声は聞こえません。
 根気強く探すこと1時間。ついにサンコウチョウの姿を発見!残念ながら、動画ではとらえられませんでしたが、小曽納さんと宮本さんがサンコウチョウの撮影に成功!

 尾羽が非常に長く、目の周りは綺麗なブルー。冬は熱い熱帯地域の森に住んでいて、夏の間、繁殖のため日本にやってきます。木が多く薄暗い場所を好んで過ごすため、見ることが難しい野鳥。実は尾羽が長いのはオスだけでメスはそこまで長くありません。そして、そのメスも撮影できたんです!さらにセミを捕食した瞬間の貴重な写真まで!守山先生によると、つがいに間違いなく、かがくの里でサンコウチョウが繁殖をしている可能性があるんだそうです!

夏の野菜&果物を収穫!

 4月下旬。竹を使った暗渠排水工事が完了し、水はけが良くなった今年の畑でおこなっているのは、実験的に少しずつ色々な種類の作物を植えること。
 作物選びを任された阿部さんは、トマト、サトイモ、落花生、ひまわり、ピーマン、ししとう、トウガラシ、アスパラガスなど、16種類もの野菜や果物をチョイス!西野さんや地元の方にお手伝いいただき、植え付けは終了!

 しかし、その後、里では雨が続き、作物の状態が心配されていました!植えてから3週間、ちゃんと育っているんでしょうか?
 すると、黒い小さな種だったアスパラガスが芽を出しています。ただし収穫できるのは、およそ2年後!まだまだ長い道のり。そして中でも成長が早いのが、育てやすく家庭菜園にも向いているピーマン。白い綺麗な花が咲き、小さな実もついています。

 かなりの雨が続いていましたが、暗渠排水のおかげで、畑に大きな被害は出ませんでした!この日は、ピーマン、ししとうなどの支柱を立てます。ピーマンなどの夏野菜は、背が伸びたり実がつくと倒れやすくなるため、支柱を立てて倒れるのを防ぐことができるんです。

 6月に入り、夏に食べようと目論んで植えたスイカに変化が。農業用のトンネルからはみだすほどツルが伸び、小さな実が!
 そして一足先に実りをむかえたのはピーマン!そして、ししとうも!

 さっそく食べてみますが、ししとうが辛い?トウガラシなどを研究している信州大学の松島准教授によると、乾燥や高温などのストレスが加わると種子がうまく出来なくなるものがあり、その種子が少ないシシトウが辛くなってしまうそうなんです。はっきりとした原因については、現在研究中とのこと。

 ししとうにハプニングはありましたが、本格的に夏を迎えた7月。ついに嬉しいあの作物を収穫です!
 スイカといえば、緑に黒いラインがあるイメージですが黄色いスイカ?この品種も、最初は緑色でしたが、その後徐々に黄色に! 実は、西野さんがとってもおいしいとチョイスしたブランドで、その名も「金のたまご」!

 茎が枯れると収穫のサイン。ということでスイカも収穫!外は黄色いスイカ。中身の色は、真っ赤!
 スイカ、ピーマン、ししとう、ズッキーニ、里の夏の恵み、実りました!