放送内容

第1628回
2022.06.05
かがくの里 の科学 場所・建物 地上の動物

 2014年11月。科学者たちとともに、人の手が入らなくなった荒地を昔ながらの里山に再生させようと始まったかがくの里。地元の方の力も借りながら整備を続けると、今では毎年、豊かな実りに恵まれるようになりました。そして8年目を迎えた初夏、かがくの里に誰も想像すらしなかったことが!
 なんと!所さんと世界的建築家隈研吾さんが里に!実はこれ、今年、動き出したすごいプロジェクトのため!
 始まりは、先日放送した「木組み」の回でのこと。かがくの里母屋プロジェクトに賛同いただき、その後、世田谷ベースで先生やスタッフの希望を伝えたところ、さっそく母屋の構想を練りたいと、視察のためかがくの里に来てくださったんです!
 ということで今回は、所さんと隈研吾さんとともにかがくの里からお送りする特別企画!かがくの里に隈研吾さんがやってきたスペシャル〜!

所さん&隈さんが初夏の里を巡る

 最初に見たのは、田んぼと畑。去年は、田んぼに苗代を作り、そこに育苗箱を置いて稲の苗を育てましたが、今年は、水田の一角で、昔ながらの苗づくりに挑戦しています。その方法は、苗代に苗専用の土を入れ、そこに芽出しが終わった種もみを直に蒔いて、さらに上から土を振りまきます。直射日光を避けるため苗代全体に布を乗せ、鳥に種籾をついばまれないようビニールを被せました。苗が乾燥しないように、水が通る道を作って作業は終了。

 そして3週間後。苗は例年以上に元気に育っていました。土の絶対量が格段に多い水田で直接育てることと、育てる期間が現在の育苗方式よりも長いため、苗が大きく育つ環境が整っています。

 耳をすませば、カエルののどかな鳴き声と命の循環。初夏の里ならではの風情を満喫しました!

 続いて、里の間伐材を使って建てた「小屋の中の小屋」を見ていただきました。

 そして、もうひとつ見ていただきたいもの、それが動物観察カメラ。里の各所に付けられたカメラの映像が常に映され録画しているんです。去年10月に設置した西野さん手作りのムササビ用巣箱には、4月、ついにムササビがやってきました。

 ムササビ用巣箱には、裏山で切った木を利用したとのことで、どんな木があるか一度裏山へ。

 今年1月。母屋の建築に使う木材として西野さんと阿部さん、五島さんが裏山で杉の木の間伐をおこなってきました。およそ15本の杉の木を伐採し、それから4ヶ月、倒したまま乾燥させていたんです。

 そこで、ここからは、木材利用の専門家村田先生と建築構造設計の専門家江尻先生が合流!
 清水寺や東寺などの耐震構造を調査、修復してきた江尻先生は、これまで隈さんの建築を数多く手がけてきたパートナー。そこで今回の母屋プロジェクトでも、耐震など建物の構造計算をしていただきます!

 村田先生によると、裏山には、里山の燃料として使われてきたコナラ、農機具の柄として使ってきたシラカシ、ホオノキ、オニグルミ、ミズキ、ヤマザクラなどがあるといいます。隈さんは、広葉樹は広葉樹の良さがあるのでそれを生かした形で使いたいとのこと。
 かがくの里の裏山にある樹木とその多様性が見えたところで、隈さんと母屋プロジェクトに参加してくれる地元のプロフェッショナルが母屋の構想を話し合いです!

 家を建てて頂く、地元工務店の金澤さんからは、「あんまり複雑にすると、後のメンテナンスの時が大変」、里の間伐材の製材や乾燥を担当する地元製材所の中野さんからは、「木の良さを表現していただきたい。私の工場は12mまでひけるので、長さについては大丈夫」とのご要望。

 通常、家の建築で使う規格の木材では3、4m。長くても8m。12mの木材を使うことはあまりないようですが、隈さんは使うのでしょうか?
 さらに、本業は林業家で母屋用の間伐をしてくれる西野さん!超強力メンバーでプロジェクトスタート!どんな家が完成するのか?今後も目が離せません!