放送内容

第1630回
2022.06.19
かがくの里 の科学 場所・建物 地上の動物

 建築家・隈研吾さんが、母屋を建てるかがくの里を視察。さらに、450万部超えの大ベストセラー「バカの壁」の著者で昆虫大好きの解剖学者、養老孟司さんも里に来て昆虫採集!準絶滅危惧種に指定される貴重な水生昆虫など、色んな昆虫を見つける事ができました。
 そして今回、ミツバチの巣箱に専門家も驚く変化が!もちろん、初夏の里のめぐみもたっぷりと!
 今回は、かがくの里に隈研吾さんと養老孟司さんがやってきたスペシャル完結編です!

ニホンミツバチは現在どうなっているのか?

 2019年から本格始動したニホンミツバチ養蜂プロジェクト。去年の収穫祭前、里のまわりには3つの群れが暮らしていて、収穫祭では、巣の上のハチミツを少しだけいただきました。取ったのは85cmまで巨大化した巣の、上20cm分。小野先生も、残った巣とハチミツで十分冬は越せると話していたのですが、その後、想定外の異変が!
 それは収穫祭から1ヶ月後。ハチの出入りがなく、巣の周りに、飛べなくなり弱ったハチが。

 一体何が起きたのか?巣の中の写真を撮ってみると、1ヶ月前までは2万匹近くいたハチが激減!

 何らかの理由で減ってしまったニホンミツバチ。しかし元気な群れも1つ残っていて、その群れの冬越しを見守ってきました。今、里のミツバチはどうなっているのか?
 ここからはミツバチの専門家としてニホンミツバチ養蜂プロジェクトの監修をしてくださっている小野先生に加わっていただきます。
 実は、冬に大きく数を減らしたニホンミツバチでしたが、活発に活動していた残った1群から分蜂がおき、さらに別の場所から来たハチも定着。今、里の群れはなんと6群もいるそう。里で、様々な花々が途切れることなく咲くことで、その蜜を取るハチたちが植物の受粉を助けるという自然循環が生まれているんです。
 現在の巣の中は、どうなっているのか?養老さんも興味津々です。さらに、隈さんは「ガウディの建築そっくり」とさすがの目線。
 そのとき!小野先生がある発見!それは、女王バチが育つ王台。王台とは、女王バチになる幼虫が育つ特別な場所。働きバチの幼虫は、六角形の狭い巣穴で、はちみつを混ぜた少量のエサを与えられ育ちますが、王台にいる女王バチ候補の幼虫は、ローヤルゼリーという特別な餌をたっぷり与えられることで、女王バチになるんです!一般に女王バチが育つのは、分蜂が起こる春の時期だけ。今しか見られない、貴重な光景です。
 しかし、よくみると王台が複数あります。

 実は王台は、いくつも作られ、女王候補は同時に何匹も育ちます。しかし、一番初めに王台からでてきた次の女王が他の王台にいる幼虫を殺し、その女王候補の座を確かなものにするそうです。

かがくの里の恵みをいただきます!

 ハチの巣を観察し、里の豊かな自然を知ったところで、その恵み、ハチミツをいただくことに!
 所さんたちが来る3日前。調理科学の専門家露久保先生と去年のハチミツで、ハチミツレモンシロップづくり。レモンを輪切りにし、煮沸消毒した瓶にたっぷり詰めて、そこにレモンがひたひた浸かるぐらい、ニホンミツバチのハチミツを注ぎ込んでいきます。3日ほど寝かせれば、科学の里特製ハチミツレモンシロップの完成!これを炭酸で割り、特製ハチミツレモンスカッシュにしていただきます!

 さらに、所さんが、レモン搾り器を持ってきてくれたので、仕上げに加えるレモン果汁を絞ってみることに。追いレモン果汁をしたら、特製ハチミツレモンスカッシュの完成。里の恵みがたっぷり詰まったそのお味は?3人美味しいと絶賛!
 続いて出てきたのは七輪。里で作った味噌とお米を焼いて食べます。去年の収穫祭で、所さんが自ら脱穀し、精米をしたお米。半年ほど保存していた去年のお米ですが、おにぎりにして焼き、味噌は、4年前、里で採れた大豆から作りました!熟成が進んだ今ではこの色に!味の深みや香ばしさが増した証です。七輪であぶり、お好みの焼き加減でいただきました!!

3人がかがくの里でトーク!

 初夏のかがくの里を歩き、たっぷり満喫した一日。昆虫採集では、所さんも隈さんも養老さんも夢中で虫を追いかけ、様々な生き物を見つけることができました。虫好きの養老さんがふとつぶやいた言葉、「懐かしい虫がたくさんいるな」。昔はどこにでも当たり前にいたのに、今では少なくなってしまった懐かしい虫達に出会うことができたようです。

 水、木、食べ物の繋がり。きっと、それこそが、かつてあった里山の姿。養老さんにタイムマシンに乗ってきたようだとおっしゃって頂いた、かがくの里に建つ隈さんの母屋とは、一体どんなものになるんでしょうか?
 そして環境省が出版した子どもに自然の大切さを教える本「森里川海大好き」で編集委員長を勤めた養老孟司さんは、里山こそ、子供のよい環境教育の場になると考えているようです。
 するとなぜか裸の阿部さんが登場!小屋の裏にあったのはお風呂。西野さんの友人、中村さんが譲ってくれたもので、釜で薪を燃やして温める、昔ながらのお風呂です。地元の人たちの協力で、間伐材を使って屋根を作れば…里を一望できる絶景の露天風呂になりました!