世界各地で広がる、新型コロナウイルスの感染。特にイタリアでは感染者が1万人を超えるなど、今、感染者数が急増しています。
一体なぜなのでしょうか?
■イタリアの感染者数、本当に多いの?
世界全体の感染者数は、3月11日の時点で11万人を超えました。
日本は578人、アメリカは987人、イランでは8000人を超える人が感染している中、イタリアだけは突出して1万149人と、中国に次いで2番目に多い感染者数となっています。
そのため、イタリア全土では移動制限が始まり、国民や観光客など全ての人を対象に、4月3日まで、仕事や病院など必要に迫られる場合以外は、自宅にとどまることが求められています。
また、ロイター通信によると、イタリア政府は店舗やレストランにおいて、客と1メートル以上距離を置くよう通達を出しました。
■1日あたりの感染者数を比べると
イタリアの3月3日以降の1日あたりの新たな感染者数を見ると、3月9日だけで1797人も判明。死者は合わせて631人となりました。
日本は1日あたり多くても59人であることを見ても、イタリアの感染者数が突出していることがわかります。
■感染理由は「キス」や「ハグ」
なぜこんなにイタリアが突出しているのか。まだ科学的な分析はないものの、背景にあるかもしれないのが「イタリアの文化」
イタリア人では、日常の挨拶でキスやハグをする習慣があり、1日に何度も人と接触する頻度が多いため、感染が広がるのではないかと考えられています。
実際、イタリア政府は握手やハグを禁止する法令を出し、フランスの保健省も頬にキスをする「ビズ」や握手をやめるよう呼び掛けました。
また、オランダのマルク・ルッテ首相も、記者会見で「今後は握手をやめましょう」と話し、代わりに足と足で交わす挨拶や、肘タッチを勧めました。
■「たくさん検査したから多い」
しかし、仮にこの習慣が影響していたとしても、イタリアだけが突出して多い説明にはなりません。
イタリアの首相は感染者が多くなった理由に対し「短期間で徹底的な検査をしたから見つかる数も多い」と説明しています。
タイム誌の報道でも、ヨーロッパで一番多い4万2000人以上を検査したため、発覚する件数も多いといわれています。
■中国と近い、イタリア
イタリアは実は中国と経済的つながりが深い国でもあります。
去年、イタリアはG7の中で初めて中国の「一帯一路」に関する覚え書きを締結しました。
一帯一路とは、中国とヨーロッパをつなぐ中国の巨大経済圏構想で、イタリアは経済対策のために、中国の投資を呼び込もうという狙いがありました。
そのため、中国との行き来が多くなり、感染が広がった可能性もあるとのことです。
■日本もイタリアの一部に渡航制限
こうした状況に対し日本政府は、イタリアの一部地域からの入国を拒否することにしました。
ミラノがあるロンバルディア州など5つの州に、日本へ入国申請する前14日以内に滞在歴のある外国人は、3月3日から入国拒否に。
ヨーロッパの地域を指定するのは初めてのことで、政府は水際対策を強化しているようです。
私たちもいつもの習慣を改めて見直し、感染予防に努めていくことが大切だと思います。
※3月11日放送 news every. 「ナゼナニっ?」より
動画でご覧になりたい方はこちら。
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