【目次】
①緊急事態宣言が出る条件
②緊急事態宣言で変わること
③補償などはどうなる?
④緊急事態宣言で強制できること
⑤海外のようなロックダウンは起きる?
⑥緊急事態宣言をめぐる政治の状況
※この記事は4月1日時点の情報をもとに書かれています。
緊急事態宣言について、関心が高まっています。 この記事では、緊急事態宣言について6つのポイントにわけてまとめました。
■緊急事態宣言が出る条件は?
緊急事態宣言を出すためには2つの要件があります。
【出る要件】
①国民の生命・健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある
②全国的かつ急速なまん延で国民の生活・経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある
政府は①はすでに満たしているとみていて、②が焦点となっています。2つの要件を満たした場合に安倍総理が「緊急事態」を宣言するのですが、その際に安倍総理は「地域」と「期間」を示します。 たとえば「 東京に〇〇日間、緊急事態宣言を出します」と示されます。
■緊急事態宣言で何が変わる?
では、緊急事態宣言によって何が変わるのでしょうか?具体的に言うと、都道府県知事が住民に不要不急の 外出自粛を要請できるようになります。
これ、今も東京都で要請されていることだと思われるかもしれません。ただ、実はこれまで東京都や北海道がやっていた外出自粛要請には「法的根拠」がありませんでした。しかし、緊急事態宣言が出ると、しっかりとした「法的根拠」のもとにお願いすることになり、そこが変わります。
しかし、すでに不要不急の外出自粛要請が出ている地域では、今の措置とあまり変わらないといえるでしょう。スーパー、コンビニ、薬局、病院、生活に不可欠なものへのアクセスが閉じられてしまうことはないので、そこは心配する必要はありません。
(もっと詳しく:「不要不急」の意味と線引き)
しかし、緊急事態宣言が出ると、現在の外出自粛要請に加えて、学校や映画館、劇場などに使用制限やイベントの中止を要請したり、新たに「指示」も可能になります。これまでもイベント自粛の要請はしていましたが、「要請」に比べて「指示」は、要請で足りないと判断される場合、もう少し強く「指示」として伝えることができる、というニュアンスの違いがあります。
「緊急事態宣言」がでることで、強制力はなくとも「法的根拠」に基づいて段階があがることで、日本人のまじめな特性から各自の行動が変わり、より実効性がでるという見方もされています。
■補償などはどうなる?
緊急事態宣言にともなう自粛要請や指示に従って、イベントを中止したりお店を休業したりする場合、補償はどうなるのでしょうか。
結論から伝えると、緊急事態宣言に補償の規定はありません。
政府関係者への取材では、補償は「そう簡単じゃない」と述べています。つまり、強制力はないので補償の義務が生じるわけではありません。政府は緊急経済対策としての別の枠組みで救済をするのかどうかが注目されていますが、まだどうなるのかわからない状況です。しかし、緊急事態宣言を出すなら補償とセットでしてほしいという声も多く上がっています。
■緊急事態宣言で強制できること
一方で、強制的にできることもあります。病院が患者でいっぱいになり対応できなくなった場合、臨時の医療施設、つまり野戦病院のようなものを開設することになります。この時に、必要な土地や建物を強制的に使用できます。
また、企業に対しては医薬品やマスクなどの「売り渡し」を要請できます。保管命令を出したり、強制的 に押さえることもできるので、これはかなり強い措置をとれることとなります。
■日本は海外のようなロックダウンは不可能
政府の専門家会議によると、ロックダウンとは「一定期間の不要不急の外出の自粛や移動の制限」がかかること。つまり「外出禁止」が命令として出ている状態を指します。
現在、都市封鎖が行われているのはイギリス、イタリア、フランス、スペインといった国々。各国でさまざまな行動制限が行われています。
(もっと詳しく:海外の「ロックダウン」の事例)
しかし、日本は緊急事態宣言でも、海外のような都市の封鎖、いわゆる「ロックダウン」はできません。いまの法律の枠組みでは難しいというのが現状です。
安倍総理は、都市封鎖(ロックダウン)について、 「フランスなどで行っているものとは性格は違うものだ」と説明しました。
ちなみにフランスでは、必要不可欠な理由以外の外出は禁止 ・違反者には罰金も科されています。
(フランスの事例をもっと詳しく)
海外との違いはどのようなところにあるのでしょうか。
例えば、緊急事態宣言で鉄道の運行停止はあるの? と言われると…「微妙」
鉄道会社などに「必要な指示」はできるが強制力はなく、命令もできません。緊急事態宣言が出されている情勢のなかで、鉄道会社が各自判断することとなります。
■緊急事態宣言が出るか?政治の状況
4月1日、国会で安倍総理が以下のように答弁しました。
安倍総理 「今この時点でですね、緊急事態宣言を出す状況ではないというふうに考えております。基本的 には何よりも国民の生命、健康を守ることを第一に判断していきたい」
一方で、自治体のトップからは、緊急事態宣言に関してこんな発言が相次いでいます。
小池都知事「状況については “ギリギリ”と申し上げている。“国家としての判断”が今 求められているのではないか」
小池都知事は 「緊急事態宣言」を出すべきだとの認識を強くにじませました。
大阪府の吉村知事も「ただ、国としての緊急事態宣言はもう僕は発信すべきじゃないかと思う」と述べています。
現場からは緊急事態宣言を出してほしいという声が高まっています。
緊急事態宣言が結局出るのかどうかは、政府が専門家の意見をきいて、 感染拡大を抑える効果と経済的な損失のバランスをみて、最終的には政治判断になります。
しかし、そんな中で私たち一人ひとりができることは、不要不急の外出を自粛して、人との距離をとるようにして、とにかく手を洗うこと。この3つが基本であることには、変わりません。
※2020年4月1日放送 news every. 「ナゼナニっ?」より。
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