英国にて WHO事務局長上級顧問を務める渋谷健司氏(以降A)に、感染が広がる欧州からみた新型コロナウイルスと今後の見通しを聞きました。
取材:NNNロンドン支局・古谷記者(以下Q)
Q イギリスはかなり感染数を抑えている印象ですが、他の欧州に比べると比較的うまくいっているのでしょうか?
A イギリスも国内ではアジアでの状況、ヨーロッパの状況を横目で見ながらのんびりしていたという印象があります。
ですから少し遅れてたんじゃないかという批判が多いですし、今NHS(国民保健サービス)においても非常に急ピッチでやっています。
患者さんが日に日に増えてきていますので、まさに感染爆発の始まりが起こっている、そういう状況だと思います。
Q まだまだ入口ということなのでしょうか?
A イギリスにおいてピークは5月、6月以降だと思います。
欧州においては今月末なのか、5月なのかはわかりませんが、立ち上がりによって違いますし、それから都市封鎖(ロックダウン)などの施策によってもピークが少し前後します。
ただこれから1、2カ月の間、そして夏を越えていくという感じだと思います。
A 今一番問題は、どれだけ感染者がいるかわからないということです。あるいは免疫を持っている人の数がわからない。
だからイギリスはとにかく抗体を調べて。免疫を持っている人がどれだけいるかというのを急速に調べています。
抗体検査のために350万人分の抗体キットを集めましたし、かなり大規模なサンプル調査でどれだけの人が免疫を持っているかということを調べるんです。
Q サンプルをとって何%くらいの人が免疫を持っているか調べるということですか?
A そうです、それが一番大事です。サンプル調査をやらない限りどれだけが感染したのかわわかりません。
サンプル調査をすると実際は意外と50パーセントぐらいの免疫を持ってるんじゃないかという説も多方出ているので。
そうだとすると実はもうすでにピークアウト(ピークに達している)かもしれない。だからそのデータというのは非常に注目されています。
とにかく、免疫、感染がどれだけあるかを調べて、その免疫が本当にまだ10%なのか、20%なのか、実際50%なのかということはすごい大事です。
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