2020年4月15日配信
■腫瘍 手術延期で良性か悪性かわからない
今、心配されている医療崩壊、これは新型コロナの患者だけに関わることではありません。 新型コロナ患者の受け入れ準備を理由に予定されていた手術が延期になってしまった女性をzeroの岩本キャスターが取材しました。
この女性は乳腺に腫瘍が見つかり、都内の病院で腫瘍が良性か悪性かを判別する手術を予定していましたが、緊急事態宣言の翌日に、病院では“受け入れられない状況” であることを告げられたといいます。
女性「腫瘍に関して、線維腺腫(良性)と葉状腫瘍(悪性)の2つの 可能性があるそうです。自分の場合、どちらになるかっていうのが、切除をして検査してみないとわからない」
岩本「入院の日程っていうのはどういう予定だったんですか?」
女性「入院が4月30日で、手術が5月1日の予定でした」
しかし“緊急ではない手術”ということで、コロナ患者の受け入れ準備を理由に手術は延期に。 腫瘍は良性の可能性が高いものの、不安を抱え続けているといいます。
岩本「本来であれば5月の上旬には結果がわかる予定だったものがわからないっていうのは心境としてはいかがでしょうか?」
女性「初めてこういった腫瘍という形での診断でしたので、自分自身も家族も結構心配はあります。」
その後、女性は地元で手術可能な別の病院を見つけましたが、そこでもコロナ患者の受け入れ準備をすることになり、結局、断られたといいます。
女性「(自分の手術が)先送りになってしまうのは、仕方ないと受け入れていまして。 ただ、医療機関に対してというよりは、一般の方々にコロナの収束に関しての 協力をしていただいて、そうすると今後、3か月後とかに自分自身の手術が無事に受けられるんじゃないかなと思います。」
■受け入れ制限の病院各地に
実は今回取材した女性のように、手術を待っている人々のおかげで医療が保たれている現状があります。
こちらは入院用ベッド20床以上の病院のうち、現在、新規の外来受け入れなどを制限している病院の割合を表したものです。
厚労省によりますと日本地図の薄い緑の地域では 5~10%の病院が、 濃い緑の地域では10~20%の病院が受け入れを制限または停止しています。 首都圏や大阪、福岡 、都市部で受け入れの制限または停止が多いことがわかります。
■救急医療への影響も
そして救急医療へも大きな影響が出ています。
4月14日に救命救急センターのある東京・墨田区の墨東病院で感染者が出るなど、救急治療のできる複数の病院でこれまでに感染者が確認されています。
杏林大学医学部付属病院では救急外来の研修医が感染し、 救急車以外のすべての救急外来診療を制限することになりました。また、東京医科歯科大学の医学部付属病院では取り組みとして、新型コロナの患者を全面的に受け入れるため、 4月13日から救命救急センターの受け入れを停止しました。
東京医科歯科大学の医学部付属病院は東京消防庁から受け入れの要請がくる病院で、ここ数日は8割以上が新型コロナを疑わせる症状だといいます。 そして、その多くが、ほかの病院への受け入れを断られた患者だったということです。
私たちが医療機関に負担をかけないためには、やはり私たちが感染しないことが重要になります。
※2020年4月14日放送 news zero より
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