2020年4月23日公開
(P C R検査の様子)
感染の有無を確認するPCR検査は、なぜ一気に増えないのでしょうか。日々、P C R 検査を担当している検査技師に聞きました(※4月22日時点の情報に基づく)。
■PCR検査の課題とは?
鳥取大学医学部付属病院の橋本祐樹技師は日本に50人ほどしかいない「認定臨床染色体遺伝子検査師」としてPCR検査の最前線に立っています。
橋本技師「検査自体は増やした方がいいと思っているのですが、なかなか増えない最大の原因としては、やはり現場に遺伝子検査に精通した人材がいないということです。一般の方が思われているような爆発的な検査数の増加というのは現状、難しいです」
この病院で一日に扱える件数は約20件。検査では、のどの奥をぬぐって粘液をとり、それに試薬を入れるなどして特殊な機械にかけます。
試薬の調整は1ミリリットルの1000分の1ほどの分量を正確に取り分ける技術が求められ、人材が不足しているといいます。さらに、作業には感染リスクも伴うといいます。
政府は検査数について「1日2万件」を 目指していますが 、現時点では最も多い日でも約8800件にとどまっています。
■ドライブスルーなど検査体制を増やす動きも
(東京・江戸川区ドライブスルー方式のP C R検査)
「1日2万件」にむけて各地の自治体では検査を増やす動きもみられます。東京・江戸川区では、都内で初めてとなる「ドライブスルー方式」による検体採取を4月22日から開始しました。
(東京・千代田区 仮設診療所)
また東京・千代田区では病院のそばに仮設の診療所を設置するなど、検査体制を強化しています。
■検査数増加で「偽陽性」「偽陰性」ミス懸念も
橋本技師は検査数の増加に理解を示す一方で、リスクもあると指摘します。
橋本技師「慣れない作業は『偽陽性』『偽陰性』のリスクを上げてしまいますので。内科の先生が、例えば、急に明日から心臓の手術を執刀して下さいってなったら、やはり皆さん『えっ』ってなると思うんですよ」
実際に、検査ミスが起きてしまった事例もあります。
4月22日、横浜市は3月に亡くなった80代の男性について、検査をした職員が判定結果を実際は「陰性」だったところを「陽性」と間違えて報告したと明らかにしました。そのため、遺族は出棺前に男性の顔をそばで見ることができませんでした。
■ 臨床検査技師の仕事 知ってほしい
橋本技師は多くの人に臨床検査技師の仕事を知ってほしいと話します。
橋本技師「自分が経験したこと勉強したことで、医療従事者の一員として、患者さんとほかの医療従事者の役に立ちたいと思います」
※2020年4月年4月22日放送『 news zero』より
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