2020年4月28日公開
新型コロナウイルスの影響で休業する企業は、従業員へ支払う休業手当の補填に雇用調整助成金を活用できます。しかし、制度の内容がしっかり浸透していないのが現状です。。今回は雇用調整助成金がどういった制度なのか、わかりやすく解説します。
(※4月27日時点の情報に基づく解説 聞き手: news zero 有働由美子 解説:日本テレビ 小野高弘 解説員 )
■雇用調整助成金はどういう制度?
助成がありながらうまく活用されていない面もあるようですね。
はい、そうなんです。今日、社会保険労務士の方にお聞きしたんですけれども、事業主からの問い合わせは、今、ほとんどがこんなやりとりなんだそうです。
事業主「助成金が出ると聞いたんだけどこれって何ですか?」
社会保険労務士「雇用調整助成金のことですね」
事業主「それ何でしたっけ?」
そもそも、雇用調整助成金のことをよく知らないという方もいらっしゃるということですね。
そういうことなんです。
雇用調整助成金とは、休業を余儀なくされた企業に対して「従業員を解雇させないでください」という意味で、従業員の休業手当を国が助成するというものです。 今回の対策でパートタイムなど雇用保険に入っていない人の分も対象になります。
ある中小企業で、1日1万円の給料をもらっていたパート従業員Aさんが、例えば1日6000円の休業手当を受け取る場合、国が企業に対して6000円を全額助成するというものなんです。
企業の条件や1日の上限額も8330円と決まってはいるんですが、利用できるなら制度を利用したほうがいいですね。
■雇用調整助成金の申請が少ない理由とは?
実際には、どれくらい利用されているんですか?
実際には、利用が少なくて、4月24日までに休業計画を届け出たのは20000件以上あるんですが、助成金を申請したのは2500件で、そのうち支給が決定したのはわずか280件ほどなんです。
少ないですよね、 なにか難しい問題があるのでしょうか?
そうなんです。問題が2つあります。
【問題点①手続きが煩雑】
1つ目の問題点は「申請の手続きが煩雑」だということです。
それぞれの企業が申請するものですが、これがその一部です。細かい記載が必要でして、休業の協定書、労働者の名簿、損益計算書など、最低でも10種類の書類が必要になるんです。
普段こうした申請に慣れていない小規模な店舗などからは「難しくて戸惑う」といった声もあがっているんです。
たしかに事業主の方にしたら、もう少し簡単にならないかって思いますよね・・・。
【問題点②支給まで時間かかる】
そのうえに、2つ目の問題は「支給まで時間がかかる」ということがあります。制度がよく分からなくて厚労省のコールセンターに電話しても、なかなかつながらないとの声もあります。
ようやく申請できても、受理されてから支給が決定するまでに1か月。さらにそこから実際の支給まで数日から1週間程度かかると厚労省は話しているんですね。
う~ん、もう毎日が大変という方からは、「1か月待っていられないよ」という声も聞きますよね。
ドイツなどの国では、助成金の申請はオンラインで申請から受給までわずか3日ということもありまして、そういった国と比べると日本も、もう少し迅速であるべきだと思います。
そうですね、郵送もあるとは言っても、やはり窓口に行って感染してしまうんじゃないかという不安もありますし、それから今日の政府の会議でも助成金の手続きのオンライン化を進めるべきとの意見もあがったようです。今、テレワーク進めているわけですから、手続きも是非オンラインでやりたいですよね。
そして、事業主の皆さんはもちろんですけども、働くみなさんにもこの制度のことを是非知ってもらって、必要な方は活用して頂きたいと思います。
※2020年4月年4月27日放送『 news zero』より
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