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「新型コロナ 症状は?」いま知るべき5つのこと 感染者治療の医師解説

新型コロナ 知るべき5つのこと 忽那賢志医師が解説

これまでに重症者を含む15人ほどの感染者を治療した医師、忽那賢志(くつな・さとし)氏。

対策の最前線に立っている専門家へ、いま知るべきことを聞いた。 

 

1)感染したらどうなる

2)症状が出たら何をすべきか

3)いつ病院へ行くべきか

4)感染予防対策は

5)いつまで流行は続くのか

 

 

1)感染したらどうなる

新型コロナ 感染したらどうなる?

--初期症状は?

最初は咳や微熱、鼻水、喉が痛いなど、風邪のような症状が続きます。

患者を診ていて、最初の症状で普通の風邪との区別はつかないですね。

 

--症状の経過は?

8割くらいの人はその症状が1週間くらい続いてよくなるといわれています。

中には重症化して肺炎がひどくなって、咳や息苦しさといった症状が強くなる人がいます。

そこから3日くらいかけて、さらに重症化し集中治療室に入る人もいる、という経過が典型的といわれています。

また、このウイルスの特徴は経過が長くて、だらだら続くことです。

熱が下がったり上がったりを繰り返す人もいます。

どの時点で治ったと判断するか難しいので、治ったと思っても、しばらくは慎重に経過を見た方がよいです。

最終的には人間の免疫によってウイルスはいなくなりますが、4週間くらいは、のどとか体内にウイルスが残りうるということなんだと思います。

 

--感染者の傾向は?

全体的に若い方はリスクが低いだろうと思います。

高齢になるにしたがってリスクが高くなっていく感じです。

これは免疫反応などによると思いますが、まだどういった理由かは医学的には分かっていません。

 

--その他の感染症との違いは?

MERSやSARSに比べると、下痢や嘔吐の消化器症状はむしろ少ないことがわかってきました。

MERSの場合は3割くらいに下痢や嘔吐がありましたが、今回は1割弱くらいじゃないかといわれています。

感染しても8割の人はうつさない!?症状は軽い方がうつしやすい?

 

2)症状が出たら何をすべきか 

新型コロナ 症状出たら何をするべき?

--いま症状が出ている人はどうすべきか?

ほとんどの人が自然によくなるので、自宅で安静でも概ね問題ないことが多いです。

通常の風邪だった場合、病院で新型コロナウイルスに感染することも考えられます。

救急外来の待合室などに感染者がいた場合、病院は屋内の閉鎖空間なので、院内でうつされる可能性もあります。

 

--自宅安静時に心掛けることは?

特別なことではありませんが、しっかりと食事をとって、しっかりと睡眠をとることです。

 

--自宅に家族などがいる場合、気をつけることは?

症状のある方は、家族と接触するときはマスクをつける。

症状がある本人だけでなく、家族みなさん全員手洗いをこまめに家の中でもしっかりとしていただくのがいいですね。

また、高齢者の方や持病のある方にうつさないというのが一番大事になるので、家の中で広げないためにも、看病する人は比較的若くて持病のない方がいいでしょう。
 


 
3)いつ病院へ行くべきか 

新型コロナ いつ病院に行くべき?

--症状が長引いた場合、それでも自宅で安静?

もし4日以降に症状が悪化することがあれば、病院で診断を受けましょう。

 

--具体的な症状の悪化とは?

肺炎がひどくなって咳や息苦しさなど、症状が強くなる。

典型的には、体の中の酸素が足りなくなる状態なので、それを補うために何度も息を吸おうとして呼吸の回数が増えます。

「はぁはぁはぁ」となり、呼吸が難しい状態は「悪化」といえると思います。

 

--病院で診断を受ければ症状は回復する?

いまのところ新型コロナウイルス感染で、医学的に効果が証明された治療薬はありません。

症状を軽減する薬を使って、呼吸サポートが必要なら呼吸器を使うことになります。

人工呼吸器が必要になった人は退院するまで数週間以上かかりますが、肺の炎症が落ち着くまで呼吸管理して、多くの人は肺炎になっても自然に治ります。

 

 

4)感染予防対策は 

新型コロナ 感染予防対策で有効なのは?

--手洗いは1日に何回すればいい?

回数というよりは、外出をしてドアノブやつり革など人が触りやすいところを触ったら、その都度しっかり手洗いする。

トイレは便座などにウイルスが付着している可能性がありますが、ウイルスが呼吸器の粘膜に触れなければ普通は感染しません。

トイレの後もしっかり手を洗うなどの対応が大事。

ウイルスが手などに付着するのが一番危険です。

 

--感染しやすい場所は?

屋外で感染者にすれちがうくらいだと、おそらく感染するリスクはかなり低いと思います。

海外だとタクシーの中でうつったというケースもあるし、国内だと、クルーズ船はかなり広いけど、閉鎖空間で流行が広がっているので、そこに長時間いることでうつりやすいです。

 

--長時間とはどれくらいの長さ?

難しいですね。満員電車くらいの距離で思いっきり咳を浴びれば一瞬でうつる可能性があります。

単純に30分以上なら危険、というわけではなくて、密接さと、どれくらいの近さで咳やくしゃみを浴びるかということです。

 

ーー感染者が、人にうつしやすい段階がある?

初期の風邪症状の時にうつしやすいのだろうとは考えられています。

ごくごく軽い症状の時でも人にうつったという報告があります。

症状が強いからといってたくさんウイルスを持っているわけではなくて、ウイルスの量が多いから周りにうつしやすいとは必ずしもいえない。

閉鎖空間とか、一緒にいる時間の長さとか、色々な要因があります。

周りに広めないためには、症状があるときは休むのが大事。

 

 

5)いつまで流行は続くのか 

新型コロナ いつまで流行は続く?

--今後、新型コロナウイルスの流行はどうなる?

最終的にはある程度の人が免疫を持つようになると、もう流行しなくなります。

人から人にうつらなくなるので。

ただ、それまでにどういう経過をたどるかが重要。

封じ込めができれば意外と4月、5月で収まることもあるかもしれないです。

封じ込めができないということであれば、何度かピークを迎えながら、最終的に風邪のような存在になっていくというパターンもあるかもしれないです。

 

--そこまでには多くの人が感染する?

そうですね。封じ込めができないということはそうなってしまうということ。

だから、そうなることを見越して大事なのは感染者数のピークを低くして、遅らせるということですね。

 

--ワクチンや治療薬はいつ開発される?

これが新種のインフルエンザなどであれば、いま候補薬のワクチンが備蓄されています。

だから今、学校を休校したりしていますけど、その間に治療薬やワクチンを開発する必要があります。

感染のピークを遅らせることは、治療薬の評価やワクチン開発のために時間を稼ぐ大きな目的のひとつです。

 

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■忽那賢志医師 
1978年生まれ。2012年から国立国際医療研究センター国際感染症センター医師。日本感染症学会感染症専門医。エボラ出血熱やジカ熱など、海外で流行する感染症について、現地調査や研究を行い、そうした感染症の疑い例や患者が、国内で確認された場合には、診断、治療にあたるほか、そこで得た知見を元に、新興・再興感染症の治療について全国の医師に助言する役目も担ってきた。今年1月、新型コロナウイルスの感染者が日本でも確認され始めた初期段階から重症者含む15人ほどの感染者を実際に治療。チャーター機で帰国した数百人の検診にもあたるなど、対策の最前線に立っている。 

 

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