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ザ!鉄腕!DASH!!

日曜よる7時00分~7時58分 放送

DASH島 ~反射炉、150年ぶりの稼働~

2019.08.04 公開

着工から2年半、880日をかけ、約4万枚のレンガを積み上げて完成した反射炉。
電気もガスも使わぬ炉で、鉄を溶かした瞬間を見た者は、現代には存在しない。
世界遺産・韮山反射炉でさえ、最後に稼働したのは155年前。
日本の産業革命の礎を築き上げた、製鉄の原点とも言える反射炉に、火を灯したい!


鋳物の街・埼玉県川口市で鋳造技術を学び、鉄を溶かすための燃料・骸炭を調達。
いよいよ、150年ぶりの火入れの時。
まず、縦6m・横2.5mの炉の床に、島中から集めた300kgのクズ鉄を満遍なく並べる。
炉内に入れば、「うわっ、すごい熱気」サウナーの松岡の体感では「50~60℃だね」


熱が反射し、溜まる炉の中は、奥に行くほど高温となる。
クズ鉄は、溶けにくい大きな塊を奥へ、熱が伝わりやすい小さな塊を手前に。
燃料の骸炭は、およそ700℃にならなければ火がつかない。


そのため、まず、着火剤代わりとなる木クズ、その上に薪、薪からの火が燃え移りやすいよう骸炭を薄く広く重ねて置き、段階的に火力を上げていく。
骸炭に火がつくまで火力を上げるには、たくさん空気を送り込まなければならない。
そこで、松岡が持ってきたのが「芭蕉扇ね」。小説『西遊記』で山火事を消した団扇。


これで扇げば、確かに威力はあるが、アラフィフの男たちでは、扇ぎ続けるのにも限界が。
そんなこともあろうかと、作っていたのがフイゴ。鎌倉時代の鍛治職人も使った送風機。
箱に吸気口と排気口が空けてあり、中の仕切板を引けば空気を取り込み、押すと小さな穴から勢いよく空気が出る仕組み。


このフイゴを4つ同時に使えば、芭蕉扇より楽に、効率的に空気を送れる。
そして、骸炭に火がついたら、その熱を逃がさぬよう燃料投入口の穴をレンガで塞ぐ。
骸炭は1600℃まで温度が上がる。鉄が溶けるのは1538℃。
その温度になるまで空気を送り続け、炉を開けることはできない。


反射炉から熱気が立ち上がる中、炉内の温度を専用の温度計で測ってみると、「1250℃くらいある」。これでも、鉄の溶ける温度には達していない。
本勝さん曰く、「(骸炭が)赤くなってるけど、もっと白くなるまで(火力を上げる)」
骸炭は燃焼すれば減る。絶え間なく補充して、温度が下がってしまうのを防ぐ。


15分おきに骸炭20㎏を追加、奥に押し込んで火を回したら、穴を塞いで空気を送る。
これを繰り返すこと3時間。骸炭の燃焼具合を確認してみると、色が真っ白に。
これだけ白くなっていれば、骸炭は最高温度と、本勝さんも確信。
熱が炉からもれずに反射していれば、鉄が溶けている可能性が!
はやる気持ちを抑え、出鋳口の厚さ5㎝のモルタル栓を棒で貫通させるが…出てこない。


レンガを一つ外し、中の様子を覗いてみると「鉄が溶けてないよ」
見えたのは、かつての島民が使った手押し車。その骨組みの一部がまだ形を保った状態。
骸炭の温度は十分上がったはず。なのに、なぜ鉄は溶けなかったのか。
1週間後、原因究明のため、島に上陸したのは、韮山反射炉の研究家・菅野利猛さん。


20年以上調査を重ねて韮山反射炉を世界遺産に導いた、DASH島反射炉計画の相談役。
菅野さんの見立てでは「炉内が段々になってるのが心配。煙突の高さも韮山の半分だから」
やはり、炉内の段差が熱の乱反射を生み、煙突を低くしたことで煙突効果が弱まったか。
実際に炉内のクズ鉄を確認してみると、厚さ3mmの鉄釜が破れて内側に折れ曲がっていた。


つまり、骸炭が1600℃を超えたことで熱が反射し、炉内は一時的に1538℃以上に。
鉄が溶け始めたものの、溶け切るまでには至らなかったと考えられる。
ただ、反射炉として機能はしている。
すると、新人・リチャードが「鉄じゃなかったら(いけるかも)。銅入れてみたい!」
というのも、金属は種類によって溶ける温度が異なる。


世界遺産・韮山反射炉も、主に溶かしていたのは純度の低い鉄・鋳鉄。
さらに低い温度で溶ける、青銅を溶かすことも多かったという。
この新人の一言で、動いたのが城島。向かったのは、鋳造技術を学んだ埼玉県川口。
船のスクリューの加工で出た銅の削りクズ60㎏、さらに、工業製品の部品に使われていたアルミ80㎏を譲り受け、反射炉の中へ。そして、再び、火入れ。


フイゴで火力を上げること、6時間。頃合いを見て、モルタル栓を貫いてみるが、なぜか固くて貫通しない。「途中で金属が冷めて詰まっとんじゃないかな」と本勝さん。
つまり、何らかの金属が溶けて坂を流れたが、出口付近で固まっている可能性が。
ならばと、ハンマーと鉄筋を使って強引に穴をこじ開ける作戦。


だが、松岡がいくらハンマーで叩いても、厚みのある金属を貫通させることはできず。
レンガを一つ外して、中の金属の様子を確認してみると、「すげー!ドロドロ!」
溶けていることは間違いない。すると、本勝さん「ぶっ壊そうか!」
世紀の瞬間を待ちきれない。レンガを崩して、そのドロドロを外へ流し出すことに。


そして、待望の瞬間。流れ出たのは銀色の液体。それは恐らく、アルミ。
菅野さんの予想では、「銅はもっと下にあるんじゃない?アルミは軽いから」
つまり、金属の中で比重が軽いアルミが一番上に。その塊、およそ80kgが液体となって。
正に150年ぶり。世界遺産・反射炉から金属が溶け出た瞬間だった。


研究者・菅野さんの興奮冷めやらず。「江戸時代に作った反射炉で鋳造する様を見た人はほとんどいない。しかも、これだけ大きな物を作って稼働させた人は恐らく誰もいない」
「(現代に)肉眼で見てるのはオレたちだけか…」と、感動する一同。
未だ鉄を溶かすことは実現できていないが、これで島にある金属の再利用が始められる。

【DASH島 特設サイト】

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